現れた元王太子サマ・5
「さて、と。ニルク」
「なんだ」
「あー、その偉そうな口調やめな? ラティが嫌がるよ? ただでさえ、アンタはラティから嫌われているんだから」
「き、嫌われていたのか?」
「うん。まぁそれはさておき。ニルク、ラティと兄に説明して入れてあげるから、私の説明に口出ししないって約束出来る?」
「ミッツェが言えば納得するのか?」
「そうねー。多分? それでもラティと兄から却下されたらごめんね?」
ミッツェにとって大切なのは2人であってポンコツ元王太子では無い。ただ、ラティが王太子妃……ゆくゆくは王妃になる未来を嫌がっていた事に気付いていたニルクの心意気に応じて、仲間に入れるための説明だけはしてあげるつもりだった。そんなわけで、ニルクとついでにクランを連れて部屋へ戻ると、ラティが嫌そうな顔になった。
「ねぇ、ミッツェ。どうして、そのアホ元王太子を連れて来たの?」
ミッツェがポンコツ評価なら、ラティはアホ評価で。ニルクは散々である。
「ん? まぁぶっちゃけると、あの婚約破棄は私がニルクを唆したから。唆したけれど、実行したあの時は私の予想以上だったんで、ちょっと現実逃避したし、ビックリしたけどね」
「ミッツェ、説明」
ミッツェのぶっちゃけに兄が口元をひくつかせる。
「お兄ちゃんさ、ラティが王太子妃ゆくゆくは王妃になりたくないのは知ってたでしょ?」
「まぁ」
「ニルクも知ってたんだよね。ラティがなりたくない理由は知らないだろうけどさ、ラティが嫌なものはやめさせたい、と思ってた。ニルクはラティが絡むとポンコツになるけど。ラティが嫌なことをさせたくないくらいには、ラティが好きなんだよね」
「は?」
ミッツェの説明に、ラティが目を丸くした。
「ラティは気付いて無かったけどさ。ニルクはラティのこと、好きだったんだよ。男女の色恋ってヤツで」
「嘘」
ミッツェの分かり易い説明にラティは首を緩やかに振りながら信じられない、という顔を、見せた。
「本当。だからこそ、ニルクを唆したんだ。ラティを解放するために。そしてニルクもそれを望んでいたから。別にニルクはラティと結婚出来ないなら王太子に未練は無かったのを私は知ってた。話し合ったらそう言ったからね。ただ、ラティの気持ちが変わって王妃になりたくなったら……と思って、そのままだったわけ。でも、私がラティは逃げたいみたいって言ったから、ラティが逃げられるように婚約破棄をして。でも、ラティが居ないなら国王になれない事をニルクは理解していたから、大々的に婚約破棄を行った。ニルクは国を大事に出来ないし、国民のためにも動けない。優秀だけど、ラティのためにしか動けないから。それよりも第二王子の方がよっぽども国のためにも国民のためにもなる。だからニルクはあっさり王太子の座を捨てた。それがあの婚約破棄」
ラティは全く理解出来ない、という表情で。それはミハイルも同じで。2人はミッツェと黙ったままのニルクを交互に見るしかない。
「なんで、そんな簡単に国も民も地位も何もかも捨てられるわけ?」
軈て理解したのかラティが憤慨しています、という表情で睨み付けるようにニルクを見た。
「それは……、ニルクも特殊ギフト持ちだからだよ」
ミッツェがあっさりと重大な事実を口にした。
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