124話 アルティメットスキル①
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この身勝手な異世界に復讐を~異世界転移したら失敗作として捨てられた俺が《災厄の魔王》と呼ばれ、復讐を果たすその日まで~
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【スキル 不屈の精神がユニークスキル 心炎に変化しました】
【ユニークスキル 心炎Lv1 : 全ての状態異常が無効。力を渇望し続ける限り、全ステータス25パーセント上昇】
瞬間、暗闇が解け視覚が戻った。更には鉛のように重くなっていた感覚も嘘のように消え去った。
「なんだ、これ……?」
思わず呟く響だが、スキルの進化はまだ終わっていなかった。
【統合条件をクリア。目目連と心炎を統合可能です】
──スキルの……統合…… 強くなれるなら何でもいい。力を、コイツを倒す力が欲しい。
【目目連と心炎を統合。アルティメットスキル 万物照覧を取得しました。このスキルにはレベル概念が存在しません】
「あ、アルティメットスキル……?」
聞いたこともない名前だ。
通常のスキルや滅多に発現する事のないユニークスキルでもない。アルティメットスキル。
統合した結果なので、弱くなる事はないだろうがそんなスキルがあるなど信じられなかった。
そしてその直後、ポンと音を立てて再び文字列が宙に浮かんだ。
【アルティメットスキル 万物照覧 : スキルレベル限界値の心炎、目目連のスキル効果を継承。60秒毎に総HP、総MPの3パーセント回復し、更に与ダメージの10パーセントのHPを回復する】
【サブスキル 神ノ生贄 一日一度に限り受けたダメージの50パーセントを対象に移行させる】
【心炎Lv10:全ての状態異常が無効。力を渇望し続ける限り、全ステータスが40パーセント上昇し、同時に被ダメージが20パーセント減少】
【目目連Lv10: この世のあらゆるものを可視化可能。目を合わせると対象へ防御無視ダメージ(基礎攻撃力の15パーセント)を与える。また、対象の攻撃を予測する】
空中に浮かんだ数多くの文字列に目を通す。
情報が多すぎて混乱しそうになるが、その一つ一つがチート性能だった。
レベルマックスの心炎や目目連だけでも十分強力だが、それに加え持続回復とダメージ回復まで付いている。
おまけに制限こそあるものの、半分とはいえ自身のダメージをそのまま相手に移すなどチート以外の何物でもない。
今回、ゲオルギアスのユニークスキル黒ノ世界の効果はデバフ関連。だがそれも心炎により完全に無効化されている。
黎明ノ刻が使えなかったとしても、響には十分勝機がある。
ジャイアントキリング、ドラゴンキラー、そして新たに心炎により更にステータスが上昇した。
今この瞬間から立場は完全に逆転したのだ。
とはいえ今の状態ではあまりに受けたダメージが大きすぎる。
使い方は不思議とわかっていた。
「──神ノ生贄」
すると響とゲオルギアスを天から降ってきた光の柱が包み込んだ。
鼓動と共に襲いかかっていた激痛はすっと息を潜め、代わりにゲオルギアスは全身から血を吹き出し襲い来る激痛により咆哮をあげる。
──はは、やべえなこれ……チートじゃんか。負ける気がしねぇな。
痛みはするが動けない程ではない。ほとんど死にかけていた響にとって、神ノ生贄は起死回生のきっかけとして十分過ぎるほどだった。
ただ神ノ生贄はダメージを肩代わりしてもらうのであり、万物照覧の回復対象には入らないようだ。
「さて、よくもボロカスにやってくれたな。今度はこっちの番だぞ」
ダラリと鬼哭を構え、ゲオルギアスを睨みつける。
些細なダメージなのでわかりにくいが、視線が交差したこの瞬間にも相手はダメージを負っている。
ふと、ゲオルギアスの姿が二重になり、前脚での踏みつけで潰そうとしている。
しかし本体のゲオルギアスは今まさに動き出そうとしている瞬間であり、
──目目連の攻撃予測か……
「お前の攻撃はもう当たらない」
攻撃予測と言うよりも、未来観測に近い。
時間にすると数秒先の攻撃を見せてくれるらしいが、戦闘において数秒の未来が見えるというのは反則レベルだ。
危なげなくギリギリで回避し、前脚を鬼哭で斬りつける。
先程まではあまり刃が通らなかったが、ステータスが上昇したおかげで問題なく刃は肉を割いた。
跳躍した響は、暴虐状態により追加された弱点である胸部と腹部に狙いを定め、
「飛燕」
その両方に特大の斬撃をくらわせると、ゲオルギアスはガクりと膝を突いた。
この攻撃自体のダメージもあるが、それよりも響のダメージを肩代わりしたせいでHPは残り僅かとなっているのだ。
瀕死の敵にも油断することなく、響は適切な距離を取り鬼哭に雷を纏わせると、
「お前は強かったよ、本当に。そのおかげで俺も強くなれた」
両手で鬼哭を握り上段の構え。
集中力を限界まで研ぎ澄ませ──
「それじゃあ、さよならだ」
地を蹴り、ゲオルギアスの頭部目掛けて鬼哭を振り下ろした。