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第四十三話 新体制

累計PV32万突破、評価者数140人突破ブックマーク者数1400人突破しました!

皆様の応援を頂き、四半期間ランキングローファンタジー部門にて44位を獲得し、ランキング最高順位を更新しました!

皆様からのご愛顧、本当にありがとうございます!

 一時間後、三人ともきっちり秋彦の自宅へやって来ていた。

 ジュディはニコニコしていたが、他二人はぶすっとした表情だ。

 まあ当然だろう。二人がどう呼ばれたのかは知らないが、こんな夜中に唐突に呼び出されたのだ。日こそ跨いでいないが、面白くないのは事実だろう。


「なあ秋彦さん、説明してくれよ。何であたしらこんな夜に呼び出されたんだ?」

「え? ジュディさんから聞いてない?」

「ジュディからはここに来てくれの一点張りでさ」

「……同じく」


 舞薗と楠から同じ回答を受け、思わず頭を抱える。


「あの、申し訳ないんですけど、こちらとしては別に急ぐ話じゃ」

「急ぐ話よ! 折角二人が私たちのチームに加わろうってところなのに、今それ以上に重要な話がある?」

「え、まじで?」

「本当!?」


 ジュディが言った瞬間二人も食いついてきた。楠は意外そうな感じだが、舞薗の食いつきはジュディに似たものを感じる。

 結構な食いつき方にたじろぐが引くわけにはいかない。


「え、あ、ああ。ここの所人手不足とか、属性的に戦力不足を感じてな……」

「僕らが仲間になって大丈夫なのかとか、皆さんはどういう魔法能力や、戦闘スタイルをとっているのかとか、お話をお伺いしたくてですね……」

「なんだよ、採用面接みたいなもん?」

「……でも、大事なところ」


 二人もようやくなぜここに呼ばれたかを理解できたらしい。

 だが、やはり一言詫びを入れる必要はあるだろう。急に訳も分からず引っ張り出してしまったのだから。


「しかし悪いな。本当は別に今日でなくてもよかったんだが、ジュディさんに話したら、今からやるって言いだしちゃって……」

「あー、まあジュディは時々強引になるんだよな。二人のせいだとは思ってないから」

「……ある意味いつもの事」


 ……どうやら二人とも意外と振り回されているらしい。


「まあそれはいいだろ? で、何聞きたいのさ?」

「おっと、そうだな。謝ってる暇あったら、さっさと本題行って、早く帰らせてあげよう」

「……お手柔らかに」


 ひと段落したところで質問を開始する。まずは三人のバトルにおける役割だ。


「三人は普段戦ってるときってどういう風に戦ってる?」

「えっと、要するに戦闘の際の役割だね。皆徹底的に魔法攻撃しているの?」

「いいえ、違うわ」


 ジュディがすぐに答え、後から楠と舞薗が補足を入れる。


「あたしら三人は基本的にジュディが前に出て盾役をやってるんだ。あたしと茜がその間に、後ろで遠くから魔物を倒してるんだ」

「……私が弓を使って攻撃。桃子は魔法で燃やしてる」

「成程な」


 つまり、前衛はジュディが防御に注力し、後衛がダメージソースとなって、敵を討つ構成になっているようだ。

 これなら秋彦が前衛アタッカーとして入ることで前衛の安定性が増すし、優太は今まで攻撃ばかりを行っていたが、いざという時に回復に回ることができる。

 それにより、更に戦闘の隙を埋めることができるようになるだろう。


「あ、魔法の話出たから聞いて置きたいんだけど、三人の使える属性って何?」

「私が土ね。モモは炎。茜は闇と水よ」


 再びジュディが答えた。

 これはちょうどいい。こちらが足りていない属性がすべてそろっている。光と風は優太が持っていて、無は秋彦が持っているので、これで全属性に対し対応できることになる。

 せっかく被るなら炎ではなく回復役も兼ねる光の方がよかったのだが、そこは贅沢と言う物か。

 にしても少し気になったのは……


「にしても舞薗さんは攻撃に弓を使うんだな。魔法攻撃はしないのか?」

「……闇は攻撃できないこともないけど、基本的にジャマーのような動きになる。水は空気から水分を水にして、さらに凍らせる手間がいるから即効性がなく、扱いが難しい。弓の方が扱いやすい」

「お、おう?」

「あー、成程。楠さんが炎だから、お残しは舞薗さん担当になるんだね。だから弓になるんだ」


 舞薗が頷いた。

 秋彦はよくわからなかったようだが、優太にはどう言う事かすぐにわかった。

 雑魚狩りでメインになる属性は炎属性だ。広い範囲に高い攻撃力を持って対応できるからだ。そしてその役を楠がやる以上、舞薗の役目は範囲の外に逃げ切ったり、炎魔法の攻撃に耐えきれてしまった死にかけの魔物を倒すのが役目だ。

