第七十五話 アンデットモンスターと実験
累計PV90万突破、年間ランキング98位で年間ランキング入りをしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
しばらくダンジョンを歩いていると、秋彦の魔力感知がそれの存在を知らせてくる。
生命力感知では引っかかってこなかったことを考えると、そのあたりは予想通りというべきか。
先頭を歩く秋彦が武器を構えると、メンバーもそれぞれ武器を構える。
遠くから現れた敵は三体。
一人は斧を持った戦士のような人間の姿をしているが、顔色が明らかにおかしい上に、体のあちこちが腐り落ちている。一部骨が露出している個所もある。
もう一人は魔法使いのような姿で、こちらも人間の姿をしているが、足がなく、半透明だ。おそらく幽霊の類だろう。
そして最後の一人は、遠目で人に見える他二体と違い、明らかに人間の見た目をしていない。全部骨だ。スケルトンである。目からは赤い光を放ち、ぎょろぎょろと動いている。おそらく目なのだろう。それが剣と盾を装備しガシャガシャ音を立てて歩いている。
「おお……ゾンビかゴーストかスケルトンのどれかと思ってたけど、全部とはね」
「うわぁ……本当に出たよ」
「まあまずは見てみるか。『力よ!』アナライズ!」
視認できたので早くにアナライズをかける。まずはゾンビの様な戦士からだ。
名前:ゾンビウォーリアー
レベル20
肉体力:1000
魔法力:500
戦闘力:2000
有利属性:闇、土
不利属性:炎、光
使用魔法属性:無し
スキル
斧術Lv3:(【パッシブ】斧術を習熟し、斧を振れるようになる)
体術Lv3:(【パッシブ】体術を習熟し、肉体を効率よく動かせるようになる)
ぶんまわし:(【アクティブ】手に持つ両手斧を激しくぶん回すことで威力の高い一撃を繰り出す)
スタンアタック:(【アクティブ】武器にしびれ薬を塗り付け、喰らった相手を状態異常【麻痺】にする)
アンデッド:(【モンスタースキル】【パッシブ】すでに死んでいる身体なので、呪いや即死魔法で回復や復活し、回復魔法でダメージが入る)
死んだ勇猛な戦士が魔力によって再び動くようになった。
ゾンビは死んで間もない存在であり、普通の戦士よりもタフであること以外は、生前と変わらぬパフォーマンスを発揮する場面もある。
魔法こそ使わない物の戦士として優秀であり、武器にしびれ薬を仕込むなどの行動もとる。
持っている武器は生前から使用している質のいい武器であることが多い。呪われていることが多いが、解呪できるなら貰っていくのもいいだろう。
次はゴーストだ。
名前:ゴーストメイジ
レベル21
肉体力:0
魔法力:1600
戦闘力:2150
有利属性:闇、土
不利属性:炎、光
使用魔法属性:闇Lv7
スキル
魔法効率化Lv2魔法を効率的に使用することで、消費魔力を抑え、威力を上昇させる。
魔力制御Lv2範囲攻撃魔法を行う時、味方を巻き添えにしない。
高速詠唱Lv2:(【パッシブ】魔法の詠唱を早める)
アンデッド:(【モンスタースキル】【パッシブ】すでに死んでいる身体なので、呪いや即死魔法で回復や復活し、回復魔法でダメージが入る)
バニシングボディ:(【モンスタースキル】【パッシブ】幽体であることから物理攻撃が通用しない)
かつて高名な魔法使いであったが、死んで尚魔法を極めることに執着し、死後、アンデッドとしてよみがえった物。
闇属性魔法を積極的に使ってくる。特に状態異常魔法を多用するので注意が必要。
倒すと、紫色の水晶を落とすが、これはアンデッドモンスターの結晶というべきものであり、多種多様な用途がある。
最後に骨のモンスターだ。
名前:スケルトンナイト
レベル22
肉体力:500
魔法力:1500
戦闘力:2400
有利属性:闇、土
不利属性:炎、光
使用魔法属性:無し
スキル
剣術Lv3:(【パッシブ】剣術を習熟し、剣を振れるようになる)
盾術Lv3:(【パッシブ】盾術を習熟し、盾をうまく扱えるようになる)
体術Lv3:(【パッシブ】体術を習熟し、肉体を効率よく動かせるようになる)
