第六十三話 待ち合わせ
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うーむ、親友以外の人と遊びに行くとか久しぶりすぎだなぁ……」
新ステータス発表後、帰宅した秋彦は自室のクローゼットの前で頭を抱える。
あの後、結局明日は日曜日だったこともあり、親睦を深める意味を兼ねて探索を休み、水族館、アクアリウムに遊びに行くことになったのだ。
確かに出会ってからダンジョンに直行していたし、ジュディ達と遊びに行くなんて言うことはなかったので彼女たちのいつもの部分、というか素顔をいまいち見ることができていないのは仲間としてちょっと頂けない物があるといえるだろう。
もっとも、彼女たちとの出会いこそ1か月前だが、仲間になってからはまだ2日、いや、仲間として一緒に冒険していたのは、今日が初めてだ。そこまで焦る必要はない気がするが、知り合いとしては1か月あったのだから、今までを埋め合わせるためにも必要な事なのだろう。きっとそうだ。
しかしそうなると、今度は違う問題が発生する。
「……どんな服を着てきゃいいんだ……?」
ぶっちゃけた話、秋彦は優太以外の友人と遊ぶことがほとんどないのだ。最後に優太以外の友人と遊んだ記憶は小学生の頃にさかのぼる。
中学に入ってからどんどん伸び始めた背丈と、肥大化していく筋肉に恐れをなして周りから人が離れて行ってしまい、素行不良の生徒や優太を虐めている連中など、敵は多かったが、味方が年の離れた教師以外でいたことが実はあまりない。まして異性なんて小学生だったころからさえ数えるほどしかないと言う物だ。
今更女子の友人と遊びに行くなんてことになっても正直どのような恰好をしていいかよくわからない。困ったものだ。
……とりあえずジャージだのそういうラフすぎる格好はやめよう。しかし洒落っ気のある格好なんてとてもではないが無理だ。
さて、どうした物か……
………………………………
次の日、池袋駅の掌の上に子供と女性が乗っている銅像前で待ち合わせる。
が、秋彦は優太の家と茜の家に行って迎えに行くことになっている。魔力は消費するが手間自体は大した事は無いので別にいいのだが。
だが、ジュディと桃子から、「遊び終わったら自分の住んでいる場所まで来てもらう」と文句を言われてしまった。まあ移動が楽だし、交通費もかからない。魔力は消費してもすぐじゃなくていいならポーションを使わないでも回復する。なので言いたくもなるのだろうが。
服装はまだ肌寒さは残るとはいえ、そろそろ夏の陽気が近づいてきている事を考え、いつでも上に着られるように腰に青い長袖の服を巻き、無地の赤い半袖シャツと青のジーンズという格好になった。
秋彦はどんなものであってもシンプルなものを好む。普段使う物に柄だのお洒落だのそういうのを好まない。というか本人は自分に洒落るセンスは無いと思っている上に、そもそも体のデカさから、着られる服が少ないので、自然とこうなってしまう。
服は基本的に、親にアメリカでアメリカンサイズの服を買ってもらって送ってもらうか、東京にある専門店に行かないと買えないのだ。正直に言うと洒落る余地がない。
とりあえず優太と茜の迎えを早々に済ませてしまおう。まずは優太だ。
さっさとテレポテーションで飛ぶと、優太はもう実家の店の前で待っていた。
「おっす、早いな」
「まあいくらすぐ行けるって言ってもね、あんまり待たせるものじゃないし」
そういって苦笑いする優太はとても洒落ている。
黒を基調にしており、ファッション雑誌で紹介されていそうな見た目をしている。長袖の服だが、こちらもいつでも服を脱げるスタイルの様だ。
やっぱりこうしてみると優太はやっぱり顔立ちが整っていて、美少年といえる顔立ちをしている。ベビーフェイス、というのだろうか、少年的な幼さを内包する顔立ちだ。自分のごつい見た目とは正反対だ。ちょっとうらやましい。
「おう、じゃあ茜を迎えに行ったらすぐそっち行くから、先行っててな」
「うん、じゃあよろしくね」
「はいよ。『力よ!』テレポテーション!」
スポンという音とともにいなくなった優太を見届けた後、再びテレポテーションで飛ぶ。次は茜の家だ。
茜の家に着くと、運転手兼使用人の田村崎と呼ばれていた人が、車を出して、門の前にいた。
「あ、おはようございます」
「これは南雲様、おはようございます。今日はチームで遊びに行くとの事でしたね。お迎えでしょうか?」
「ええ、魔法で飛んでいくつもりですが……なんで車出してるんですか?」
「ああ、今日は旦那様と奥様が服の新調をしに出掛けるのですよ」
どういうことだと聞こうとしたら、門が開いた。中からは舞薗一家だ。
「おお、南雲君、早いね」
「おはよう南雲君、今日はいい天気ね」
「あ、おじさんとおばさん、おはようございます。茜もおはようさん」
「……おはよう」
三人一斉に出てきた。揃い踏みである。そして、舞薗父、巌さんの外出用の服をみた時、どういうことかよくわかった。
巌さん、明らかに服がぱっつんぱっつんだ。特に腕と胸の部分がはちきれそうになっている。更にその一方で腹の部分がゆるゆるで、不格好な様子になっている。
長年形成された体形が突然変わったからなのだろう。自分の服のはずなのに、無理やり来ている感が半端じゃない。
「おお……おじさん、きつそうですね……」
「ハハハ、恥ずかしい限りだが、いやなに、今日中に服を買い替えるさ。服は金を払えば買えるが、この肉体は金を払って手に入れられるものではないからね」
「おばさんもお化粧品回り見直そうと思ってね、この肌に今まで使ってた物を使うなんてもったいないわぁ。化粧品も肌の状態に合わせた物を使わないとね!」
ほほほ、と嬉しそうに笑う舞薗母、陽子さん。
確かに今の化粧の具合から見るとかなり厚く見える。昨日までの自分だったらちょうどよかったのだろうが……肌の質が若返ったが故の弊害か。
だが二人とも悲壮感はなく、むしろ意気揚々と言った様子なのが少しありがたい。正直少し罪悪感があったくらいだ。
「では我々はこの辺で。今日一日はしっかり遊んで心を休め給え」
「あ、はい。お二人もいい休日を」
秋彦の言葉に大きく頷いた後、二人は高級車に乗って颯爽と行ってしまった。
「いやー、二人とも元気だねぇ」
「……はしゃぎすぎ」
軽く頭を抱える茜。
だが、白のブラウスに、水色のスカート、黒のタイツという清楚なスタイルに、化粧もしっかりというめかし込み具合が見える今の茜が言ってもあまり説得力がないのだが、あえて触れないでおこう。
「じゃあ母子像の所な。親友は先にいるはずだから。俺もすぐ向かうし、後はジュディとモモを待つ形になるぜ」
「……分かった。待ってる」
「おう。じゃあ先に行っててな。『力よ!』テレポテーション!」
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