第九十三話 お泊り会と海外情勢
累計PV数123万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
前回から、また一区切り、というか日本がダンジョンに対応するために本格的に動いていくので新しい章と言う事にしました。
これからもりあダンをよろしくお願いいします!
「いやー、今日も頑張ったなー」
「ここのところ結構目まぐるしく動いているしね、私達」
レインボーウィザーズが地方都市奪還作戦抜けての活動を始めて早くも二週間ちょっとが経過した。この日の活動はあらかた終わり、赤龍で食事も終わり、明日は休みだ。なので四人は秋彦の家に泊まり、親睦を深めつつ、明日の朝いちばんからダンジョン巡りに向かうことになった。
今日は夜通し遊ぶことを決め込み、お菓子もジュースも買いこみ、ゲームもパーティーゲームも用意した。最新型のゲーム機だ。
五人とも、こんな機会はなかなかなく、全員そろってテンションは高めである。
「よーし、テレビつなぐぞー」
その最新型のゲーム機をテレビに繋げるためにテレビをつけた。
すると、ちょうどニュース番組をやっていたらしく、このようなニュースが飛んできた。
≪現代に現れた梁山泊?! 中国、探索者業に本格進出!≫
ニュースを見てみると、どうやら中国が探索者業界に本格的に進出し、そのために探索者を支援する方針を決めたようだ。すでに国軍だけでなく、民間の探索者達を軒並み好待遇で囲み、ダンジョンで出てきたアイテムを手に入れ、売りさばいているようだ。
民間出身の探索者の精鋭ぶりから、現代に現れた梁山泊などとコメンテーターは言っている。
尤も、梁山泊は豪傑ぞろいではあるが、反政府集団だ。それは別のコメンテーターに突っ込まれていた。
「はー、中国もいよいよ本格参戦か。俺ら意外とあっさり追い抜かれちまうんじゃね?」
「まだまだ先だって。さっきテレビでレベル出してたじゃない。まだ14とかその辺だったじゃない」
「……しばらくは大丈夫といっても油断はできない。引き続き鍛錬は怠らないように」
「そうだね。……そういえば他の海外ってどんな感じなんだろう?」
「あら、知りたい? いいわ。教えてあげる。私も気になって調べたのよ。地方都市奪還作戦の存在が発表されたあの会議の後からね」
ふと、優太が疑問を口にする。その疑問に答えたのはジュディだ。
まず中国やインドといったアジアの国。こういう所ほど無謀な突撃を繰り返し、人死にが増えているらしい。
中国は、地方都市奪還作戦が明かされるまでは魔物は適度に倒しつつも、積極的に倒しに行くことはなかったようだが、地方都市奪還作戦発表後は積極的にダンジョン攻略を国軍や、有能な民間人を取り込んで行っているらしい。
インドではさらに苛烈だ。なにせ民間人が自ら無謀な特攻を繰り返している。死者も当然相応に多いが、成長速度も当然早い。
軍隊もそれに負けじと成長をしていっているらしい。軍隊の方はさすがに人死にの数は少ないようだが。
「なんでそこらへんって、そんな無茶苦茶してるんだろう?」
「いくら何でも日本に後れを取るのが許せないってだけじゃないだろうしな。インドとか」
「……推測だけど、ここら辺は経済格差の激しい国だから、手っ取り早く稼げて、上手くいってレベルが上がれば成り上がれるからじゃないかしら。無理な突貫は探索に必要な装備やアイテムを手に入れるために軍資金がいるからだと思うのよね……」
「あー、そういう……」
そういわれると少し納得してしまう。
経済格差が大きい国だと、一度格差の下になってしまう、あるいは最初から下だと挽回するのはやはり難しい。
富める者はますます富むし、貧しい者はますます貧しくなる。
しかし、ここで裸一貫でも腕っぷしが強くさえあれば収入を得ることが出来る探索者という職が登場した。日々を食つなぐのにも事欠く彼らにはもはや迷っている余裕さえなかったともいえるだろう。それに強くなれれば国からお声がかかるかもしれない。いろいろな意味で貧しい者からしたら夢のある話だ。
