第4話
同日23時12分、A国西部Ⅿ州。
「お次は『トリップ野郎のコナー』ですな」
「ああ、あいつか。逮捕されたって聞いてるぞ」
「大丈夫なんだろうな……?その……コナーという男は」
ヘリの非常にうるさいローターブレードの音を聞きながら目指すのはコナーという男が収容されている刑務所。
名前をバッカス刑務所と言った。
「まあ見つけるのは手間がかからないんですが……奴を動かすには少し手間がかかりましてね」
「手間?」
「ジョン」
「なんだルーカス」
「口裏を合わせてくれ」
「あいよ」
意図を察したジョンは口角を吊り上げて笑った。
「放しやがれこのカマ野郎!!何処触ってんだ!くそが!!」
汚い言葉を吐き散らしながら刑務官に連れられ手錠をかけられた男が姿を見せる。
見開かれた黒目、後ろで束ねられたドレッドヘア、筋骨隆々の黒い肌をしたその男こそルーカス達が探していたコナーである。
「ようコナー、元気が有り余ってるみたいじゃないか。一体何やったんだ?」
穴の開いたアクリル板越しに極めて陽気にルーカスが話しかけてみた。
すると話しかけてきているのがルーカスだと分かった瞬間コナーが嬉しそうに声を上げる。
「ルーカス!?なんでこんなところに来やがったんだ?もしかして俺を助けに来たのか?そいつはいい手っ取り早く頼むぜ!」
「出してもいいが条件がある。仕事をしてもらいたい」
「仕事?一体なんのだ?ああお前が金かけてた女を攫う手伝いか?」
「んなことするか。さてどうだ?ここから出れて、金も稼げるぞ。騙されたと思ってきてくれ」
「仕事の内容を教えてくれよ。後ろにジョンがいるのも気になるし」
「昔のメンバーで一緒に仕事したいと思っただけさ。なあジョン?」
「ああその通りだ。今ならお前を出してやれるぞ。どうだ?」
「きな臭ェ……まあいいか、その話に乗るぜ。とっとと出してくれ」
「だまされた!!この糞野郎共め!!」
「「hahahahahahahahahahahahaha!!」」
ヘリに乗り込んだコナーは仕事の内容を聞いた途端に喚きだした。
とはいえここは空の上、逃げ場も無ければ全力での抵抗も出来ない。
「一緒に地獄まで行こうぜコナー!」
「hahahahahahaha!!」
「黙ってろ糞!!」
「大丈夫なんだろうか?」
心配そうに眺めるジェームズ。
「さて次で最後だ。『青ポ中毒』を迎えに行くぞ。気を引き締めろお前等」
「ふざけんなルーカス!!」
「冗談じゃねぇぞ……あいつも呼ぶのかよ……」
青ポ中毒、その言葉を聞いた途端ジョンとコナーの表情が絶望に染まる。
ジェームズは状況が呑み込めていないが。
「青ポ中毒?」
「青ポーション、魔法使いが魔法を使うときに消費する魔力を補給してくれる飲み物です。それの中毒になってるんですよ。今は製鉄所をやってる」
「まあなんにせよ、必要というなら迎えに行こう」