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第七十八話 東京駅ダンジョン最下層ボス(後編)

累計PV数99万突破、感想数80件突破しました!

また、HJネット小説大賞2019一次選考を突破いたしました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

特にHJネット小説大賞2019に関しては本当にありがたいことだと思います。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「う、嘘だぁ!」

「効いてない?! あの大火力が!?」


 ショックに声をあげたのは桃子と優太の二人だ。気持ちは分かる。いくら弱点属性ではない攻撃とはいえ、まさかほとんどダメージになっていないとは想定外だった。

 ……違う。よく見てみると確かにダメージにはなっていたのだろう。しかし、受けたダメージがすごい勢いで修復されて行っている。

 茜は何かに気づいたのか、アナライズで得た情報を改めて見直し、声を上げる。


「……前衛組離れて! 瘴気の影響かもしれない!」


 しかし、茜の言葉に反応したのか、レイス・フェーラーは更に大量の瘴気をまき散らし、自分を中心とした空間にさらに呪っていく。

 一旦、後方に退く二人。


「どういうことだ? 瘴気の影響って?」

「……アンデッドモンスターのパッシブスキル【アンデッド】と、瘴気がシナジーしてる」


 瘴気は説明文に書いてあったが、「強力な闇の魔力と呪いをはらむ空気である」となっている。そしてアンデッドのスキルは「すでに死んでいる身体なので、呪いや即死魔法で回復や復活し、回復魔法でダメージが入る」となっている。


「え、じゃあ奴が他の事一切しないで散々瘴気をまき散らしてたのは……」

「自分が戦いやすい陣地を形成するためって事!?」

「え、じゃあまさかあの六体の動きが異常に良かったのも……」

「瘴気の影響か。あ……もしかしてあの六体ってそもそも陣地形成の為に用意された時間稼ぎの捨て駒なんじゃ……」

「……可能性は大きい」


 もしそうなるとこれはまずい状態だ。なぜならここまではレイス・フェーラーの想定の範囲内と言う事になる。

 と、ここで秋彦の危険感知が警報を鳴らす。


「やばい全員跳べ!」


 全員がジャンプでその場を離れると、一瞬間を置いた後に、地面から現れた黒い空間が、秋彦達を喰らうかのように押しつぶしてきたからだ。

 闇の範囲攻撃魔法、ダークネスだ。間一髪で全員魔法攻撃を交わすことができたが、額からは冷や汗が出てくる。


「うお、アブね、攻撃してきた。闇魔法ってこんな早くて威力ある魔法なのか?」

「……違う、私も使えるから知っている。撃つまでの時間が早すぎるし威力が桁違い」

「まさかこれも瘴気の影響か?」


 というよりそれ以外の影響が考えられない。レイス・フェーラーのスキルには、瘴気吸収というスキルもあった。強力な闇の魔力が呪いをはらむ空気である瘴気を自らに取り込み、パワーアップする。呪われた物や場の呪いも吸い取り、力にするというスキルの影響で全体的にパワーアップしているのだろう。


「……逆に言えば、瘴気を何とか出来れば、勝ち目はあるかも」

「あ、じゃあ僕、ホーリーライトで何とかするよ!」

「……私も神秘の水差しの聖水を使って浄化する」


 優太は自前の光魔法で浄化を行い、茜は聖水を操って呪われた場や瘴気を浄化するらしい。


「よし、じゃあ俺はメンタルで二人の魔力の底上げをする。ジュディとモモは魔法で攻撃頼む。どうせ魔法攻撃はよけるっきゃねぇし、魔法だと距離も関係ねーからな」

「それしかないか。弱体化したら、攻撃の危機でわかるしね。にしてもまさかあたしが前衛やる事になるとはね!」

「向こうの攻撃に対する妨害になれば御の字と言ったところかしらね。分かったわ、三人ともよろしくね!」


 大体の方針が決まった所で作戦に移る。


「うし行くぞ! 『力よ!』ハイパワー! 『力よ!』メンタル! 『力よ!』ハイパワー! 『力よ!』メンタル! オッケー頼むぞ!」

「はいよ! 『光よ!』ホーリーライト!」

「……よいしょ『水よ、我が命にて、我が意のままに動け!』ウォーターコントロール!」


 優太のホーリーライトは天井から光源もないのに光が降り注ぎ、その光が当たると瘴気が薄まり、瘴気に呪われ、黒くなった土が普通の色に戻っていく。

 茜は持っている神秘の水差しから出てくる聖水を、ウォーターコントロールで操作することで呪われた地面や瘴気を洗い流していく。かなりの勢いだ。これなら今は前衛に戻って攻撃をし続けたほうがいいかもしれない。


