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第七十話 作戦会議と再突入

累計PV81万突破、ブックマーク数2200件突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

「では、これでHRは終わりだ」

「起立! 気を付け! 礼!」


 下校前のHRが終わり、はれて学校終了である。

 風紀委員の仕事はしばらく無いので、今日は気兼ねなくダンジョンへ向かえる。仕事がある日も、最近はもっぱら風紀委員会での相棒である佐藤に任せっきりにしてしまっているからだ。申し訳ないとは思いつつ、ある意味これ自体風紀委員の仕事ともいえるのでやってもらっていたのだが。

 クラスメイト五人もさっさと荷物をまとめて走っていってしまったことだし、こちらも早くいくことにしよう、靴を下駄箱で履き替えたところで、優太が意気込む。


「さて、今日はアイテムや装備の収拾だよね。しっかりやらなきゃ!」

「あー、それなんだがちょっと全員で相談になった。チームの名前決めしたところで全員と待ち合わせてるから、送るから先行っててくれ。俺も残りを拾ったらすぐ行くから」

「え? そうなの? ま、まあいいやわかった」

「助かるぜ。じゃあ、『力よ!』テレポテーション!」


………………………………


 前回チーム名を決めた洋食の店は喫茶店の様にもなっていて、話をするにはうってつけだ。まずそこへ優太を送った後、秋彦は女子チームを迎えに行くために桃百合学園にテレポテーションで向かった。

 まあ下校時間であることから、結構な人達が校舎から出て来ている。

 とりあえずジュディ達に着いた旨をメールで伝えると、すぐに向かうと返信が来た。

 しょうがないので取り合えず校舎前で待機をしている。

 が、やたら視線が痛い。

 まあそれはそうだろう。こんな超エリート女子高ともいえるお嬢様学校に超長身、筋骨隆々とした大男がいるのだ。明らかに似つかわしくない。

 しばらくしていると、三人が現れて声をかけてきた。


「あ、秋彦。悪いわね、待たせちゃって」

「ごめんごめん、HRが長引いちゃってさ」

「……お待たせ」

「構わねぇよ。それより早く行くぞ。視線が痛いったらねーわ。まあこんな異物が校門に陣取ってたらビビるってもんかもしれねーがな」


 秋彦がぼやいたら、一瞬間をおいて三人は笑い出した。


「な、何だよどうしたんだよ?」

「ご、ごめんなさい。つい……でも、あなたはもうちょっと自己評価を上げたほうがいいわよ?」

「え?」


 ジュディの言葉に言葉の意図が読めない秋彦が聞き返す。

 答えを返したのは桃子だ。


「さっき、学校の校舎からでも話になってたぞ。関東の勇者である、血濡れの青鬼が校門の前にいるって。皆サイン色紙を用意しなきゃとか、写真撮らせてもらえないかとか話してたぜ?」

「……ここにいる人たちで、秋彦がそんな恐ろしい人物だと思っている人はいない。この学校に噂に踊らされるような馬鹿はいない」

「むしろちょっとした憧れの的みたいなもんなんだぞ?」


 それを聞いて正直意外に思った。

 最近は学校以外では尚更恐れられることが多くなったが、この学校の生徒さんはそんなに怯えたりとかはしないらしい。あんまり怯えられると気分がよくないし、ありがたい。


「は、早く行きましょうよ……」


 なぜかそわそわと居心地が悪そうにしている。桃子と茜が妙にニマニマしているのは何でなのだろうか?


「お? わ、わかった『力よ!』テレポテーション!」


………………………………


「へぇー、そんなことがあったんだ。ぷぷー!」

「秋彦ってばデレデレしちゃって……」

「してませんが?!」


 テレポーテーションの先の店で、優太に事の顛末を話すと、優太は笑った。ジュディは怒った。秋彦は困惑した。


「も、もういいから話始めるぞ……昨日は俺、ニャン太君にあったわけなんだが、そのニャン太君から衝撃の事実を聞くことが出来ました」

「その内容とは、初級ダンジョンは三階層で終わりと言う事みたいなの」

「……つまり二階層の雑魚魔物を討伐出来ている私達は、もう折り返し地点にいると思っていいと言う事?」

「そうそう。しかも、初級って一階層目の雑魚魔物にやられなけりゃ、ちゃんと階層ごとの傾向に沿った攻略をしてけば一回で駆け抜けることも可能らしいんだよ」

「そうらしいんだよな。でさ、二人ともどうする? 先に進んでDPゲットの為に走る? それとも装備を充実させるために遠回りする? あたしは進んだ方が良いんじゃないかと思ってんだけど」


