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第五十三話 オーク

感想数50人突破、累計PV49万突破しました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 東京駅ダンジョン第二階層は、ずいぶんと雰囲気が変わり、レンガ造りから鉄板や鉄骨で構成された鉄のダンジョンだ。しかしやはりただの鉄という訳では無いのか、あるいはよほどに分厚いらしく、少し強めに殴ってもへこみさえしない。ダンジョンの明かりも松明ではなく、蛍光灯に変わっている。近代的だ。

 とりあえず今はあくまで様子見だ。さっき手に入れた物の分配もある事だし、さっさと一当てして帰ろう。

 五人は、第一階層とは違うひんやりとした空気と微妙に入り組んでいる道を進む。

 カンカンという鉄の上を歩く音が響き渡る中、先頭を歩く秋彦の足音だけは全く聞こえない。5人いるのに4人分の足音しか聞こえないのだ。サイレントシューズのおかげなのだろうか、正直不気味でさえある。


「いやしかし、これ良いな。ぜんっぜん足音がしない」

「こっそりと敵に見つからないように移動するには最適かもしれないわね」

「これなら斥候役の為に用意する必要が出てくるかもね……いくつか同じようなのがあればいいんだけど」

「純粋に肉体力の上がりもいいしな……って、来たぞ」


 自分が音を発していない為か、遥か前方を歩く何かの音がよく響いてくる。それ故か秋彦はいち早く魔物の気配を感じ取れた。音はずいぶんと大きい。デカい魔物なのだろうか?

 入り組んでいるダンジョンなので視界にはなかなか入らない。

 慎重に進んでいると、やっとそれが見えてきた。

 それはある意味見たことのある生物だった。

 顔はイノシシ、体の色合いはブタ。立ち姿は人間だが、間近で見ると全体的にブタという感じの生き物。それが証拠に腕の先には手があるが、太腿の先にあるのは足ではなく蹄だ。

 大きさは秋彦の1.5倍くらいはありそうで、手に棍棒を持ち、腰巻のみの姿だった。おそらくこれはオークだろう。物語でよく見る。雑食にて精力絶倫。好戦的で、悪の組織側によくついているあの生物だろう

 向こうも、こちらを視認し、ブタの鳴き声をもっと大きくしたかのような叫び声を上げて突撃してきた。だが……


「……遅い?」

「なんかゴブリン達と比べてもだいぶ遅いわね」

「まあ何でもいいか。『力よ!』アナライズ!」


 一応アナライズをかける。


名前:オーク

レベル15

肉体力:800

魔法力:0

戦闘力:1000

有利属性:全て

不利属性:無し

使用魔法属性:無し

スキル

ぶちかまし:(【モンスタースキル】【アクティブ】相手を力任せに殴り、命中させた相手を後方に吹き飛ばす)

鈍感:(【モンスタースキル】【パッシブ】死ぬまでどんな攻撃を喰らおうとも怯まず攻撃を仕掛けてくる)

オークの最下種。好戦的で頭が悪い。

雑食で何でも喰らい、人と見るや男は殺し、女は暴行を加えるという原始的な欲求に忠実な魔物。

攻撃力と耐久力だけに特化しているので、やみくもに振り回してくる攻撃を喰らわないように注意すること。

肉は豚肉に近く、なかなか美味であるのが唯一の救いか。なので、食われる前に食ってしまおう。


「だってよ。来たね豚肉! また一つ食卓が豪華になるぜ!」

「まあある意味その通りと言えるような内容だけど……あれ、三人と……も……?」


 女子陣の沈黙が怖い。声をかけた優太が怯えて秋彦の後ろに隠れるほどだ。なんというか、女子がしてはいけないようなものすごい表情になっている上に、オークを見る目が汚物を見るかのような視線になっている。


「お、おい三人とも?」

「……見るに堪えないわね」

「あ?」


 ジュディがぽつりと言った。桃子もぽつりという。


「だな、見つけたら全員殺すぐらいで行こう」

「え、あ、あの、モモちゃん?」

「……女の敵」


 女の敵認定したときの茜の顔は初めて無表情が崩れ、嫌悪と怒りが滲んでいた。


「……まあ俺は豚肉狩り出来れば何でもいいや。そうだ親友、おやっさんにチャーシュー作ってもらおうぜ、オークで」

「あ、いいねそれ。うちの新メニューにもなるし、豚肉も高いし。じゃあどんどん倒して捌いていっちゃおう!」


 途中から男子二人はもう諫めたり、考えるのを放棄した。こちらとしても狩りたいところだったので、女子陣がやる気になってくれているのはいいことだ。いい事なんだ。うん。

 そうこうしているとやっとオークがこちらに来たので改めて戦闘開始だ。

 オークはまず武器を振り下ろしてきた。

 アナライズした時に確認したが、こいつはゴブリンでさえ持っていた剣術Lv1でさえ持っていなかった。本当に力任せで適当な攻撃を打っているのだろう。なんというか振りの雑さがはっきりわかる。

 難なく避けて、槍の突きを連続で食らわせる!

 オークは避けられもせずにまともに食らうが、何食わぬ顔だ。攻撃を喰らいながら棍棒で薙ぎ払いにかかる。

 しかしこれも避けるのも簡単だ。あっさり避ける。が、避けた攻撃が壁を大きく変形させたのを見て肝が冷える。かなり力強く攻撃してもびくともしなかった壁が変形するとは。まともに当たったらただではすむまい。

 そして避けたタイミングで後方から矢と炎魔法が飛んできた。後衛組の攻撃だ。

 オークはやはりまともに食らうが効いている様子がない。

 鈍感というスキルが発動しているせいなのだろうが、どうにも相手がどの程度ダメージを受けているかがわからない。正直かなりやりづらい。

 その後、オークの攻撃を避け、魔法と武器攻撃を食らわせ続ける事を繰り返し、何とかオークを倒すことができた。

 しかし、体感時間的にかなりの長時間を費やしてしまい、戦闘による精神疲労がかなり苦しかった。


「お、お疲れ……なんなんだあれ、異常にタフだったぞ」

「流石に私もあれの攻撃を受ける気にはならなかったわ……悔しい」


 戦闘終了後、真っ先に疲労を吐露してきたのは前衛組だ。

 秋彦はいくら攻撃しても効いている様子がない上に攻撃している最中でもお構いなしに攻撃されるせいで、攻撃のリズムを何度も狂わされ、かなりやりづらかった。

 ジュディは攻撃を受けられない位の攻撃力。避けることが前提になる攻撃を屈辱的に感じていたようだ。


「退き撃ちを続けていれば怖くないかな?」

「モモちゃん、それは退けなかったり魔力が無くなったときに死ぬしかなくなるからね?」

「……最低限の回避力は必須」


 後衛組も後衛組で、あの壁が迫るかの如くの圧倒的圧迫感には、おっかなびっくりだったようだ。

 確かにあの遅さなら退きながら魔法や矢で攻撃すれば確定でノーダメージ勝利できるだろう。向かってくる間にアナライズ出来た位だ。

 だが、逃げ場が無くなったときや、魔力や矢が尽きた時が恐ろしい。やはり後衛組も足の速さや回避力は鍛えておいた方がいいだろう。


「よし、じゃあオーク回収したら、今回はとりあえず帰るか」

「そうだね、じゃあ今回は……」

「ん? どうした?」


 何かを言いかけたところで優太の顔が青くなる。

 優太が見ている方向に視線を向けると。

 そこにはなんと5匹のオークがいた。


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は6月3日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
 人間に近い人型を倒しても誰一人忌避感がないと言うのはちと。 グロへの精神系の耐性スキルあってもいいな。
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