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第七十四話 東京駅地下鉄ダンジョン最下層

累計PV89万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 両方が戦闘を終えたのは結局ほぼ同時だった。

 戦闘が終わり、ハイオークが倒れた瞬間、分断していた光の壁は消え、部屋の中心に一階層のボスでも見た宝箱が現れた。

 終わったらしい。秋彦達の心配な時間も、優太が決意と勇気を持って挑んだ戦いも。


「おおおお!! やったじゃねーか親友! よく頑張ったぞおい!!」

「うわああああ!! 怖かったよおおお!! でも頑張ったよおおおああ!!」


 光の壁が無くなってすぐ、男二人は互いに駆け出して、抱き合って喜んでいる。


「ふ、震えが止まらないいいい……!」

「今はそれでいいさ。踏み出したことが大事だからな!」


 ひとしきり喜んだあとへたり込んだ優太の肩を叩き、桃子と茜の方を向く。


「二人とも、親友を助けてくれてありがとう。本当に感謝してる。ありがとうございます!」

「ちょ?! あたし達仲間なんだから当然じゃんか、やめてよね改まって……」

「……恥ずかしいけど、気分がいい。どういたしまして」


 深々と頭を下げる秋彦に桃子と茜は恥ずかしそうに、ちょっと居心地悪そうにしていた。


「ジュディも、助かったよ。ありがとう」

「い、いいのよ。ほら、私達は前衛同士、パートナー……じゃない……?」

「おう、そうだな。これからもよろしくな」

「う……うん……」


 ジュディは途中から顔を赤らめていた事には秋彦は気づかなかったが、ようやく一段落だ。

 だが今回はボスをもう一回やると決めている。ここで終わるわけにはいかない。


「しかしあれだな。終わってみりゃ危機感感じる部分ってなかったな」

「終わってみれば……だけどね」


 それに今回は終わってみれば想像以上に楽だった。

前衛組はまだ先があるからと、強化魔法を温存した形を取ったが、それでも倒せたくらいだ。当然無傷。ポーションの一つでさえ消費しなかった。

 後衛組も、最初こそ焦りから攻撃魔法を無駄撃ちし、消耗したものの、状態異常魔法を使用してからはひたすら逃げに徹して勝利した。

 分断されたときは窮地に陥ったと思われたが、終わってみれば大した消耗もなく突破したことになる。戦闘前の悲壮な雰囲気はどこへ行ったやら。


「さーて、とりあえず宝箱から中身取るかー」


 秋彦の言葉は拍手で応えられた。

 ボスに勝利したとあれば、勝者の特権を行使する権利がある。つまり、宝箱の御開帳である。

 今までは武器やら便利アイテムやらが入っていた。一階層目でも多くの物があったのだ。期待させてもらうとしよう。

 意気揚々と宝箱を開けてみると……中にあったものは今までの物とは少し毛色が変わっていた。


「お、おお?」

「……道具とか……じゃ、なさそうだね」

「ええっと、何かしらこれ?」


 中にあったのは、多種多様な布と延べ棒。今までの物が完成されている物であったのに対し、今回の宝箱の中身は、行ってみれば材料というべきものばかりだ。


「いろいろあるけど、そのままじゃ使えそうにないねぇ。どうするよ?」

「……研究機関に引き渡す。魔法由来の新素材かもしれない」

「俺がアナライズしてもいいけど、今すぐに役に立ちそうじゃないなら後にしねーか?」


 全員頷くと、せっせと中の素材を一つ残らずマジックバッグの中に詰め込んでいく。

 正直かなりの量があったので、これらの素材がすべて魔法由来の素材であったとして、それらを研究機関にある程度渡してもかなり残るであろう量だ。

研究材料として売るにしろ、使い方が分かって、これらの素材で何かを作るにしろ、五等分にした方がいいかもしれない。


全ての素材を回収し終わった。

 となると残すはいよいよ初級ダンジョン最下層だ。何が待ち受けているかわからないが、気を引き締めていかねばなるまい。

次の階層に繋がるであろう巨大な扉を慎重に開けると……

扉を開けた瞬間にひんやりとした空気がボス部屋に流れ込んできた。部屋の温度が下がったという感じもあるが、それ以上に魔法的に陰気というか暗い感じが流れ込んできたのだ。

 扉を開けて一歩目の大歓迎に思わず唾を飲む。危険感知的には危険はないのだが、なんというか、ホラー映画を見ているかのように雰囲気がある。

 とび出さずにゆっくりと第三階層に入る。

 第三階層は二階層目とは違い、土で出来ているが、ただの洞窟という訳では無く、整地されていることから、第一階層を思わせる。

 しかし壁や床を見るとただレンガが敷き詰められている第一階層とはまた別の毛色がうかがえる。

 壁一面にびっしりと並べ埋められたドクロ、しゃれこうべ。要は頭蓋骨だ。そして床にはびっしりと骨のような形の白い棒。おそらく人骨だろう。それが道を作っている。

 等間隔で十字架が埋め込まれているところから、ここは地下(カタ)墓地(コンペ)なのだろう。いや、それを模したダンジョンというべきか。


「……こりゃまた随分と雰囲気出ているなこれ……」

「ひえぇ……お化け出てきそう……」

「出てくるでしょうね……いわゆるアンデッドモンスターって奴が」


 ジュディの言葉に全員が頷く。

 そりゃそうだ、これだけおどろおどろしい雰囲気に地下墓地を模したダンジョン。出ない方が逆に嘘と言う物だ。


「しかしそうなると、この階のコンセプトってアンデッドと戦ってみようって事なのか?」

「ありだね。アンデッドとの戦いは」

「……確かに、アンデッドと戦うとはどういうことかを知る機会ともいえるかもしれない。けど表面だけで判断しない方がいい」

「それもそうだな。それにアンデッドと一言で言ってもどのタイプが出てくるかわっかんねーしな」


 アンデッドと一言で言っても、実際多くの種類の魔物にアンデッドと着けられるだろう。例えば、骨だけの姿のスケルトンかもしれないし、死体が動くゾンビかもしれない。もしかしたら、霊体が襲い掛かってくるゴーストというのもあるだろう。どのタイプが出て来ても、焦らず対応できるようにしておくつもりでいたほうがいい。


「いよいよって感じするな……んじゃあ、いっちょ気合入れてクリア目指すか!」

皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は8月2日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
「……研究機関に引き渡す。魔法由来の新素材かもしれない」 それ相応の価格で売るということなのでしょうね。どうもタダで引き渡すともとれるね。
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