第九十七話 コロナとクラスメイトチーム達
累計PV数132万突破、総合評価7700pt突破、感想数130件突破、評価者数270人突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
キーンコーンカーンコーン! キーンコーンカーンコーン!
「止め! 用紙を回収する、後ろから前に送ってくれ。……よし、では終わり!」
「……終わったー!」
「テストお疲れ様―!」
テスト勉強のために探索活動を休止してから一週間と少しが経過した。
今日をもって秋彦達はテスト期間を終え、採点終了してから夏休みに入る。つまり、今日から探索者稼業を再開できると言う事だ。もっとも、ここで点数が低ければ夏休みの半分は補習となる訳だが。
まあ今の探索者達ならその心配もいらないだろう。その後のHRも大して何かあったわけでもない。晴れてテストから解放され、自由の身となった。
「とりあえずさっさと行くか」
「そうだね。たぶん待ってるよ」
二人はさっそく下駄箱から校門へ向かう。
するとやっぱりいた。小さくなっている秋彦の従魔であるベビードラゴンの龍之介と、優太の従魔であるベビーファイヤータイガーだ。
校門近くで女子高生たちに撫でられたり写真を撮られたりしていた。
『パパー、おむかえにきたよー!』
『おとーさん、おかえりなのです!』
「よう、お迎えとは偉いな龍ちゃん」
「あれ、コロナも来てくれたんだね」
二匹を囲んでいた女子高生達はさっと身を引くが、少し離れて龍之介とコロナと呼ばれたメスのベビーファイヤータイガーを秋彦達込みで撮影していた。
写真を撮られていることはもう何も言うまい。
「いつもは魔法を使っていくところだが……今日は趣向を変えるか。龍ちゃん、いけるか?」
『だいじょうぶー! ちょっとまっててね!』
龍之介はそういうと、ゆっくり体を大きくし始めた。今日は龍之介に乗って、空を飛んで向かうつもりの様だ。体長を変えるには少し時間がかかるので、ゆっくりと待つことにする。
そして周りはもう女子高生たちだけでなく、男子高生たちも一緒になってその様子を見ている。凄いとかカッコいいとか、結構いろいろ聞こえている。
「あ、乗せてくれるの?」
『りゅうちゃんはとぶとはやいのです。うらやましいのです……』
「コロナだって十分早いよ、自信をもって」
『……おとーさん、ありがとうなのです』
大きくなっていく龍之介の背中にいたコロナが、優太の腕に飛び込んでくる。
優太がキャッチして撫でてやると、外野の女子が歓声を上げる。
ではここでコロナのステータスを見てみよう。
名前:石動 コロナ
種族名;ベビーファイヤータイガー
レベル:1→9
肉体力:10→630
魔法力:10→630
戦闘力:10→1575
有利属性:炎
不利属性:水
スキル
体長調整:(【従魔スキル】【アクティブ】自身の大きさを自在に変える。最大で元の大きさ程度。最小で蝿1匹程度)
炎纏い:(【モンスタースキル】【アクティブ】炎を纏い、攻撃力と防御力を上げる。状態異常、火傷にならず、状態異常、火傷の付与確率が上昇する。任意で発動するか火に飛び込むと自動で発動し、任意で解除するか水をかぶると自動で解除される)
引き裂き:(【モンスタースキル】【アクティブ】炎の力が宿る爪で敵を引き裂く。一定確率で相手を火傷状態にする)
噛み千切る:(【モンスタースキル】【アクティブ】高温の牙で敵を噛み千切る。一定確率で相手を火傷状態にする)
肉体力、魔法力、戦闘力ともにかなりの上がりようである。スキルも強化され、率直に言うとかなり強い戦闘力の上がり方である。ついでに進化にリーチがかかっている。
ちなみに龍之介はまだレベル6のままだ。どうやら龍之介はレベルの上がりが悪いらしい。ドラゴンだからなのか、別の要因があるのかはわからないが。
たっぷり15分前後かけて龍之介が大きくなり切った。
その体長の大きさは、すでに少し小さめではあるが、平屋の一軒家並みの大きさだ。
ベビードラゴンとは言えど、すでにこれだけデカいとは、流石ドラゴンといったところか。
『おまたせー、いけるよー!』
「うし、じゃあ親友、コロちゃん、背中に乗ってくれ」
「はいよー!」
『おじゃましまーす、なのです』
素早く龍之介の背中に飛び乗る秋彦達、周囲からも驚きの声が上がる。
「よし、いけるぜ龍ちゃん。行ってくれ!」
『はーいパパ! りゅーちゃんいっきまーす!』
龍之介の羽ばたきで、重い体が宙に浮く。シートベルトは当然ないので、自力でしがみつく必要があり、正直ある程度力量がないとすぐに振り落とされて、パラシュートなしのスカイダイビングをやることになってしまう。
そんなことになったら探索者でも高度によっては死ねる。
だが秋彦も優太も余裕でしがみついていられる。伊達に探索者として鍛えているわけではない。
………………………………
「すげー……いいなぁ、ドラゴンの従魔……」
「かっこよかったわ。優太君のコロナちゃんも可愛かったし」
「うー、羨ましいぜ。ちょっと本気で夏休みの間頑張ってみようかな?」
「うんうん、いいんじゃん? なんかあたしももう一回やりたくなってきたかも」
秋彦達が飛び去った後、その場で写真を撮っていた高校生たちは今目の当たりにしたものの感想を言い合っている。
大迫力のドラゴンを目の当たりにし、これでもなお幼いという事実。正直スケールが違うと言える。
彼らの中には探索者を志し、心折れた脱落者もそれなりにいる。そんな脱落者も興奮し、決意を新たにする者も出かかっている。正直それはいい事なのだ。
だが、そんな盛り上がっている様子を苦々しい顔で見ている者がいた。
真崎だ。秋彦達のクラスメイトチームの一人である。
残りのメンバーもその場におり、そんな真崎の様子を心配そうに見ている。
「何がちょっと本気で、だよ。そんなちょっと本気出して、簡単にあそこまで行ければ誰も苦労しないんだよ……」
「まあまあ真崎、あいつらだって夢見るくらいタダってもんだろ」
毒づく真崎に、おどけるように声をかけたのはエミーだ。だが、肩に置かれた手を振り払わない程度には真崎も思う所があるようだ。
「にしてもどんどん強くなっていくねあの二人は……」
「はい。悔しいですが、たとえあたしたち全員で掛かったとしても二人どころか一人も倒せないでしょうね……」
奏と言葉のコンビもつぶやく。
二人も、力量に差があるのは仕方ないにしても、それにしても差が広がる一方な気がしてならないのだ。
「彼らのチームはどこでどんなレベルアップしてるんだろうねー?」
石崎がぽつりとつぶやく。
何気ない疑問ともいえるが、そこは重要だ。レベルが上がれば実力がつく。実力がつけばどんな魔物とも戦える。
もう、無力だったころの自分達とは決別するのだ。いや、したのだ。今更止まれるものか。
「……なんだったら頭下げてレベル上げに付き合ってもらっちゃおっかなー……?」
「エミー、その時は僕も一緒だ。焦っちゃいけないのは分かってるけど、僕らには時間がない」
「そうだね。地方都市奪還作戦、何としても参加するよ!」
「地方都市奪還作戦は、ある意味あたしたち【モンスター・キラーズ】の悲願ともいえます。あたしたちの悲願のため、まずは初級突破目指していきましょう!」
「「「「応!」」」」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は10月18日午前0時予定です。
よろしくお願いします!