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19話 ガンガン行こうぜ!①


エレナと会ってから1週間が過ぎた頃、響はある決断をした。


「今なら……きっと大丈夫だ」


響はソロでダンジョンに挑もうとしていた。

一人前の探索者の証でもある、Eランクダンジョンのソロ攻略に挑戦しようとしているのだ、


とち狂った訳ではなく、攻略隊に入る事で安全は手に入るがそれだとレベルアップの効率が悪くなるからだ。


ソロ攻略ならダンジョンの全てのモンスターを倒せる。つまり経験値を独占できるのだ。

あれから、ダンジョンもいくつか周りレベルも多少あがった。それに我妻捕縛による報奨金300万を費やし武具も新調する事ができた。


響は確実に以前より強くなっている。Eランクダンジョン程度なら、上手く立ち回れば可能性は十分にある。

とはいえソロ攻略は危険が多い。

今まで複数で行っていた事を全て独りでこなす必要があるからだ。ほんの少しの油断で命を落とす結果になりかねない。


少し緊張しながらスマホでダンジョン情報を検索すると、丁度Eランクダンジョンが空いているのを発見。


「2つあるな……近い方でいいかな?」


入ってみるまで中はわからないので、とりあえず自宅から徒歩圏内のダンジョンに申請する事にした。


早速ダンジョンへ向かうと、ゲートが発生したのは病院の裏口らしく、表口で待っていたゲート監視員を発見した。

彼はオールバックにスーツ、サングラスとSPのような格好をしていて、少し威圧感があった。


「予約してました佐藤です」

「お待ちしておりました。あの、失礼ですが……おひとりで?」


恐る恐る尋ねる組合員は、F級だろ?と言いたげな表情をしていた。

それでも響は自信満々に「はい!」と返事をすると、明らかに落胆した表情で監視員はため息をついた。


「あのですね、ここはEランクダンジョンです。クリア適性はソロならD級ですよ。さすがに許可できません。貴方を見殺しにするのと同じですからね」

「俺なら大丈夫です」


監視員も意地悪で言っている訳ではなかった。

適性を大幅に下回る攻略は自殺に等しい。それは探索者にとっても常識だが、稀に響のように無謀な挑戦をする輩が現れるのだ。


それも、大体がF級か覚醒したての新人探索者だ。それを止めるのも監視員の欠かせない業務なのである。


「言っても聞かなそうな顔ですね。そうですね、どうしても入りたいのならどうぞ。俺は全力で貴方を止めにかかります。言っておきますが、これでも俺はD級覚醒者です」

「え、いいんですか? じゃあお願いします!」

「……怪我しても知りませんからね」


やれやれと言った調子で監視員は構える。

構えからしてどうやら空手かなにかの経験者なようだ。様になっているし、何より隙がない。


「はい! じゃあ通らせてもらいます!」


だと言うのに響は二つ返事でそれを了承し、言い切った。まるで確信があるかのような物言いだ。

そしてその刹那、


「──え?」


一瞬。時間にしたらほんの一瞬。監視員は瞬きをした。たったそれだけの僅かな時間。

響は既に監視員を抜いていた。


「じゃ、約束通り入りますよ」


それだけ言い残し、躊躇いもなくゲートへと消えていった。


「ちょ……い、一体何が起こった。俺はD級だぞ!? あの人はF級じゃないのか!? F級があんな動き……いや、俺がなまっただけだ。そうに決まってる。……俺も鍛え直すかなぁ」


監視員は呟くとポリポリと頭をかいた。

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