 案内役から聞けたことを元に改めてどうするかを問う。


「そうだね……にしてもコンセプトに沿えば倒せるか……言われてみれば確かにそうかも」


 確かにコンセプトと言えばいろいろあった。素早い敵ばかり出る中谷町林のダンジョンの一階層、エレメント系の魔物ばかりの第二階層、東京駅地下鉄のダンジョンでは第一階層では集団の戦い、第二階層では体力と攻撃力のみの敵など、思い返せばコンセプトとしてはすべて成立している気はする。


「俺も進むのに賛成なんだよな。あの猫曲がりなりにも案内役なわけだろ? それが俺らを殺すために、嘘ついて嵌めるってのは無いと思うんだよな」


 あの猫は一応ライゾンから知恵と魔力を与えられ、喋る事が出来、また、使命として探索者達にチュートリアル的な説明をする役を与えられている。確かにライゾンが絡んでくると正直何があっても、まあそういうものかと思うしかない感じはある。

 それに一応向こうとも約束もしている。最初のやり取りからしても胡散臭くはあるが、少なくとも真正面から敵対しているわけではなさそうだ。


「……不安ではある。だから様子見として第二階層のボスと戦って、そこからやれそうかどうかを判断する。で、どう?」

「……そうだな、今までは手探りだったけど、もう最初から楽な倒し方があると言う事を念頭に置いて、その上で戦い方を探ってみる。次の階層も、コンセプトを探っていく形をとってみる」

「そうね、そうすれば気持ち的にもだいぶ楽だし」

「よし、じゃあとりあえず行けそうと判断すれば、今日で初級を突破するつもりで行こう」

「了解!」


 四人が、一斉に立ち上がろうとしたが、優太が止めた。


「あ、最後に一ついい?」

「どうした……って、ああ、あの事か」


 秋彦は引き留めた理由に見当がついた。おそらく試食会のお知らせだろう。


「どうしたの優?」

「あのね、一昨日にさ、オークの肉を解体したときに全員分に分けたのと、僕の家で買い取る形にしたでしょ? とりあえず試しの分として僕の分け前として貰ったお肉と骨を両親にあげたのね。それをお父さんが、料理して、オーク肉の豚骨チャーシュー麺とオーク肉チャーシューの細切れが入ったチャーハンを作ったんだ。今日試食してもらいたいからメンバー呼んで欲しいって言われたんだよね」

「あら素敵! 魔物食材に本格的な調理を施した物、しかもプロがやるものなんて!」

「いいじゃんいいじゃん! こりゃその試食会をぜひ祝勝会に変えたいところだね!」

「……おいしそう」


 秋彦の予想通りの、試食会のお知らせと招待は歓迎と共に受理された。拒否されたらせっかくの用意が無駄になるし、何より商談にもかかわる事だからむしろ来てくれないと困る。


「あ、後さ。俺らのクラスメイトも一緒に試食会来る予定になってるんだけど、それはいいか?」

「ええ、構わないわよ」

「あたしも問題なし!」

「……大丈夫」

「よし、じゃあ円満で試食会兼、祝勝会にすべく、今日はいっちょ気合を入れていきますか。妖精商店も、昨日の水族館後のお買い物タイムで寄って、消費アイテムもアクセサリも買い足したし、大丈夫。勝ちに行くぞ!」

「「「「おー!」」」」


 三人の了承を得たところで、改めて五人は、東京駅666番線 迷宮線各駅停車 地下初級迷宮駅行きの電車に乗るべく席を立った。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は7月21日午前0時予定です。

やっと次からダンジョン回です。

よろしくお願いします!

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