怪しい護衛任務・1
すみません。久々の更新です。
「あ、あの、ご、護衛をして、くれる、という、ぼ、冒険者さん、ですか」
待ち合わせの場所はギルド内。指定された時刻のちょっと前に到着したら受付嬢が安心したような表情で奥へと通してきた。
受付嬢に中に入るよう促されると、受付嬢は直ぐに出て行く。つまり、彼女に話は聞かせたくないということだろう。
ミッツェルカとラティーナが中に入ると侍女らしき女性と前髪で目が隠れていて怯えているのか身体を縮こまらせた少女がソファーに座っていた。
その少女が勇気を出したように声をかけてきたのだ。
顔を見合わせた二人はラティーナが対応することにした。
「はじめまして、お嬢様。私は新人冒険者のティナと申します。こちらは同じく新人冒険者のルカ。孤児院への護衛とのことで、新人の私達が請け負うことになりましたが、大丈夫でしょうか」
「あ、あ、あの」
「お嬢様、私が」
緊張している様子のお嬢様に、侍女らしき女性が代わりに説明をする、と言えば安堵したように頷く。
「訳あってお嬢様の家名は名乗れませんが、お許しください」
「名前も不要です。侍女さんは愛称か何かを教えてください」
「お早いお察しをありがとう存じます。私はお嬢様にお仕えする侍女・マリとお呼びください。実は急な護衛の話は、孤児院へ行くわけではありません」
ミッツェルカとラティーナは、やっぱりな、と顔を再び見合わせた。
「そうだろうとは思ってました。女性のみで動ける冒険者が居ないわけではないですが、基本的には高ランクの冒険者が多い。そういう方達は何日も前から依頼をしないと他の案件も抱えています。それなのに昨日の今日、ということは切羽詰まった何かが無い限り、余程の物知らずでしょうから。切羽詰まった何かがある人ならば、新人冒険者でも護衛が居ないよりマシでしょうからね。……それで? 男性の冒険者を頼らないこととも関係があるんでしょうか?」
ラティーナに任せる、と目で訴えたミッツェルカ。引き続きラティーナはマリと名乗る侍女に事情を説明するように促した。
「お嬢様はこの街の孤児院ではなく、教会に駆け込みたいのです。しかし」
「教会へ入ることを阻止する者がいる?」
「左様でございます」
「となると、多少の怪我はさせてもいい、くらいの考えをしている相手か。となると、新人冒険者である私達の命と引き換えにしてでも私達に引き留めさせて、その間に教会た駆け込みたい、という所かな」
ラティーナはあっさりと思惑を見抜く。
切羽詰まった状況だからこそ前日に護衛任務を頼んで来たのは間違いないだろう。
但し。その護衛任務を受けた冒険者次第で、計画を二通り考えていたと思われる。
運良く高ランク冒険者ならば難なく教会に駆け込めるが、運悪く新人冒険者でも来たとしたら、囮に使って自分達は、或いはマリというこの侍女も残ってお嬢様だけは、教会に駆け込めるように動くつもりだった、と考えているのだろうと予想していた。
まぁ此方を犠牲にしていいだろう、と勝手なことを考えたことは癪に障るが、さて、そんなに切羽詰まった状況で教会に駆け込む理由は何なのか。
まぁそこまで話してくることはないだろうと判断したラティーナは、頼もしい相棒を見る。
「いいよ。請け負う。で、この街の教会でいいのかい?」
いきなり了承されたのでマリもお嬢様も驚く。
「あ、言葉遣いが悪いのはごめんなさいね。この国の言語に慣れてないから」
言葉遣いが気になったのかもしれない、とラティーナが説明するが、其方ではなく了承された方に驚いた、とマリが言った。どうやら了承されないことも承知の上で提案したらしかった。
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