第八十話 日本ダンジョン、大型アップデート!
累計PV数102万突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
秋彦たちがしばらく肩を落としていると、ライゾンが次を促すべく声をかける。
「さて、とりあえず、DPを受け取ってしまおう。次の説明はそれをしないと始まらないからね! さあこっちだ!」
「え、お、おう」
唐突に流れを変えられた感はあるが、五人はライゾンについていき、リザルトの表示される、ダンジョンウォッチを置く台座と、リザルトを表示するディスプレイのある部屋に行く。
ボス部屋のちょっと先にあるそこは、入門ダンジョンの物と変わりがない。
「さあ! 君たちの今回の報酬となるDPを受け取り給え!」
言われるがままにダンジョンウォッチを五人分かざし、ボタンを押す。
先に耳を塞いでおくと、案の定爆音のファンファーレが鳴り響いた。これも入門ダンジョンと変わりない。
ディスプレイに表示が出てくる。
まずはでかでかとcongratulations! の文字。ここまでは入門ダンジョンと変わらないらしい。
次にresultと出て、その下に次々に文字が出てくる。さあ、ここからが問題だ。
史上最初の初級ダンジョン探索者……現代地球上、最初に初級ダンジョンに入った
史上最初の初級ダンジョン制覇者……現代地球上、最初に初級ダンジョンを制覇
史上最初の初級魔物撃破(物理)……現代地球上、最初に物理攻撃で魔物を倒した
史上最初の初級魔物撃破(魔法)……現代地球上、最初に魔法攻撃で魔物を倒した
史上最初の初級ダンジョンボス撃破…現代地球上、最初に最下層の初級ダンジョンボスを撃破
脱、魔法初心者(炎)…………………炎属性魔法をLv15にした
アナライザー(初級)…………………初級ボスの弱点を突いた
サクサク攻略(初級)…………………初級ダンジョンを効率のいい階層攻略を行った
低レベルクリア(初級)………………初級ダンジョンを目標攻略レベルより下のレベルでダンジョン制覇
ダンジョンを駆け抜けろ(初級)……初級ダンジョンを目標攻略時間よりも早くダンジョン制覇
血に飢えし者達(初級)………………初級ダンジョンで一回で100体以上のモンスターを討伐
魔法の修練者2…………………………魔法力を一定数まで鍛えた
フィジカルトレーナー2………………肉体力を一定数まで鍛えた
今回も燦然と輝く史上最初シリーズ。これを見るために強行軍を行ったのだ。苦労に見合うDPを期待してしまう。
「うひょー! キタキタ!」
「今回はどんだけの点数になるんだろう」
「ワクワクのドキドキね。胸の高鳴りが抑えきれないわ!」
「おおおおおお、こ、コンサートの前位緊張するー!」
「……正直、今までこんなに緊張したことない……」
それぞれがそれぞれの感想をつぶやく中、説明文が消え、代わりに数字が出てくる。
さあ、どうなる?
史上最初の初級ダンジョン探索者……20万DP
史上最初の初級ダンジョン制覇者……50万DP
史上最初の初級魔物撃破(物理)……5万DP
史上最初の初級魔物撃破(魔法)……5万DP
史上最初の初級ダンジョンボス撃破…15万DP
脱、魔法初心者(炎)…………………5万DP
アナライザー(初級)…………………5000DP
サクサク攻略(初級)…………………1万DP
低レベルクリア(初級)………………1万DP
ダンジョンを駆け抜けろ(初級)……5000DP
血に飢えし者達(初級)………………2万DP
魔法の修練者2…………………………5000DP
フィジカルトレーナー2………………5000DP
TOTAL 1,060,000DP
「ブー! な、な、な、なななななな!」
「ひ、ひゃ、ひゃ、ひゃ、百万超えたー?!」
「百万とんで6万DP……?」
「あ、あわ、あわわわ……」
「……なにこれ……なにこれ……?」
最早喜びを通り越して気が動転している。無理もないだろう。今までDPは、稼いでもせいぜい万単位だったのに、突然100万も与えられたのだ。
こんなのもうやりたい放題に決まっている。逆にこんなに一体どうしろというのだというレベルだ。
動転が収まりきる間もなく、画面が切り替わる。
getting points‼
1,060,000DP
おめでとうございます!
貴方達は1,060,000DPを獲得しました。DPはダンジョンウォッチを通じて様々な特典と交換できます!
次は中級ダンジョン制覇を目指しましょう!
