(従姉妹の)婚約破棄までの回想・3
お待たせしました。
次話はなるべく今日中に更新したい、と思っています。
で。バカは……えっ? とうとうバカしか言わない? そりゃあそうさ。こんなのを王太子、なんて呼ぶ必要があるかい? 無いね。で、だ。バカは、チヤホヤしてくれないラティは酷い女、と思い込んだ。ホントバカだよね。ラティに関心を向けられている時に、心を入れ替えておけば良かったのに。
もうね、ラティはチヤホヤされて有頂天になったバカを見限った。だからバカを諫める事さえしなくなったんだ。取っ替え引っ替え隣に居る女を変えるバカにすら。ちなみに、そのバカの側近候補として侍る事になった宰相の三男や、宰相の秘書的な役割を熟す方……これが私の父上なんだけどね……その息子……つまり私の兄上だ……は、バカのバカさ加減にうんざりしていてね。ラティが見限った事も咎める気は起きなかった。
特に兄上は、ラティと従兄妹同士。
ラティが蔑ろにされている事も兄上は激怒しているよ。何しろ兄上の妹である私は、こういう性格だからね。ラティをすごく可愛がっていてね。ラティの方が実は兄上の妹なんじゃ? って思うくらい、兄上はラティを甘やかしていたからね。バカのやらかし具合に怒り心頭さ。
えっ? 嫉妬? ラティに? 私が?
する訳無いよ。確かに兄上はラティを甘やかしまくるけど、私も兄上に愛されている事は分かっているよ。本当は兄上が私も甘やかしたい事も。ただ、私がそれを拒否するから、その対象がラティになっただけ。とは言っても、いくら従兄妹だからって爵位の関係上、兄上がラティにしてあげられる事はあまりない。
その中で、兄上が最大限やれる事が、バカをラティの代わりに諫める事。
でも、その兄上の諫言もバカには届かなくてね。兄上は側近候補をクビ寸前。クビにならなかった理由? ラティの従兄だからさ。同じ理由で従姉妹の私の事もバカは何も言わない。
何故?
だから、言っているだろう?
バカは、ラティに一目惚れしたって。
えっ?
子どもの頃の話?
ああ、確かに一目惚れは子どもの頃の話さ。
ただ、バカは意外にも一途でね。
ずっとラティを好きなんだ。
今、腕に囲っている女の存在?
そうだね。次はその話をしようか。