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第四十六話 チーム名

累計PV39万突破しました!

皆様からのご愛顧、本当にありがとうございます!

それだというのに寝坊して投稿をすっぽかすとか本当に申し訳ございません!

おかげで投稿時間が変わってしまいました……

 ダンジョンから帰り、ギルドに飛ぶと待ち合わせ時間が近かったが、まだ残りの二人は来ていなかったようだ。

 流石にこれ以上は暇つぶししてる時間もないので、おとなしくギルドで待つことにした。

 そしてしばらくしていると舞薗と楠の二人がやってきた。


「おーっす、ってあれ? 遅刻はしてないよね?」

「……早い」


 秋彦達も気づいて答える。


「おお、おっす二人とも」

「こんにちは。僕らもちょっと予定してた用事が速く終わったから早めに来てたんだ」

「私はちょっと気が早やってしまって、早く来ちゃったの」


 改めて全員集合である。しかし秋彦以外は全員美男美少女ぞろいだ。一人だけ厳つい秋彦は正直かなり浮いている。

 今やる事は現ジュディチームと秋彦チームの二つを統合させた新チームの申請だ。

 探索者は別にチームを組んでいないと出来ないという事は無いが、チームを組むからにはしっかり申請がいる。ジュディチームも秋彦チームも解散はしない。今後は5人での活動が主になるが、2人や三人で活動するときもあるかもしれないからだ。なので5人チームになったときのチームメンバーと、その時の名前を決めてギルドに提出する義務があるのだ。

 チームメンバーはそれぞれの氏名を書き、印鑑を押せばいいのだが、問題、というか肝心なところはこれから話し合う事になっている。つまり……


「さて、チーム名。みんな考えてきた?」


 そう、新しいチーム名だ。

 自分が考えた最もチーム名としてふさわしい名前をそれぞれに考え、そして発表する。


「うわー、とうとうか……俺はネーミングセンスねーからなー」

「じゃあアッキーは除外か?」

「モモ……俺はそう言って親友に任せた結果【アッキーダンジョン探検隊】なんて名乗ることになったんだぜ? もう人任せにはしねー。名前は」

「お、おう……大変だったなアッキー」


 同情的な表情の桃子に対し、茜は口元を抑えて横を向いている。笑ってるのがまるわかりだ。畜生。


「じゃあ発表会は飯屋ですっか。どこ行く?」

「近くに老舗の洋食店があるの。そこに行かない?」

「分かった。親友、モモと茜もいいか?」


 ジュディの提案に秋彦が乗り、残りの三人も同意した。


………………………………


「ふう……値段もこの辺にしては1000円ってまあ手ごろだし、老舗だけあって凄い美味かったな」

「ここ、気に入ってるのよね。ギルドに行った時のランチは大体ココなの」


 食事を終え、食後のコーヒーを飲みながら軽く雑談をする5人。だがいつまでものんびりとしているわけにはいかない。この後はジュディチーム初の初級ダンジョンが待っているからだ。


