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118話 黒暴竜ゲオルギアス①



「こ、これがボスだって? まるでおとぎ話の世界じゃねぇか」

「こんな相手に勝てるのかしら……」


階段をくだった先で三人を待っていたのは、巨大な黒竜。

東京ドームの数倍はあるだだっ広い部屋に、一体の竜がうずくまりこちらを見ていた。


「翼さんは……いないよな。まじでヤバいかも」


姿はドレイクと似ているが、やや紫がかっている。

ギラついた眼と鋭利な牙、元は二本だったはずの角は片方が根元から折れている。


翼も爪も尾も、どこをとっても危険なのは一目瞭然だ。

腐毒龍戦で翼の言っていた「コイツより強いAランクは腐るほど居るぞ」というのが、いよいよ現実となった。


腐毒龍ディリティリオも万全の状態ならかなり手こずる相手だが、目の前の黒竜と比べると可愛いものだ。


【黒暴竜ゲオルギアス ディザスターLv105】


HP 15693/15693 MP5981


力 758

防御力 680

知能 698

速度 635

精神力 651


弱点 逆鱗 眼球 暴虐状態時のみ腹部、胸部


特性 ディザスターゲートにより強化された個体。通常よりも凶暴性が増している。首の付け根にある逆鱗は弱点だが、逆鱗への一定ダメージで暴虐状態に移行。

暴虐状態は全ステータスが20パーセント上昇するが、腹と胸が弱点に追加される。

龍鱗により打撃、魔法耐性がややある。

竜魔法は通常の属性魔法と比べると攻撃力が遥かに高く極めて危険。


また、ユニークスキル黒ノ世界は発動すると対象の速度を50パーセント減少させ、更に強制的に暗闇状態に陥り視覚を奪う。


スキル 凶暴化Lv9 龍鱗Lv8 重撃Lv8 竜魔法Lv8

ユニークスキル 黒ノ世界Lv8


この馬鹿げたステータスを持ってしても未だAランクダンジョン。

Sランクダンジョンともなれば一体ボスはどれほど強いのか検討もつかない。


しかしこの強大な敵を前にして響は、諦めてはいなかった。苛烈な戦闘になることは間違いないが、一方的にやられる事はないと、そう踏んでいた。


──ヤバい相手だけど、なんとかなるかもしれない。



【ステータス】


F級覚醒者 佐藤響 Lv181


HP:7600MP:1180

功績:ジャイアントキリング 単独踏破 志大才華 頂点 限界突破


称号:ドラゴンキラー


力439

防御力354

知能351

速度428

精神力396


スキル

・不屈の精神Lv8

・目目連Lv5

・弱点特攻Lv6

・迅雷Lv5

・飛燕Lv3

ユニークスキル

・黎明之刻Lv3


振り分け可能ステータスポイント 5


これが現状の響のステータスである。腐毒龍戦移行ダンジョンに潜ってないのでレベルは上がっていない。


──やっぱり……寧ろ、二人が援護してくれる分こっちが有利だ! 火力はかなり高そうだけど、コイツがドラゴン系モンスターで助かったな。


そう、遥か格上であるゲオルギアスにジャイアントキリングが発動するのは当然。その上昇率は20パーセント。

それに加え相手は竜族であり、ドラゴンキラーも重ねて発動される。対象はかなり限定されるがその上昇率は30パーセントだ。


あくまでも基礎ステータスに倍率が掛かるだけなので、単純に50パーセントの上昇と考えていいだろう。


「俺がメインで戦うので、二人はサポートをお願いします……!」


鬼哭を構えとんでもない発言をした響に、二人は驚き目を丸くした。


「ちょ、ちょっとひびくん! それは無茶よ!」

「そうだぜユー! Aランクのボスの中でも最上位なんだ! さすがにそれは危険すぎるぜ」


二人は響の功績と称号の効果を知らない。

上昇した数字はゲオルギアスにやや劣るものの、速度に関しては上回っている。

そして響は纏により更に速度を上昇させる術を持つ。互角に戦いを繰り広げても何ら不思議はない。


ただ頼みの綱である黎明ノ刻はクールタイムが長いので、あと30分以上は使えない。

そこまで粘るか、その間に黎明ノ刻なしで倒し切るか、はたまた翼が到着するのが先か。


なんにせよ、時間は三人の味方であり油断さえしなければ勝機は十分にある。


「大丈夫です。今の俺のステータスはアレと同等ですから……!」


そう言って先手を取ろうとしたその時だった。


大気が揺れ鼓膜が破れそうになるほどの爆音。

波のように身体を打つ微細な衝撃波。


──ぐっ、なんだこれ……耳が!


反射的に耳を塞ぐが、それでも爆音の勢いは殺せずドロリと血液が首を伝う感触。


天井からはパラパラと小石や土が落ち始める。

なんとか顔を上げるとその正体が、ゲオルギアスの咆哮だと言うことがわかった。


──声だけで……馬鹿げてる!


やがてそれが治まると、ゲオルギアスは既に口を開けブレスの準備が調っていた。

喉奥に集約している黒いエネルギーに破壊力がない訳がない。

先手を取られた響達は回避するしか選択肢はなかった。


「避けるのよッ!」


二人もふらつく身体を無理矢理動かし、出来る限りブレスの範囲から逃れようとしていた。

無論、この状況で相殺など出来る訳もなく響は大地を強く蹴り全力の横っ飛び。


直後、ゲオルギアスから放たれた黒い閃光。

余りある破壊力を見せつけるが如く、大爆発を起こした。

回避行動を取っていたが、時間的余裕がなかったせいかもれなく全員がその余波に巻き込まれ吹き飛ばされる。


大地は抉れ、壁はもはやその存在証明が出来ないほど粉々に破壊されている。

更にその先あった階段をも破壊し、完全に退路は絶たれてしまった。



そして大量の土煙が視界を埋め尽くす中、黒い影が横切り、


「飛燕──!!」



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