第四十二話 仲間探し
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「いやー、次の階層では全属性網羅してから出直してこいだって」
「いよいよ俺らだけじゃだめだな……」
現在時刻20時。二人は、一旦秋彦の家に戻り、今後の対策を練ることにした。
とりあえず今後は、すべての魔法属性をそろえておかないと先行きが怪しい場面もあるだろう。今回がそうだったように。手の足りなさも昼間に優太に言われた。まさか夕方にそれが緊急性を帯びるとは思っていなかったが。
エレメント系は秋彦ならすべてに対しダメージが与えられはするが、秋彦のフォースは単体攻撃なのだ。数で来られたら大変なことになる。絶対的に手が足りない。
「そうだね。じゃあ仲間を集めようって言う事になるんだけど……」
「俺は最低限親友と仲良くしてくれりゃあ何でもいいって感じはするんだけど」
「あはは……ゴメンね、ありがとう。でもここはきっちり吟味しよう」
まず二人にとって絶対なのは自分たちと仲良くできるかどうかだろう。
なんせ傍から見てもよくわかる凸凹コンビで、見た目にインパクトがある。それに最近はそんな事は無くなっているが優太は人からいじめを受けていたこともあり、結構内気だ。
「そんな親友が仲良くできるっていうと、どんな人かねぇ?」
「う、うーん……個人的には、男の人は避けたいかな……ほら、僕の場合は……ね。もちろん秋彦は別だけど」
「お、おう……仕方ねーな」
男性からいじめを受けていたという本人の希望もあり、仲間を加えるなら男性より女性がいいだろう。少しでも優太の負担は減らしたい。
「後、やっぱりさ。組む人たちの数も少ない方がいいよね」
「え? なんで?」
「ほら、僕らは二人組なわけじゃない? で、東京で一緒に戦ったメンバー見ても、大体5人か6人で構成されてたじゃない?」
「ああ、そうだったな。で、それが?」
「そんな数に2人追加になったらかなりの大御所帯になるじゃない? もしも意見が割れたときに、僕らが不利になる可能性があるんじゃないかなって……」
「……あー、成程。新参者の意見が通らずに、相手の意見にばっかり延々と従わされるだけになるのは確かに嫌だな」
ようやく優太が何を言いたいのかが分かった。
こちらは二人組ということもあり、意見が分かれた時、多数決になったら圧倒的に不利になる。元から組んでいたメンバーと、後から来た自分たちとでは、元から組んでいたメンバーの意見が通りやすくなり、自分たちの意見が通りにくくなることもあるだろう。確かにそれは避けたいところだ。
と言う事は、自分達が組む相手としては、女性が主立っており、なおかつチームメンバーが同じく少ないチームであると言う事が条件になる。
「はてさて、んな都合のいいチームいたっけか?」
「いやいや、都合のいいことにいるじゃない。勧誘だってされたんでしょ?」
「……もしかしてジュディさんとこの?」
「うん、彼女らは3人チームで、しかも全員女性だったじゃない。悪くないと思うんだけど」
「……あ、ああ……た、確かにな……うん、悪くはないと思うよ、うん」
「……何か不満があるの?」
「いやいや! んなこたぁねーぞ。お、おう。大丈夫だ。異論はねぇ」
秋彦が、顔を赤らめて挙動不審になっている。今まで見たことのない親友の様子に、優太は原因をなんとなく予想する。
まあ、それがそうであったとしてもそれは問題ではない。こちらとしても、もしそうなら、そんな人を心配させるような挙動を慎むようになれば万々歳だ。いいところを見せようと、気を空回りさせないようにだけ注意すればいい。
「でもやっぱりさ。そんな人たちでも僕らの戦いのスタンスにあうかあわないかって言うのはやっぱりわからないしさ。とりあえずちょっと連絡とって話をする機会があるといいと思うんだよね」
「ん?」
「ほら、戦い方にもいろいろあるじゃない? 全員で前衛やってゴリおす戦い方もあるだろうし、全員で後衛やって、やられる前にやるようなスタイルで戦うようなのだってある。向こうが一体どんな戦い方で魔物と戦っているのかとか。それは知っておかないとまずいと思うんだよね」
「確かにな。俺らは前衛後衛で分かれてるけど、やっぱバランスってもんがあるし、極端でも困るもんなぁ」
「じゃあちょっと電話で約束取り付けようか」
「え、電話番号知ってんのか?」
「……この前教えてもらったじゃない……もう忘れたの?」
……そういえばそうだった。勧誘を受けた後に連絡先を交換し合い、それを優太に共有したのだった。
思わず頭を掻く秋彦。優太もため息が出ると言う物だ。
とりあえずそのまま優太が連絡を取ることにした。たぶん今の秋彦にやらせてもぐだって終わるのが目に見える。
電話をかけると、そう間を置かずにジュディが電話に出た。
『Hello? ……じゃなかったわ、もしもし?』
「あ、こんばんは。石動です」
『イスルギ……? ああ! 親友君ね! こんばんは』
「あー、優太って名乗った方がよかったですね。失礼しました」
『問題ないわ、大丈夫よ』
始めはこちらが誰だかわからなかったようで怪訝そうな声を出されたが、すぐに思い出してくれたようで、友人に話しかけるような声に戻った。やはり英語圏の人間には名前を名乗った方がいいのだろうか?
『それで、どうしたのかしら? もしかして、チームを組んでくれることになった?』
「はい、そのことでちょっとお話したいなって思いまして」
優太が、そう言った瞬間、電話口で何かが崩れるような音が聞こえた。
「え、あの、ジュディさん?」
『……な、何でもないわ。ちょっと驚いてしまっただけ。でもいいわね、こちらとしても大歓迎よ! でもお話って言うのは?』
どうやら電話口の音はジュディが驚いて、イスか何かから転げ落ちたらしい。そこまで驚くほどの事だったのだろうか?
「はい、チームのお三方とはちょっとですがお話はされていますが、まだ僕らと皆さんは親交が深いわけではありませんし、戦闘スタイルについて確認等したいと思いまして」
『成程。確かに必要な事ね』
「ええ、ですので時間がある時にお話し合いをですね」
『今すぐにしましょう』
「……は?」
ジュディの方から驚くような提案をされた。
何せ今時間は20時、つまり夜の8時だ。そんな時間から会おうと言い出されるとは思わなかった。
「え、ちょっと待ってください、今からですか?!」
『ええ。こういう事は思い立ったらすぐ行動よ。今から私たちがそちらに向かうわ。せっかくあなたたちがその気になっているのだから、これを逃す手はないと言う物よ』
「え、でも」
『場所はどうしましょうか。秋彦の家に行けばいい?』
「え、待って、ていうか家知ってるんですか!?」
『ええ知ってるわ。自分たちの知名度はもっとよく知っておいた方がいいわよ? 今のご時世調べようと思ったら簡単なんだから』
「え、いや、あの」
『じゃあ一時間後に秋彦の家に行くから、待っていてね、じゃあまた後で』
言い返す間もなく電話を切られてしまった……
呆然としつつも優太はとりあえず今起こったことを秋彦に伝える。
「……マジで?」
「うっそっぴょーん……って言えたらよかったんだけどね……」
「……てか、あの人ナニモンなわけ?」
「僕が聞きたいよそんなの……」
二人して度肝を抜かれつつ、とりあえず言われた通り三人の到着を待つことにした秋彦達であった……
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
次の投稿は5月1日午前0時です。よろしくお願いします!