「じゃあそろそろ行こうか?」

「応さ。5人の統合チーム名決め会議!」


 店の迷惑にならないように小さく拍手をする。

 真っ先に自分の考えてきた名前を発表すべく手を上げたのはジュディだった。


「まずは私からよ」

「はい。お願いしますね」

「任せて。男の人がチームに入るって言う事で、日本的にかっこいい名前を考えてきたの」

「ほうほう」

「配慮してもらっちゃった様で悪いですね。それで、どんな名前を考えてきたんですか?」


 食いつく秋彦と優太だが桃子と茜は妙な表情をしている。いやな予感がするとでも言いたげだ。


「じゃあ発表するわね。私たちのチーム名は……【闇に飲まれし堕天使達】よ」


 一気に秋彦達の空気が凍り付いた。

 桃子と茜はやっぱりと言いたげな顔をしている。


「……ジュディ……本気で言ってるの……?」

「日本ではこう言うのをカッコいいっていうんでしょ? ちょっと恥ずかしいけど、これも文化交流よね!」

「何を誤解してるかは知らんが、日本でそれはかっこいいんじゃなくて痛々しいっていうんだ……」

「え? そうなの?」


 ジュディ以外の4人は盛大にため息をついた。

 秋彦は仕切りなおす為に次を促す。


「ま、まあいいや、次、誰が行く?」

「……私」

「茜ちゃんか。期待しているよ」


 次に手を上げたのは茜だ。


「……やはり日本の国での出来事で、日本にいる人たちで結成された迷宮の制覇を目標にするチームなので、【扶桑日ノ本迷宮解放軍】と名乗りたい」

「今度はなんか壮大っていうか仰々しい名前だな?!」

「……かっこいい」

「あの……ダサいとは言わないけどさ……ちょっと大げさすぎない?」

「……そう?」


 そう思う、というよりも言葉的にチーム名にするにはかなり固い上に、下手したら右寄りな人たちと勘違いされかねない。

 実際秋彦と優太はまさかと勘ぐってしまった。これはいかん。


「え、えーっと……じゃあ次、ほら、女子最後だし、モモ発表してくれよ」

「お、あたし? わかった」


 そろそろ秋彦は危機感を抱いていた。

まさかこの面々自分を含めて全員ネーミングセンスダメダメなのか?

 考えたくないが、考えずにはいられなくなってきあ


「あたしはね、可愛い名前を考えてきたよ」

「ほう、意外だな。そんなキャラっぽくは思えなかったけど」

「……本気で気づいてないんだね」

「え? なにが?」

「何でもない! じゃあ行くよ」


 途中で何故か桃子が不機嫌になった。気付いていないって何にだというんだ。


「あたしが考えてきたのはね……ずばり、【スウィート&ビター】だよ。スウィートは女性陣で、ビターは男性陣を表している甘さと苦さでおいしい組み合わせでしょ?」

「わーお、本当にかわいい……」

「なんかアイドルユニットみたいな名前だね」


 だが、先の二つのインパクトが強烈すぎて、この名前にむしろ安心してしまう。女の子らしい名前だ。

 これで女子陣からのチーム名候補は出そろった。次は男性陣の番だ。


「じゃあ次僕ね」

「お、おう……」


 次は優太の発表だ。

 秋彦は薄々予想で来てしまっているので身構えているが、女子陣は興味あるらしい。


「さて、優はどんな名前を持ってきたのかしら?」

「まあ正直あんまりしてないけどな」

「……アッキーダンジョン探検隊の時点でお察し」


 ……期待はしていないようだが。


「いろいろ考えたけど、やっぱり【アッキーダンジョン探検隊】が良いなって思ったんでこれを推すね」


 優太以外、全員頭を机に打ち付けた。


「ど、どうしたの!?」

「……親友……お前は本当にぶれねぇなぁ……」


 秋彦は、そうあって欲しくないと思いつつ、どうせこういうだろうなと思っていた。だが実際に言われるのを聞くとやはりずっこけたくもなると言う物だ。


「うん、これはとりあえず却下ね」

「予想の斜め下を行かれたわ……」

「……ブフゥ……」


 ジュディは速攻で却下し、桃子は頭を押さえてため息をつく。茜は、机に頭を打ち付けた体制のままプルプル震えてる。声を殺して笑っているらしい。おのれ。

 これで秋彦以外全員がチーム名を出した。と言う事は残っているのは……


「じゃあ最後は俺だな……」

「秋は一体どんな名前を考えてきたの?」

「アッキーが考えた名前か……面白い名前つけられた身としては、逆に気になるところだな」

「……楽しみ」

「普段秋彦は名前とかって付けないもんね。興味あるよ」


 優太も含め、全員興味津々らしい。まあさっきから一言いい続けられた側としては、そういうからにはよほどいい名を考えたんだろうなというのもあるのだろうが。


「つっても俺のなんざ大したひねりねぇぞ?」

「まあまあ、まずは名前を聞かせてよ」

「応。俺が考えたのはズバリ【ダンジョンチャレンジャーズ】だ。ダンジョンに挑戦する側だからな」


 顔を見ると全員が渋い顔をしている。


「なんというか、質実剛健というか……面白みがないというか……」

「悪かないんだけど……なんだ? 堅実が過ぎると、こうも味がないっていうか……」

「……そのまんま過ぎる」

「うん、ネーミングにひねりがないね」


 それの何が悪い、と言いたくなったが、皆思い思いにはじけた名前持ってきたっていうのに一人だけ醒めたような堅実な名前の物を出したのは、流石に空気が読めていなかったと言う事か。