「大丈夫そうだから前戻るぞ?」

「うん! 浄化し終わったらこっちも参加するからね」

「……すぐ終わらせる」


 頼もしい声を聞いて前衛に復帰するべく走る。

 途中何度かシャドウボールが飛んできたがうまくかわし、瘴気に呪われた土を踏まない位置で攻撃魔法を撃ち続けるジュディと桃子の所までやってきた。


「よう、状況はどうだ?」

「やっぱり効きは悪いわね。傷はついているんだけど、まだ向こうの回復力が上回ってるみたい」

「とにかく撃っていくよ。浄化組に攻撃を向けさせない囮の意味もあるしね!」

「うし、じゃあ俺も攻撃に参加するぜ!」


 秋彦はフォースで、ジュディはアースショットで、桃子はファイヤーでそれぞれ攻撃を行っていく。レイス・フェーラーからの攻撃も来るが、うまく避けて攻撃を撃ち続ける。

 途中で何度か危うく被弾しそうにもなったが、ギリギリのところで交わしたりしつつ、攻撃を引き付け、敵の弱体化を待つ。

 と言っても攻撃を放ち続けている間も、敵の攻撃速度は目に見えて確実に落ちてきている。威力も落ちているであろう攻撃では、今の五人で被弾はもうないだろう。

 また、敵のダメージ回復もだんだん追いつかなくなってきている。こちらはゆっくりだが、確実にダメージの蓄積が始まっている。後ろでの浄化が効いているようだ。

 そして……


「お待たせ、瘴気の浄化は完了だよ!」

「……あとはあいつだけ」


 優太と茜も役目を終え、攻撃に加わってきた。

 こうなったらもう勝ちは揺るがないだろう。全員総がかりでレイス・フェーラーを的にガンガンと撃っていく!

 すでに回復力の大半を失っていたレイス・フェーラーは、その総攻撃で、あっさりと沈んでいった。


………………………………


「うおおおおお!! やったーーー!!」


 レイス・フェーラーが完全に倒れ、消滅したのをみた秋彦は思わず大声を出してしまった。

 これで第三階層も突破。ニャン太君の言う事が正しければ、これで初級ダンジョンは制覇と言う事になる。

 秋彦の大声につられて、残りのメンバーも大声を出す。


「やった! やったね!」

「すごい! とうとう私たちここまで来たわ!」

「いやっほーう! 終わったー!」

「……凄い、これは凄い……!」


 残りのメンバーも喜びを声に乗せ、はしゃぐ。手を取り合ったり万歳しながら飛び上がったり、ガッツポーズをしたりと様々だ。


「はぁー……長いような短いような日々だったけど、ようやく初級ダンジョン終わったなー……」

「嬉しいー、今日はウチで宴会だね!」

「おう!」

「いやー、お見事お見事、流石は私が見込んだ二人に初期からダンジョンに入ってきた期待の新星たちだ。喜びたまえ、君たちは現時点で最速の初級ダンジョン制覇者だよ。他の探索者達は行ってもまだ二階層目くらいで止まっているのに、いや凄い!」


 楽し気にはしゃぐ秋彦と優太のやり取りに割り込んで入ってきた声。

 全員は一斉に振り向くと、秋彦と優太にとっては久しぶりの。ジュディ、桃子、茜にとっては最初の遭遇となる。


「あ、お前、ライゾン!」


 フードを頭から深くかぶった女性、ライゾンがそこにいた。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は8月26日午前0時予定となっております。

はいそうです。PCの環境もそこそこ整ってきましたし、そろそろ消費した書き溜めの補完が済みましたので、今まで通りの3日間隔に戻させていただきます。

楽しみにされている方々に置かれましては大変ご迷惑をおかけいたしましたが、これからは通常運行です。よろしくお願いします!

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