 それに求めらる要素は速度だ。範囲外に逃げられる程の素早さの敵を倒すなら、相応に速度のある攻撃でないと逃げられる。止めにしても、早くて困ることもない。

 そうなったときに攻撃もできるがそれが本分ではない闇属性と、攻撃できる状態にするまでに時間のかかる水魔法よりは、扱いの慣れた弓攻撃の方がまだ確実なのだろう。


「親友は察しが良いな」

「……てか秋彦は知ったかぶりしないんだな?」

「俺はそう言う腹芸出来ねーもん。余計赤っ恥掻くだけだって」


 楠の問いに、自分の事だというのにばっさりと言い切る秋彦。

 あきれたような表情を浮かべたのは楠だけで、ジュディと舞薗は逆に感心していた。


「そこまで正直に言えるのはむしろ好感が持てるわ。自分の領分を知ってるって事だもの」

「……考えるのは優太君の役目?」

「うん、まあね。秋彦直感型で、根拠はあるんだけど、言葉にするの苦手だから……」


 女子三人とも納得したかのように頷く。悪かったな畜生。

 空気が読めているのか読めていないのか、楠が話をこちらに向けてきた。


「そういえばさ、秋彦の属性は無属性ってのは知ってるけど、優太は何の属性を持ってるんだ?」

「ああ、僕はね、炎と風と光だよ」

「わぉ! 三つも属性を持っているの?」

「……負けた」


 驚き、称賛するジュディに対し、がっくりとうなだれる舞薗。話を振った楠も、これは予想外だったようで、驚いている。


「へぇ、やるな優太。ニャン太は、一つも読めなくて当たり前、一つでも読めたらかなりの才能があって、二つは天才なんて言ってたのに、さらに上を行くのか」

「……あら? そういえばモモ、ニャン太君は?」

「家に決まってんでしょうが、急に呼び出されたんだから連れてくる暇もなかったっての」


 ニャン太君……確か最初の集会の時に話した話題の中であった、彼女たちの案内役だったはずだ。話を聞いてみたかった気もするが、いないのは残念だ。

 ともあれ確認したい、秋彦達の求める条件としては申し分ない。これなら大丈夫だろう。


「よしよし、とりあえず今話聞いた限りだと、俺らが入っても全然問題なさそうだな。むしろ俺らが入ることで戦闘も安定性が増すみたいだ」

「タンク役は一人欲しかったからねぇ……それと属性も、全員でなら完全網羅で、目的達成だね。そちらはこっちに何か聞きたいこととかある?」

「じゃあ一つ。強敵との戦いでは基本強化を優先してくれるんだよな?」

「もちろんさ。全員に行き届かせてから攻撃に走るつもりだ」

「了解。ならあたしは文句ないよ。何せ探索者業界きっての有名人二人とチーム組めるなんて思ってもみなかったしな。ダメもとで誘ったらマジで来てくれるなんてな」


 有名人、その言葉を聞いて二人はため息をついた。


「有名人か……でもまさか俺の家が特定される程だとは思ってなかったけどな」

「あれはただの冗談よ」

「「……は?」」


 秋彦と優太が思わず間抜けな声を出す。有名人だから住所を調べてここまで来たんじゃなかったのか?


「秋彦の住所は、この前連絡先を交換したときにプロフィールがびっしり書いてあったから、ついでに覚えてただけよ。まさか本気にしてたの?」

「……アホか! マジでやれそうなこのご時世で冗談きついぜ!」

「てか秋彦も大概うかつだよね……あの連絡先の項目ご丁寧に全部埋めてたんだ……そしてそんなところを人に見せたんだ……」


 へなへなと崩れ落ちる秋彦。とりあえずやれそうとはいっても本気で情報が出回っているわけではなさそうなのは、とりあえずよかったというべきなのか。

 優太はうかつなことをしていた秋彦を非難するように視線を送っているが。


「ていうか、ジュディもジュディだろ。はっきり言って一般人相手の住所調べ上げるなんて言ったら普通ドン引きするって……結果的に調べたわけじゃないにしろさ……」

「……ストーカー」


 一方女子陣も、冗談でも一般人の住所を調べ上げるなんて言う、質の悪い事を言ったジュディに非難のまなざしを送っている。


「ご、ごめんなさい、非常識だったかしら」

「はー……まあいいや。なんにせよ、今後ともよろしくな」

「ええ、よろしくね」


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。

これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

3日に1回投稿にしてから、精神的な余裕と執筆以外に割く時間が増え、無理のないペースで執筆ができるのでとても充実しています。

次の投稿は5月4日午前0時です。

よろしくお願いします!

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