 いいじゃないか。名前なんだからこういうのでいいんだよ。

 とりあえず全員分のチーム名が出たが互いが却下しあい、前哨戦は全滅という形になった。ここからが本番だ。誰のどういう名前がいいか。先は長くなりそうだ。


………………………………


 それから、一時間後。

 もう何度目のコーヒーお代わりだったか……コーヒーだけで居座るのもどうかと思い追加の注文をするが一向に話がまとまらない。


 ジュディはどうやら中二病的なセンスの物を日本的なかっこよさと勘違いしているらしく、10年後に聞いたら身悶えしそうな名前を連発してくる。

 茜は漢字オンリーで、無駄に壮大な名前を付けたがる。

 桃子はファンシーでかわいらしい名前がお好みらしく、特に甘ったるい感じの名前を推してくる。

 優太はアッキーダンジョン探検隊が却下されたので、とりあえずその名前とアッキーダンジョン探検隊とで天秤にかけるつもりらしい。頼むからそこから離れてくれ。

 そして秋彦は、身も蓋も無い様な、無難という名のありきたりなネーミングばかりする。


 ある意味それぞれの特色がしっかりしているので、逆に平行線になっている。どうすればこの均衡を崩せるのか。

 そのきっかけになったのは、優太のこの一言だった。


「みんなが好む言葉はもう十分過ぎる位分かったよ。じゃあもうさ、これらの要素が一切ない様な名前にしない? ひいきにならないように全員の好みから外れるような名前にしよう」


 つまり、ジュディが入れようとする中二病的な言葉なし、茜が入れたがる漢字や壮大さも無し。桃子好みのかわいらしさ無し、やたら優太が推すアッキーダンジョン探検隊ではなく、秋彦が付けるようなありきたりな名前ではないチーム名を今この場で、全員で考えようという結論になった。

 誰かの嗜好が入ると延々と平行線になって話が進まない。全員が得をして先に進めないなら全員が損をして先に進む。こういう結論になった。


「全員のネーミングセンスから外れ、その上で僕らを象徴する、このチームでしかない特徴を出していこうよ」

「あー、そうだな。このまま言ってたら終わりそうにねーし」


 優太の提案に残りの4人は頷いた。全員疲れていたのだ。


「……でもこのチームを象徴する箇所って何だ?」

「役割はみんなそれぞれよね……一部被ってる所もあるけど」

「でも、見事に共通点ないよな。それでもみんな友達だけどさ」


 ここで一旦行き詰まり、全員でうんうん唸り出す、が、茜がひらめいた。


「……そうか、皆バラバラ。魔法!」

「あ、そうか。そういえばこのチーム、全員いれば全属性を網羅してるって話、前にあったよね!」


 茜のひらめきに優太が同調する。それに秋彦がさらに続く。


「そうだった! それが俺らを象徴になるな、バラバラだけど、いやバラバラだからこそそれが特徴になる」

「色で言うと、虹……みたいな?」

「それよモモ! じゃあレインボーは入れるとして、それは魔法の色だから……レインボーマジックかしら?」

「いや、あたしらは魔法使いなんだから、レインボーマジシャンじゃない?」

「……しっくりこない、ウィザードで【レインボーウィザーズ】?」


 最後の茜の言葉で妙に全員がストンと落ち着いた。


「あー成程……うん、いいんじゃないか?」

「うん、なんか不思議と納得いったよ」

「そうね、じゃあこれにしましょう。私たちのチーム名は、【レインボーウィザーズ】よ!」

「よし、決定!」

「……異議なし」


 小さく拍手をする。長々と討論したが、ようやくチーム名が決まった。これでチーム申請ができる。

 これで午後からは、予定通り東京の初級ダンジョンへ向かえる。


 ……長かった……本当に


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次の投稿は5月13日午前0時予定です。

よろしくお願いします!

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[良い点] サクサクと読める点 [気になる点] 名前が...どれも微妙というかダサい [一言] まぁパーティ名無視すればいいだけなので続き読みます。
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