と表示が出てきて、しばらくすると消えてしまった。
「と、とんでもない量をもらっちまった」
「凄いわぁ……これならもう使い放題ね……あら?」
興奮が冷めないままに呆然としていると、突如ダンジョンウォッチが妙な音を立て始める。警報のようなビーッ! ビーッ! と言った感じの音だ。
「うわ! な、何!?」
そして警報が鳴りやんだかと思ったら、ディスプレイが突然立ち上がり、ポップアップが表示された。
≪緊急通達!≫
≪初級ダンジョンが以下のメンバーによるチームに制覇されました!≫
≪南雲 秋彦≫
≪石動 優太≫
≪ジュディ=マクベス≫
≪楠 桃子≫
≪舞薗 茜≫
表示されたのは、自分達の本名と顔写真だ。いきなり何の前触れもなく公開されてしまった。
「ちょ?! 勝手に何してんだこれ!」
「うわ! プライバシーの侵害じゃないのこれ!?」
「うわー、あたしの顔写真がこんなにでかでかと……これいい宣伝になるかも!」
秋彦は抗議の声を上げるが、ダンジョンウォッチはさっさと次のポップアップを表示させる。
……一人売名に成功したかのような呑気な事を言っているが。
≪制覇地区、日本≫
≪日本のダンジョンが初級ダンジョンを制覇したことにより、これよりダンジョンはアップデートの為の準備期間へと移行します≫
≪今から半年後まで、日本のすべてのダンジョンで魔物の氾濫が凍結されます≫
≪半年の凍結期間後に一部を除き、入門ダンジョンが初級ダンジョンへ置き換わります≫
≪凍結期間中もダンジョンの内部では魔物は出ますので、凍結期間中に各自成長を図って下さい≫
「あ、アップデート……?」
「そう、初級ダンジョンをクリアした者が出たからね」
呆気に取られていると、ライゾンが解説を入れてくる。
どうやら初級ダンジョンが踏破されると、探索者達を更に強くするために強化が図られるらしい。
具体的な内容を上げると、まず入門ダンジョンが大幅に減少する。そして減った入門ダンジョンの代わりに初級ダンジョンが大幅に増え、中級ダンジョンがあちこちに増える。
今までは中級ダンジョンは誰も入れないダンジョンであったが、これからは初級ダンジョンの制覇者のみ入れるようになるらしい。
しかし五人ともそれを聞いてビビる。
「いやいやいやふざけんなよ、何それ聞いてねーよ!」
「そうだよ! 初級ダンジョンの制覇者が出た途端そんなことになったら、今入門で頑張っている人たちが困るよ!」
ただでさえ、探索者人口が少なく、今は入門ダンジョンでなんとかレベルアップを図ってる新規の探索者達が困る。レベルアップできる場所が大幅に減ってしまうからだ。
それに入門ダンジョンを突破できたとしても初級に入るまで入門ダンジョンで引き続きレベルアップもするだろう。既存の突破者も困ったことになる。
「話はそれだけで終わる事じゃないわ」
「そうだよ、初級突破者がやっとこさあたし達一組しかいないのに、そんなんやられたらたまったもんじゃないっての!」
「……それじゃ国内を立て直すこともままならない。また新たな混沌を生み出すだけになってしまう。せめて突破者が10組辺り居ないと厳しい」
女子陣もたまらず文句を言う。
いくらクリアチームが出たところで、たった1組しかいないのでは聖域チョークに海洋の守護像の供給も間に合わない。国を立て直すどころか更なる混沌へ足を踏み込んでしまう。
「何を言うんだい、そのための準備期間じゃないか。一か月でここまでやれるようになったんだ。半年もあればその頃には初級ダンジョンの制覇者だってもっといるはずだよ」
……確かに、それが今すぐに行われるというならそれもそうかもしれない。しかし、準備期間が半年あるのだ。日本の探索者を更に追い立て、成長させようと言う事なのか。
「あー……え、じゃあこの準備期間って、俺達探索者のってことかよ」
「ダンジョンも探索者も。要は両方さ。これで終わりじゃあないよ。続きを見給え」
再びディスプレイに目を向ける。
≪新スキルアンロック、日本≫
≪日本のダンジョンが初級ダンジョンを制覇したことにより、新しいスキルの習得がアンロックされました≫
≪習得カテゴリー【アクティブ】【生産】≫
≪スペシャルスキルアンロック、日本≫
≪日本のダンジョンが初級ダンジョンを制覇したことにより、スペシャルスキルがアンロックされました。個人の才能が習得させる特別なスキルです。ダンジョンウォッチによる習得は出来ず、個人でそれぞれに覚醒し、あるいは生まれつき習得しているスキルです≫
≪最後に、初級ダンジョンを最速でクリアしたチームを輩出した、日本の探索者の皆様に置かれましては、益々のご活躍とご発展を切にお祈りいたします≫
最後にそう表示されて、ディスプレイは消えた。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は9月1日午前0時予定です。
よろしくお願いします!




