第六十八話 学校会話 探索者デビューしたクラスメイト1
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
休息の日曜日が終わった後は、再びやってくる月曜日。学校である。
ちょっと前なら憂鬱だの嫌だの思っていたのかもしれない学校も、勉強もレベルアップの影響かかなりできるようになって、日常を感じ取れる空間となっているので、今の秋彦は結構学校は好きである。
満員電車に揺られての登校だけは苦手だったが、それもテレポテーションの習得で解決している。今日からは一週間の挨拶運動も終わっているので優太を拾ってから学校へ跳んでいく。今のところは魔法による登校は禁止されていないのだ。精一杯活用させてもらうとしよう。
とは言え、テレポテーションでの登校は本当にあっという間なので、秋彦も優太も時間ギリギリまで家にいる事になる。
元々秋彦は規則正しい生活を心掛けているので、この辺りの時間は割と手持ち無沙汰になりがちだ。
なのでこの時間はスマホゲームか自習をしている。最近はダンジョンの間引きや、倒したモンスターを素材として売ることで、結構な額を稼いでいるので、課金し放題である。
家に自分の生活費と、家賃としてお金を親の口座に振り込んでも、そろそろ自分の分の学費も自分で払えそうなレベルでお金が入ってくるのだ。余りで課金するくらいどうという事は無い。
普通だったら遅刻確定の時間になって、ようやく家を出る。
昨日の様にテレポテーションで優太の家の前まで行ってもよかったが、昨日はダンジョンには入らないとしていたからテレポテーションを大盤振る舞いしたが、今日は放課後にダンジョンに潜るのでちょっとだけ節約することにしたのだ。
そもそも優太の家は割と近所なのだ。元々商店街近くに住んでいるので、商店街にある優太の家まで歩いて五分もかかりはしない。
歩いていくとやはり優太は店の前で待っていた。
「おっす、お待たせ」
「いや、時間通りだよ。こんな時間にまだここにいるって普通だったら遅刻確定だよね」
「本当にな。いいもん覚えたぜ」
「じゃ、お願いね」
「はいよ、『力よ!』テレポテーション!」
………………………………
テレポテーションのおかげで、校門にすぐ到着する。八時四十五分で閉められる校門に、八時半に家を出ても15分余裕があるのはやはりすごいとしか言いようがない。
本当は校門の中どころか校舎の中までテレポテーションで跳べるが、風紀委員の挨拶活動は、遅刻者のチェックも兼ねているので、ここを通らずに校舎に入ると後で風紀委員に呼び出されることがある。
それにどちらにしても下駄箱で上履きを取りに行かなければいけないのだ。少しは歩いた方がいい。
いつも通りの声をあげての挨拶。風紀委員や周りの生徒さえも、もはや空中から現れる二人に驚きもせず、対応している。慣れって怖い。
さっさと教室に入ると、いつものクラスメイトにして探索者デビューをした五人が寄ってきた。もはや、この七人はグループのようなものだ。
「おはよう」
「「「「「「おはよう」」」」」」
五人で話をしていたが、挨拶をするときっちり全員が挨拶を返してくれる。そしてそのままエミーが話しかけてくる。
「やっほーお二人さん! なあなあ聞いてくれよ二人とも! この二日間でさ、入門ダンジョンでだけど頑張ってレベルあげてさ、昨日ついに! ほら!」
そういってポーズをとる。右手首を見せつけるポーズだ。そして見せつけた右手首には、ダンジョンウォッチが燦然と輝いていた。
「おー! ボス撃破したんだ! やったね!」
「ヘヘーン! 褒めて褒めてー!」
「調子乗るなバカたれ」
鼻高々にエミーは自らの成果を報告する。このお調子者め。少々呆れるものの、いつも通りなのはいいことだ。うん。
「でも実際あれ怖かったよー!」
「大迫力のボスでしたね……」
しかし、奏と言葉の女子二人はなかなか怖かったようで、愚痴のようなモノを漏らす。
「うん、あれは怖かったねー」
