第五十話 東京ダンジョン第一階層ボス
累計PV45万突破しました!
皆様からのご愛顧、本当にありがとうございます!
初めて日間ランキングローファンタジー部門にランキング入りしてから、初めてランキングからいなくなりましたが、これに腐らず、自分のペースで頑張っていきます!
その後も順調にダンジョンを進んでいく。
というか最初こそハイゴブリンの存在とその能力に驚かせられたが、よく考えてみればあれもまだ一撃の圏内なのだ。そう肩に力を入れるようなことでもなかった。
途中でハイゴブリンが2,3匹固まって、部下を大勢連れていた時も、茜がハイゴブリンを倒し、優太と桃子の範囲攻撃組が雑魚を掃除、秋彦とジュディが、雑魚が後衛に行かないように抑える形でうまく回るようになってきた。
途中からレベルが上がったのか、強化魔法無しで、ジュディが攻撃指令込みでも、ゴブリンの突撃を難なく受け止められるようになってきたので、さらに効率よく敵を倒せるようになっていく。
順調に探索を続けていくと、巨大な門を見つけた。この扉はおそらくボス部屋だ。中に入ればおそらくボス戦だろう。
「おっと、とうとうこの階層は終わりか」
「この雰囲気、一階層目のボスね!」
「うん、おそらくね。あの時は2人だったけど、今度は5人いるから、多分負けないと思う」
「一階層目のお宝にも期待が高まるな」
「……捕らぬ狸の皮算用。まずは勝ってから。気を引き締めて」
テンションの上がる一行の中、茜だけが釘を刺す。浮足立ちかかっていた全員の気が引き締まる。改めて扉を開けると、中に居たのは8匹のハイゴブリンと1匹のハイゴブリンよりも大きいゴブリンだ。見た目こそゴブリンだが、着こんでいる装備は小奇麗な服に細身の剣と盾。明らかに普通のゴブリンと違う。
そして小奇麗なゴブリンが大声を出すと、ハイゴブリンが、隊列を組み、そしてハイゴブリンも大声を出す。するとどこからともなくゴブリンがぞろぞろと現れ、隊列を組み始める。
まさか統率の取れる魔物が、数でごり押してくるとは……
「今までの強化バージョンだけじゃなく、もう一回り下も今まで通りいる……?」
「確かにかなり数いるけどさ。言うてやること変わらんでしょ」
ぱっと見では数えきれないほどの数に圧倒されている優太、秋彦は得に気後れすることもなくジュディに強化魔法をかけ始める。
「『力よ!』パワー! 『力よ!』バリアー! OK、とりあえずボスを調べ次第、加勢するなり強化するなりするからとりあえずこれでしばらく前線の維持頼むぜ」
「やっぱりこれがあると力が溢れてきていいわね、これならたぶん大丈夫だと思うわ」
「あたしらも、魔法でどんどん攻撃してくよ、数がいるならあたしとユータンで絨毯爆撃してやるさ!」
「モモちゃんは味方に当てないように注意してね、茜ちゃんはいつも通り上位ゴブリンのスナイプよろしくね」
「……任せて」
動き方の確認をしていると、向こうの準備も整ったらしく、きっちり隊列を組み終えていた。
「よっしゃ行くぞ!」
「「「「おー!」」」」
まずはいつも通りジュディと秋彦が前に出る。もちろん秋彦はジュディより前に出ず、アナライズを開始、敵のボスのデータを出す。
名前:ゴブリンロード
レベル16
肉体力:200
魔法力:100
戦闘力:1200
有利属性:炎、光
不利属性:水、闇
使用魔法属性:闇Lv4
スキル
剣術Lv2:(【パッシブ】剣術を習熟し、剣を振れるようになる)
盾術Lv2:(【パッシブ】盾術を習熟し、盾の防御能力が向上する)
配下召喚Lv2:(【モンスタースキル】【アクティブ】同種の自分以下の戦闘力の魔物を召喚し、戦いに加勢させる。仲間呼びと違い、狭い場所でも、その場にいる数が50匹を超えない限り何匹でも呼ぶことができる)
攻撃指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に攻撃の指示を出すことで、仲間の連携を円滑化させ、仲間全体の攻撃力を上げる。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
防御指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に防御の指示を出すことで、仲間を守りに集中させることで、仲間全体の防御を上げる。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
回復指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に回復の指示を出すことで、ポーションの使用を行わせることで、仲間全体のケガを治す。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
ゴブリンの上位種であるハイゴブリンの更に上位種。
ゴブリンロードはハイゴブリンを統率し、兵隊のように動かすことができる、一つのゴブリンの集落のボスとなる存在である。
ゴブリンロードがいる限り、いくら倒しても配下召喚で部屋の中でも呼び出すので、その場のゴブリンの数が常に一定数になり、数が減らない。
