第五十五話 オーク戦の戦後処理
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
大乱闘を繰り広げたオークの最後の一匹が勝利の雄叫びを上げた。もうすっかりボロボロの様相だ。そして雄叫びをあげ終わると、その体勢のまま、ベニヤ板で出来た看板の様に前に倒れ、動かなくなった。最後の力を振り絞っての勝利宣言だったようだ。
「いやー、楽に済んだのはいいけど、すごい死屍累々」
終わったのを確認し、桃子が口を開く。
確かに死屍累々だ。とりあえず後で数えてみるが、死んでいるオークは10や20という量ではない。これらは流通難で最近またお高くなっている豚肉になるのでこれらは一匹残らず持って帰る。そして捌いて食べる。もう決定事項だ。
いくつか優太の実家の赤龍に持っていって料理を作ってもらうのも決定事項だ。
「じゃあ、これらを回収したら、今日は終わりにしましょ」
「そうだな。解体とかもしてーし」
他の三人も了解し、オークの死体を回収することにした。
5人がかりので作業なので流石に早い。そして、これだけでかいのに優太や桃子の様な魔法使いもちゃんと持てるくらいには力がついていた。やはりレベルも上がっているのだろう。これは帰還した後に見るステータスが楽しみだ。
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ようやくすべてのオークを回収できた。回収しながら数えてみたら、なんと63体もいた。退き撃ちで倒した分を含めると68体分という驚くべき数になった。これだけの数を全く労せず倒してしまえた辺り、オークにコンヒューズ、そして敵寄せの笛のコンボは割と強力なようだ。
「茜、呼びすぎ」
「……レベルアップの為」
あきれた口調の桃子だが、茜は反省していないようだ。
まあそれらは後にやるとして、今日はこれで終わり。早く帰ってオークの解体と試食だ。
「じゃあ帰るか。石使うから集まれー」
「「「「はーい」」」」
そうして帰還石を使い、駅のホームまで戻ってくる。この足がガクガク揺れるような奇妙な感覚にもそろそろ慣れてきた。最も女子陣はまだふらふらしていて慣れていないようだが。
改札近くに着てようやく一息つく。今回も無事に生きて帰れることができた。土産もばっちりだ。とりあえず元の服に戻してからこの後どうするかを考える。
今回はここの解体所は使えない。解体のための道具を持ってきていないからだ。今後もここを利用するときもある事だろう。解体道具は買っておく必要がある。
となるとやはり行くのはギルドになるな。解体場は今の所あそこくらいしかない。
電車を待ってもいいが、もう今回はさっさと済ませてしまいたいし、幸い駅の近くではあるが、改札は通っていないので、テレポーテーションを使ってしまおう。
「帰りはテレポーテーション使うか。来るときは電車で来ないと駄目だけど、帰りはいけるはずだ」
「あれ? 何で行きはダメなんだ?」
桃子が割り入って聞いてきた。はて、説明していなかったか。
「テレポーテーションは場所がわかってないと使えないんだよ。ここは地下の駅で具体的な場所がわからねぇからな」
「あーだから帰りしか通用しないのか」
「そう言う事。解体もあるし、ギルドに飛ぶぞ」
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まずギルドに行って解体作業を行う。ギルドに着いた時は夕方になっていたが、解体作業を5人がかりで10頭分やった所で日が落ちてしまっていた。
やはり大物だと時間がかかる。
そもそもオーク自体が大きい。普通の豚は1匹で約110kgある位だ。結構大きいのだ。だがオークはそれどころではなく、なんと普通の豚の約三倍にもなる330kgもあった。
それを解体するのだからやはり時間がかかるのも当然だ。解体術が無ければどれほど時間がかかった事かわからない。
ロース、ヒレ、バラ等も、普通の豚よりも多く取れた。骨は豚骨としてもオークの骨としても何らかの使い道もあるだろうし、解体だけしておいてマジックバッグに放り込んでおくことにした。
ただ、解体こそしたものの、今回はギルドに売却はせず、最終的にギルドに売った魔物はオーク1匹、ゴブリンロード1匹、ハイゴブリン1匹で合計12万という少々寂しい結果になった。
今回オークは売った分を引いて62匹分あるが、1匹残らず食べて力にすると同時に、食生活が寂しくなっている全員と、優太の実家の中華料理屋である赤龍に直接売る形になった。
今後価値が上昇すればオークの肉ももっと高くなると思うのだが、今だと普通の豚肉に毛が生えた程度の値でしか売れない。
ならば優太の実家も食材の仕入れで苦労しているので、せっかくだからこっちで買い取ろうという話になったのだ。両親にはスマホで連絡して、実際に物を見てから、と言っていたがその旨を了承している。
それと、今回手に入れたマジックアイテムや使い古した装備に関してはまだ持っておくことになった。
今まで秋彦達は、自分達が使えない物を持っていてもしょうがない、あるいはもっと有用に使える所に渡して恩を売っておいた方がいいという観点からあちこちに持っていた道具を配るように渡していたが、ジュディに滅茶苦茶怒られてしまった。
曰く、いつ使えるようになるかわからない物をそんなにポンポン渡すなんてとんでもない! だそうだ。特にサーヴァントゴーレムコアに関してはすごく悔しがっていた。私だったら使えたのに! と、今まで見たことの無い様な剣幕だった。思わず二人して謝ってしまった。確かに今まで気前よく物を譲りすぎていたかもしれない。お金に執着しないというより、お金を求めることに対してがめついとか、意地汚い様なイメージが何故かあり、あまりよくない事のように考えていたのも原因の一つだった。
しかし、そこをジュディから今自分たちが得ている物は正当な対価であることなどを説教されてしまった。
今後、物を売るときはチームの総意がなければ売りに出せないように取り決めもした位だ。おそらくよっぽど惜しかったのだろう。なんというか本当に申し訳なく思えてくる。
それはともかく、とりあえず肉の販売は明日にして、今日は取り合えずオーク肉の実食をしてみようと言う事になった。
「で、どこでやる?また俺の家来るか?」
「うーん、そうね……私は寮で暮らしているから呼ぶわけにはいかないし」
「あたしの家も今日は無しで。家にパパとママいるし」
「お、おう……じゃあまた俺の家に」
「……私の家に来る?」
どこで試食会をするかを女子陣と相談していたら、珍しくここで茜が声を上げた。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
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次の投稿は6月9日午前0時予定です。
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