「初見は驚いたけど、動きがあからさますぎて、途中からカモになったけどね」
石崎は同調したが、真崎は事も無げに話す。
「それはそうだけどさ……」
「まあ、そこは慣れだよ慣れ。今はDPを貯めて、自分のスキルを磨くことを頑張ればいいよ。僕だって初め怖かったんだし」
不満げに同調する奏を優太がフォローする。
「優太君でも最初はやっぱり怖かったんだ?」
「いやいや、親友だけじゃねーよ、俺だってビビったっての」
意外そうに言う真崎に秋彦も援護射撃をする。
というか初見で大きなボスにビビらないってそんな奴いるとは思えない、というか思いたくない。秋彦達も、自分の戦ったボスと、本当に死にかけた、入門ダンジョン初のボス撃破の戦闘内容を話していく。
興味深げに聞く五人と、怖いと思うのは普通の事であると安心した様子の奏と言葉、そして石崎。
ボス戦とはどこのどんな敵であっても緊張するし、怖いと思う。秋彦達はそれでいいと思う。
ボスを前にして緊張も恐怖もしないなんて、そんな奴虚勢を張っているか、本物の戦闘狂かのどっちかしかありえないだろう。あるいは、秋彦達並に修羅場をくぐっているかか。
「そうなのかな、僕はワクワクしたんだけど。強敵と対峙したときとかに」
「おいおい、どっかの野菜人みたいなこと言いだしたぞマー君が」
「茶化すなよエミー。えっとだな、まあそういう気持ちもあった方がいいとは思う。が、引き際はわきまえろよ? 後、仲間に迷惑が掛からないようにだけ気をつけたほうがいいと思うぞ」
「分かってるよ、大丈夫」
ぽつりと不穏なことを言い出した真崎をエミーが茶化し、秋彦が両方を窘めた。確かにそういう気持ちも必要だ。だが、あまり前に出すぎても周りの迷惑になるし、何より自分が命を落としかねない。それは良くないことだ。
「まあ要するに、前に出る気持ちと、一旦引く気持ちも、両方コントロールで来てこそって事さ。そういえば前衛後衛とかのバランスってどうなってんだ? てかお前らの魔法の系統ってどうなった?」
改めて、一言助言したところでふと気になった事を聞いてみる。
勢いよく話し始めるのはやっぱりエミーだ。
「よくぞ聞いてくれました! 俺、地属性だった! 俺の望み通りだ!」
「お、おう、よかったな。ほ、他は?」
大声で報告するエミーに内心後ずさる。望みの系統だったとはいえちょっとはしゃぎすぎだろう。
次に答えたのは奏と真崎だ。
「私は風だったよ。まあ無属性とはいかなかったね」
「僕は闇だった。強化魔法が充実しているって聞いていたから、あるなら無がよかったんだけどね」
どうやらこの二人は無属性を希望していたようだ。まあ珍しい属性とは聞いていたとはいえ意外に悔しそうだ。
「あたしは炎と光でした。無では無かったですが、光が回復という大事なところなので、嬉しいです!」
「僕は水と地だったよー、どっちも挙動が遅いから使いこなすのが難しいけど、頑張って鍛えているよー」
残った言葉と石崎が一緒に告げる。属性を二つ持っていると言う事は結構な才能を持っているらしい。
「へぇー、属性二つって結構魔法の才能があるんだね」
「あ、優ちゃんがあのカラスちゃんとおんなじこと言ってる」
「じゃああのカラスの言い分は本当って事みたいだね」
優太の反応に、エミーと真崎が入ってくる。どうやら五人の案内役はカラスだったらしい。
「いやー喋る動物! 本物の魔法! 現代にあってなんてファンタジーなんだよ!」
「本当よ! 私達も、いつか二人に追いついて、いつか伝説の英雄なんて呼ばれたり、うはー!」
現代ファンタジーに感動するエミーと、楽しそうに自身の将来の展望を語る奏。
そんな二人がさらに騒ごうとした時、チャイムが鳴った。お開きの時間らしい。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の投稿は7月15日午前0時予定です。
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