モブゾンビ少女
読まなくても大丈夫。
『ゾンビ少女についての情報』
・見た目
国内大人気ホラーゲームに登場するゾンビのひとり。
少女というだけあって小学高学年、いってて中学生くらいの見た目。
黒髪黒目。服は秋物のオールインワンともこもこセーターををかわいく着ている。
・行動
特に人を襲うわけでもなく、家の中を徘徊している。
徘徊ルートも完全ランダムで何度も訪れているプレーヤーですら予測ができない。
時折、自室の姿見の前に立って
「どうしてこんなことに」
「みんなどうしているかな」
などかすれた声で途切れ途切れ言葉にしているさまがプレイ動画などで確認できる。
人を襲わないが恐怖心はあるようで、
生きた人間を発見すると逃げる、もしくは近くに落ちている鈍器や刃物を構えて威嚇してくる。
隠れるのがうまく、プレイヤーの入ることができないオブジェクト内に消えて行ったり、
どうしても見つけることのできないルートを利用して撒かれてしまう。
攻撃した際には
「痛いどうして」
「おねがいたすけて」
など悲痛と混乱の声を上げるも、特に抵抗もされることもなく倒すことができる。
ドロップアイテムは親が書いたと思われる手紙。
そこには置いていった旨に対しての謝罪や娘への思いがつづられていた。
・配置場所
エンカウントする家が、ゲームのメインストーリーに関わる建築物から遠く離れていること(マップの端)、一見侵入不可能なオブジェクトに見えてしまう且つ、たどり着いても入り口近くに群がっているゾンビを嫌厭して見逃してしまうプレーヤーがほとんどである。
家の中に拾えそうな消耗品もなく、少女を倒すことによって得られるドロップアイテムも書置きのみといううま味がないこともあり、アイテムコレクターなどのコアな者たちにしか知られない存在だった。
コレクターによる実況・解説プレイ動画や、一つ一つのマップが広いこともあり、お散歩と称したマップ全埋め動画によって存在が多くのものに認識されたという経緯がある。
・ネットの反応
ネットでは様々な考察が繰り広げられている。
ある界隈ではかわいい、うちで保護したいなどの意見がある。
しかしゲームシステム上逃がすか倒すかの二択しかない。
その為、一部プレイヤーによって発見されない程度の距離を保ち、数時間単位でゾンビ少女の後ろを着いて回り、満足したらこっそり脱出するというゲームプレイスタイルをネットに公開し確立された。
完全ランダムな徘徊順路であるため、「ここに来たらどこの前で何歩分移動してライトを消してしゃがむ」のような対処法がほとんどであり、有志がこれを確立するまでに30ほどのスレッドを要した。
・自我について(ゲーム世界)
あくまでNPCであり、自身はプログラムされた存在でそれ以上ではないと自我くしている。
組まれたシステムで、たったフラグに適合した行動を繰り返しているに過ぎない。
潜在的にはわかっているが、年相応に喜怒哀楽がある。
親や友人からの反応に悲しんだ思い出があり、
自分を殺そうとする『人間』を見かけたら本当に恐怖を感じている。
いつ自分が自我のない、窓を見下ろせばうじゃうじゃいるあのゾンビのようになってしまうか心配もしている。
何度繰り返されたセーブデータだろうと、人間やゾンビに対しての恐怖は新鮮である。
殺された記憶も消えない。
たとえプレーヤーが相手だと、ゲームのプログラムに過ぎないとわかっていても。
余談だが、人間は怖い。その気持ちはある。
近年のゲームに備わっているシェアや通話などネットを介した機能によって、
自分が外の世界(現実)ではどのように語られ扱われているか、何となく知っている。
自分のことをゾンビになってしまっているのに助けたい者や、ドージンシっていう本やSNS上のイラストでは甘やかに扱う者がいることを。
ニジソウサクでは自分とプレーヤーが合流し一緒にストーリーを進めて、ハッピーエンド。まではよかったが、なんだかえっちな展開になってしまい慌ててページの読み込みを中止した。
心地が悪いような、しかし救われたらという期待……。
また、えっちな展開に驚き、恥ずかしくて顔に熱が集まる懐かしい感覚。
1NPCに過ぎない自分には過分な評価だとあたふたとする姿が、役割を終えたモブ含むキャラクターたちに裏で目撃されていたり。