第四話 初戦闘
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「へぇ、中こんな風になっているんだな」
「妙な話だけど幻想的だね~、苔とか、壁に埋まってる石がぼんやり光ってて、文字も読めそうなくらいには明るいや」
洞窟の中に入るとそこはある意味予想通りである意味予想外の空間だった。
外から見ても薄く光が差し込んでいたのは洞窟内部にある苔や見たことのない謎の鉱物が光を放っているからであり、それがとても幻想的である。
「こうも幻想的だと、なんかアイテムとかモンスターとか出てきそうだよな」
「そんなゲームじゃないんだからそれはないでしょ。でもあれだね。結構広いね」
「だな。見た目に反してこりゃなかなか……あ?」
言いかけた言葉を飲み込んで秋彦は見つけた物めがけて走った。
そこに置いてあったのはバッグだった。大して大きくないショルダーバッグで、持って動かすたびにガチャガチャいっている事から、何やら金属製の物が入っていると推測できる。
「どうしたの秋彦?」
「おお、親友。見てみろ、なんか物が落っこちてたぞ」
「え? 誰かが落としたもの?」
「どーなんだろうな? ちょっと中身見てみよう」
「え、よくないよ秋彦、人が落としたものだったらどうするの?」
「まあまあ、ちょっとだけだって。ちょろまかしたりしねーから……んん?!」
適当に袋に手を入れ中身を出したとき、思わす変な声がでた。
中から槍が出てきたのだ。それも秋彦の背丈ほどもある槍が。大して大きくないショルダーバッグの中から。明らかに容量がおかしい。こんなもの4次元ポケットか何かでもないかぎり説明がつかない。
優太も目の前で起きたことが信じられず固まってしまった。
「え、ナニコレ……あ、まだ何か入ってる」
固まっていて止める人がいないことをいいことに次々と中身を引っ張り出していく。
ほかに入っている物は、かなり分厚い本が7冊。飾り気のない鉄製の盾が一つ。先端に不思議な球がくっ付いている妙な杖が一つ。ライム色の中身が入っている、コルクで栓がしてあるフラスコが4つ。
これらが同じバッグの中から出てきたのである。どう見てもこのショルダーバッグの中に入る量ではない。
「……こんなに入ってた」
「どう考えてもおかしいよね?! なんでこんな今どき風のバッグからこんな槍が?! しかも明らかに容量オーバーしてるよねこれね?!」
「だねぇ……」
そう答えてふと気づいた。何やら変な音がする。そしてその音が、こっちに近づいてきている。
「親友、何か来るぞ」
「え?! な、何かって、何が?!」
「さあ? あ、あれだ多分」
それが視認できる所まで来た時指を指した。そしてそれを見て優太は悲鳴を上げた。
それは昆虫だった。いや、昆虫のような何かといった方がいいだろう。一見すると蟻のように見える。が、明らかにデカすぎる。一匹の大きさが子犬ほどもある蟻なんて、少なくとも秋彦や優太は知らない。
「ななななななななな何あれ何あれえええええ?!」
「あ、こっち来た! 逃げろ親友!」
「ひぃ!」
巨大な蟻が秋彦たちに向かって突撃してくるのを見て、秋彦は即座に優太に注意を促し自身も巨大な蟻を迎撃するため巨大な蟻に向かって走る。
秋彦は蟻を踏みつけようとしたが蟻にかわされる。思った以上に蟻の動きが速いうえに、空手にはない動きで迎撃せざるを得なかったことから普段の動きが出来なかったのが大きい。
秋彦は武術を学んではいるが、当然対人間の戦い方しか知らない。少なくとも人間よりも明らかに小さいものを想定して空手は作られていないのだ。
そして踏みつけようと出した足に蟻がかみついてきた!
「いでぇ?! こ、この野郎……放しやがれえええ!!」
噛みつかれた足を持ち上げ、振り回しても蟻は足から口を離さない。
ならばと秋彦。噛みつかれたまま壁に向かって走り出し、噛まれたままの足で蟻ごと壁を蹴る!
壁にめり込ませる勢いで壁にたたきつけたが、ダメージで足から口を離したものの、蟻はまだ生きている。
生きていることを察知し、秋彦は追撃を加える。蟻をボールのごとく蹴飛ばしたのだ。
だが、蹴飛ばした先に優太がいた。夢中になってて気づかなかった。
蟻は瀕死になったようだが、攻撃できない上に細くてひょろい優太では足噛みちぎられるかもしれない。
まずいと思い、駆け出す。
が、優太はさっき広げた道具のうちの一つである盾を思い切り振り上げ……振り降ろした。とどめである。
「は、ははは……はははははは」
「し、親友……ナイスファイト?」
顔が引きつったまま乾いた笑いひねり出す優太に何といっていい分からず、思わず一撃入れたことを褒めてしまった。
「こ、これは夢、夢なんだ……僕は勇者で秋彦は格闘家」
「おおおおいしっかりしろおおお!! ラりってんじゃねぇぇぇぇえええ!!」
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