「ステータス的には大したことはなさそうだな、よし、とりあえず前線の防衛に加勢するわ!」
「これ……何をおいてもゴブリンロードを真っ先に潰さないとだめだこれ」
「ひどい何これ! あたしらがいくら範囲攻撃ばらまいても無駄って言ってるようなもんじゃん!」
「……私が仕留める!」
前線に加勢をしに行く秋彦をよそに茜が弓でゴブリンロードに攻撃を仕掛ける。が、ハイゴブリンがゴブリンロードをかばい、倒れた。
そしてゴブリンロードは即座に大声をあげる。すると、一瞬光ったと思ったら、その場にハイゴブリンがいた。これが配下召喚か。
ハイゴブリンの仲間呼びは先の見えない通路の先から現れたりしていて、呼ばれたから来たといった様子だったが、配下召喚はまさに召喚だ。何もないところから出て来ていた。
それにしても魔物が躊躇なく庇った。
おそらくこれが防御指令の効果か。守りが固くなるうえに味方が盾になってでも司令塔を守るのか。いや、手下を次から次に呼び出せる要である辺り当然の事なのかもしれないが。
「ジュディ、大丈夫か?」
「ええ、とりあえずね! でも守りながらでもゴブリンなら少しは倒せたけど、向こうの頭がやられた先からどんどん呼び出すから、ゴブリンをいくら倒しても無駄みたい! 茜は何をしているの?」
「あいつ、おそらくだが攻撃はハイゴブリンが攻撃指令使って雑魚ゴブリンに任せて、ハイゴブリンはゴブリンロードの防御指令で、庇わせてまで自分周りの守りを固めてやがる! 茜の一撃が通らねぇ! うお?! この、うぜぇ!」
状況説明しながら秋彦も前衛に参加する。
流石に雑魚と言えど、数と攻撃指令のバフがあるからなのか、やたら隙が無い。
だが、向こうの攻撃はジュディが守りに徹し、秋彦を庇う様になったので攻撃を喰らう事は無い。
秋彦は攻撃に専念して敵を倒しているが、やはり一向に減る様子がない。
「秋彦―! ストロング頂戴ー! 僕とモモちゃんで前を焼き払うよー!」
「ジュディー! ユータンとの波状攻撃で倒しきるから、前が開いたら一気にゴブリンロードに攻め入ってくれー! このままじゃきりがないから、合図するから巻き込まれないように後ろに飛んでくれー!」
このままではいかんと踏んだのか、範囲攻撃組が速攻を仕掛けて前線を押し、その上でゴブリンロードとの一騎打ちに持っていく作戦を提案してきた。
「分かった!」
「任せて!」
2人は作戦に乗る。このままではじり貧だ。乗るしかないだろう。
秋彦はその場で後ろを向いて、後衛二人に魔法を飛ばす。
「『力よ!』パワー! 『力よ!』ストロング! で、もいっちょ『力よ!』パワー! 『力よ!』ストロング! よっしゃ、やってくれ!」
「ユータン、あたしに合わせてくれ! 『炎よ、我が命にて爆ぜよ!』ファイアボンバー!」
「わかった『炎よ!』ファイアボンバー!」
「……飛んで!」
範囲攻撃組の波状攻撃の合図が茜から送られてきたので一旦後ろへ跳ぶ。
跳んだジュディに追いすがろうとしたゴブリン集団に向かって炎が放たれる!
凄まじい爆炎がゴブリンを焼く。ストロング込みなら流石に数や指令で強化されていても倒せるらしい。
そして優太の炎が、ゴブリンがいなくなったことで届くようになったゴブリンロードと守りを固めるハイゴブリンに炸裂する!
久しぶりに見た火柱だ。桃子の魔法攻撃は人を巻き込む可能性がまだあるので飛び込めないが、優太の魔法なら心配はない。秋彦は燃え盛る火炎の中に飛び込み、ゴブリンロードを倒しに行こうとする。が、ハイゴブリンはまだ生きていた。
流石に無傷ではないが、ストロング込みの優太のファイアボンバーを耐えきった魔物は初めてだ。
「げ、往生際の悪い!」
すぐに止めを刺すが、ゴブリンロードが生きていると元の木阿弥だ。最低限にとどめなければならない。
しかし向こうも素早く雑魚ゴブリンの召喚を行っている。ハイゴブリン達はそれを何とか食い止めるべく向かう秋彦の足止めを行っている。もう死にかけだというのによくやるものだ。
だが、邪魔になるのを倒してしまったのが裏目に出た。ゴブリンロードがハイゴブリンの召還を行ってしまったのだ。そうして体力満タンのハイゴブリンが攻撃指令をもって秋彦と戦い始める。
「うわ?! どけよお前、せっかくゴブリンロードに、あとちょっとなのに!」
「殺しちゃだめよ! 体力満タンなのが増えちゃう!」
「分かってる! でも……」
死にかけのハイゴブリンが、体力満タンのハイゴブリンを自殺同然に庇い、後ろではまた新しくゴブリンロードがハイゴブリンを呼び出し、着々と前線の立て直しが始まってしまっている。
後衛組も桃子は雑魚ゴブリンの掃討、優太はハイゴブリンを攻撃しているが、死にかけが体力満タンを庇うので、下手に魔法を撃つと体力満タンになって戻ってきてしまうので、優太はかなり魔法を撃ちづらくなっている。
これは……ちょっと本気でまずいかもしれない。
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次の投稿は5月25日午前0時予定です。
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