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第九十話 会議終了!

累計PV数117万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「皆さん、どうか静粛にお願いいたします!」


 再び雨宮が静かにさせる。

 

「ギルドでは以上の三つをもって探索者人口の増大を狙っていきたいと思います。また、それと並行して探索者の戦力の増強のために考えていることがあります。皆様、次のページをご覧ください」


 次のページに切り替わると、次のように書いてある。


≪素材アイテムの回収と解放された新スキルによる装備製造≫


 このタイトルを見て気分の高揚に声を上げたのはやはり研究者達だ。いよいよ自分たちが呼ばれた理由が来たのだ。興奮するのも仕方ない。


「はい、今回レインボーウィザーズが持って帰ってきた物は聖域チョークと海洋の守護像だけではありませんでした。その中には素材アイテムと呼ばれるアイテムもありました。これはその名の通り素材として使用できる道具の事です。一つづつご説明いたしましょう」


 そういって雨宮は次々と昨日レインボーウィザーズと検証した道具を紹介していく。

 研究者達が新しいおもちゃを手に入れたかのように目を輝かせている。

 特に印象的だったのは、アダマンタイトの紹介をしているときにえらく興奮していた人がいた。会議が始まる前にIT分野に生かせるものが欲しいと言っていた人だったような気がする。

 また、布の紹介に入った時に血染めの衣装を製作した株式会社カッソロの社長さんが熱心にメモを取っていたのが見えた。


「……以上が素材アイテムの説明となります。もっとも、素材アイテムは恐らくこれがすべてという訳ではないでしょう。今後も多くの鉱物、布類に限らずあらゆる素材が出て来る事でしょう。そのすべてを詳しく検証し、魔物討伐への糧としなければなりません」


 会場内から拍手が起こる。

 その拍手は魔物の討伐だけでなく、ダンジョンからの新しい産業への期待もこもっているのかもしれない。

 ひとしきり拍手が収まると、雨宮が話を続ける。


「そして、これらの素材を加工するには、鉱物は【鍛冶】スキルが、布類には【裁縫】スキルがそれぞれ必要になってきます」


 それを聞いて頭を抱える研究者や社長さん。

雨宮がいずれも習得に必要なDPが1万からと、かなり高めの設定になっているが、これなら入門ダンジョンを突破するだけでも集まるので、非常識な量ではないと言っても、やはり探索者ではない研究者などからすれば、探索者にならなければいけないという心情や、1万DPという高めの設定はちょっと苦しく見えたのかもしれない。

 部下や、自分の命を懸けさせられるというのは理屈抜きでいやなものだ。それは仕方ないだろう。


「今後は武具や防具の生産者にも探索者を増やし、多くの強力な装備をもって聖域チョークを集めつつ、戦力の拡大に努め、二か月後を目途に地方都市奪還を始動させていきたいと思います」


 今まで起きた会場の拍手の中でも一番大きな拍手が沸き起こった。


「もちろん、今後とも皆様のお力をお借りしながらの作業になっていきます。特に自衛隊と、政府機関の方々、政治家の皆様にはまだまだ連携を密にして事に当たりますので、これからも何卒、よろしくお願いいたします!」


 深々と頭を下げると先ほどと同じくらいの大きさの拍手が上がった。


「ありがとうございます。ではこれより昼食のお時間とさせていただきます。昼食を終えた後に質疑応答の時間とさせていただきますので、よろしくお願いいたします」


 そういうと雨宮はいったん退室し、控えていた女性たちが、出席者にお弁当を配り始めた。

 配られたお高そうな弁当を秋彦は持ち前の巨体を丸めてチマチマ食べていた。緊張からなのか、貧乏舌のせいなのか、いまいち味がよくわからない。

 ここからが秋彦達がいる意味になる。ダンジョンで起こったことなどを聞かれた際に矢面に立つのは、今回はジュディだが、あまり気を抜いているわけにもいかない。

 それにこれだけの数だ。誰がどこからどんな質問を投げかけて来るかわかったもんじゃない。そこも考えて、気を引き締めていかねばいけないだろう。ここが正念場だ。


………………………………


 それから、どれほど時間がたっただろうか。

 質問する側も質問される側も骨と皮だけになりそうな程にやつれて会場から出てきた。


 あまりにも多くの質問が飛び交った。中で実際に起こった事を始め、手に入れたものの詳細をもっと詳しく聞けないか、重箱の隅を楊枝でほじくるかのような質問もされたし、素材アイテムについてもこれでもかというほどに聞かれた。

 本当に何も知らないのかだけでなく、研究するに当たってどこの研究機関に売り渡すつもりなのかなどもずいぶん聞かれた。

 中でも特に競争が激しかったのはヒヒイロノカネとアダマンタイトだ。どちらも熱と電気にそれぞれ強く、上手く活用できれば今までの技術ではできなかった超高性能の機械を誕生させることが出来るかもしれないとあって、引く手あまたであった。

 が、秋彦たちがギルドに売った量はそれほどでもなく、基本自分達が素材を持っていて、研究に必要な分以外は、自分たちが必要になったら使う形にしていたのだ。

 それを告げると、研究者たちが、量が限られた素材を巡り、その場で殴り合いが起きそうなほどに激しくにらみ合った。それを止めようと秋彦が立ち上がろうとしたら、研究者達が青い顔をして座られたりもした。

 そうして全部の質問が終わったころには日はとっくに沈んでいた。


 正直秋彦も優太もくたくただ。もう一歩も動きたくないほどに。会議というものがこんなにも疲れるものだったとは知らなかった。

 とはいえ質問のほとんどはジュディと茜が答えており、たまに流れ弾の如く飛んでくる指名での質問にたどたどしく答えていただけだった。

 しかしそれでもへとへとになっているというのにジュディ達女子陣はタフでたくましいものだ。顔色一つ変えずに応対していたし、今も疲れの表情一つ見せずにいる。

 そして今も尚、外には多くの報道陣が詰めかけている。会議室に入れなかった連中だ。その場に有識者として呼ばれた人々に先ほどの質問が生ぬるいと思うほどの質問をぶつけ、写真を撮影していた。


「やっと……やっと終わったと思ったら今度はあれの中に飛び込めってか……?」

「ああ、さすがにそれはしなくていいよ。対応している人もいるし、後日改めて僕の方でも対処するから。テレポーテーション使って帰っていいから」

「ああ……ありがとうございます……」


 これが救いかと思う秋彦と優太。

 しかしそんな様子を呆れたように女子陣は見ていた。


「だらしないわね二人とも」

「これじゃあ先が思いやられるよ?」

「……しっかりして」

「三人が場慣れしすぎなんだよ……」

「本当に……タフだなぁ三人とも」


 とりあえずあとは雨宮に任せて、今日はもうテレポーテーションで全員送り付けてから帰って寝ることにした。もう今日は何もする気になれなかった。

 寝る直前に、つくづく思ったのだが、学校行ってる方がまだ楽しかっただろうなと、思い目を閉じたら、あっという間に意識を手放せた。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。


これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は9月27日午前0時予定です。明日です。

会議パートは終了です。またいつも通り3日おきの投稿に戻します。お付き合いいただきありがとうございました。

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