庇う:(【アクティブ】攻撃を受けそうな仲間を庇い、攻撃を受ける。その際に防御力が上がる)
ポイズンアタック:(【アクティブ】武器に毒薬を塗り付け、喰らった相手を状態異常【毒】にする)
アンデッド:(【モンスタースキル】【パッシブ】すでに死んでいる身体なので、呪いや即死魔法で回復や復活し、回復魔法でダメージが入る)
スケルトンボディ:(【モンスタースキル】【パッシブ】全身が骨で構成されているので斬撃攻撃が効きづらい。打撃攻撃がよく効く。また、崩れてもすぐに元に戻る)
闇に染まり、暗黒と悪に忠義を誓った死者の騎士。
かつては高名な騎士であったが、その面影は装備以外には感じられない。生前にはあり得ない、武器に毒を塗る行為を平然と行っている。
肉は腐り果て、虫に食われ尽くされ、骨のみであるスケルトンとなるまで長く活動してきた実力は本物である。
「うわぁ、もうここまで来るとデフォルトで戦闘力2000超えるか」
「まあそうは言っても僕らも2000は普通に超えてるしねぇ……」
「……強くなったわね、私達」
なんというか自分たちの戦闘力の上がり様にしみじみと感じ入ってしまう。
「まあなんにせよ、とりあえずこいつらであたしらがこの階層でやっていけそうかを試すんだろ?」
「……まずは一当て」
「そりゃそうだ。んじゃあ行ってみるか」
その言葉と同時に武器を構える。向こうはこちらに気づいているのかわからないが、そのままこちらに歩いて来ている。
「うし、じゃあ……行くか!」
一気に駆け出し、まずはゾンビに一撃を加える!
かなり深々腹を突き刺し抉ったが、全く倒れる気配がない。流石はアンデッドと言ったところか。
一撃を受けてゾンビウォーリアーも反撃を繰り出す。上段から思い切り斧を振り下ろしたが、これは当たらない。さっと最低限の挙動で攻撃を交わす。
振り下ろされた斧は地面に叩きつけられ、轟音を上げさせたが、オーク程では無いらしい。そこまで確認してジュディに声をかける。ジュディはスケルトンナイトと一戦交えている。
「ジュディ! そっちはどうだ?」
「平気よ! 余裕を持って耐えられるわ!」
「こっちもゾンビは攻撃結構通る、削り切れそうな位だ。だが、こっからは後衛の出番だ」
「そうね、後は譲りましょう。後衛組―! 攻撃をー!」
「はーい! じゃあさっきの打ち合わせ通りに……『炎よ!』ヒュエル!」
後衛に声をかけると、最初に動いたのは優太だった。ヒュエルは受けた相手が炎攻撃を受けた時、威力を上げる魔法だ。どうやら前衛が突っ込んだ時に相談していたらしい。
なにをする気なのかと思ってちらっと後ろを見たら、桃子が全身を炎に包まれていた。髪は黒からオレンジに変わっており、ところどころ逆立っている。
しかも本人は全く熱そうではなく、むしろマイクを構えてわくわくした表情をしていた。
「じゃあモモちゃん、お願いね」
「よーし、行くぞお……『炎よ! 我が命にて燃え爆ぜる火球をここに生み出せ!』ファイアボンバー!」
そして桃子がファイアボンバーを放つ。だが、普段見るファイアボンバーよりも明らかに炎の力が強い、ストロングの強化込みの、優太が爆破狂と呼ばれるようになったファイアボンバーよりも強いかもしれない。
「二人とも逃げて! いっけええええ!!」
「え、ちょ、ヤダ怖い!」
「20%でこれに当たるとかやだ! う、うわああああ!?」
桃子の魔法制御はまだLv2なので20%の確率で味方も被弾する恐れがある。たかが20%、されど20%である。ぶっちゃけ受ける勇気が出なくなるくらいには恐ろしい威力が出そうな火球だった。
二人は慌てて桃子の火球から逃げ出す。
そして、火球は三体のアンデッドを飲み込み……灰の一欠けらも残さなかった……
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
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次の投稿は活動報告に記載した通り、8月9日午前0時予定となっております。
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