富める者からすれば、有用な品物をほとんどタダ同然で売り払ってくれるのだ。有用なものを安く売ってくれる彼らには、遠慮なく金も出せるのだろう。もちろん競合相手よりは高く買わなくてはいけないが。
という訳で、富める者貧しい者双方にメリットのあるこのダンジョンは国軍により、国からの厳重な管理がなされている。
しかし、その中にあってこんなうわさがある。
やはり中国は広大な国土を持つ国だ。氾濫騒ぎで減った国軍と、増えた難民。その差によって徹底的な管理はやはり難しく、目の届かない場所に生まれたダンジョンに潜り、難民やチャイニーズマフィアといった裏社会の住人が力をつけているらしい。真相のほどは不明だが、ジュディは十中八九真実であると思っているらしい。
インドはインドで、貧富の差がまた激しい社会だ。また、教育の差も激しく、生まれついての差がある社会といえる。
成り上がることを夢見る人間などそれこそ山ほどいる。おまけにダンジョンで強化されるのは腕っぷしだけでなく、頭の出来もなのだ。
成り上がる仕組みは中国と同じだが、その必死度合いが違う。
インド国軍もそんな探索者達に強くなられすぎると自らの立場が危うくなるので、ダンジョンによる成長には余念がないそうだ。
翻っておとなしいのはEU、ヨーロッパ諸国だ。
彼らはたとえ利益の出る見込みが大いにあろうとも、そのために大量の人が死という形で犠牲になるのでは話にならないとし、今のところは日本の法改正を参考に自国に合わせた政策を打ち立て、人死にが出ないように、しかしあまり出遅れすぎないように虎視眈々とレベルアップを図り、来るべき時代に備えている。
ダンジョンに置いて少々出遅れ気味なのはアメリカだ。意外かもしれないが、出遅れている感があるらしい。
その最たる理由が銃の通用しない魔物の存在だ。
共食い超強化で起こった戦力増強による蹂躙のトラウマは、軍隊ではなく民間人に植え付けられてしまい、完全に委縮してしまっていたのだ。
やはり銃とはアメリカ人にとっての魂といえる存在だったらしく、それを打ち砕かれた民間人はすっかり弱腰になってしまっていたのだ。
勿論全員が全員そうかといえばそんなことはない。無いのだが、その数があまりにも多かった。
軍隊の強化はもう始まっているが、民間人の強化が思うようにいっておらず、そのせいもあってか一部の民間人出身の探索者は、一つの小さな町を根城にその町の王の様に振舞っている人も少なくないのだとか。
ここまでがジュディの調べがついた範囲だ。ロシアや中東についてはあまり深く探りを入れていないので、とりあえず知らないらしい。
「うへぇー、知らなかった……」
「うん、そんなことになってたんだね……」
「さすがにあたしもそこまでは知らなかったよ……」
「……よ、イギリス大企業会社社長令嬢。海外情勢お手の物」
「もう、みんなして……みんなもうちょっと海外にも目を向けた方がいいわよ? 今後日本がダンジョンの脅威を退けたなら、次に地球の正常化のために海外でダンジョン攻略を行うことになることもあるかもしれないわ」
「「「「はーい」」」」
真剣な話題になってしまったが、改めて五人はゲームの接続を行い、ゲームを始めることにした。
「さーて……今晩は寝られると思うなよ?」
「ウフフ、最初に寝た人は明日罰ゲームってのはどう?」
「「「「乗った!」」」」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
海外情勢などに突っ込み等数多くあると思いますが、とりあえずこの世界ではこういうことになりました。
気になるというお言葉を多くいただきましたが、私のクソの様な脳みそではここが限界でした……突っ込みどころが多いと思いますが、申し訳ございません。
次の投稿は10月6日午前0時予定です。
よろしくお願いします!