第三百七十七話 中級ダンジョン後半 最後の階層
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「お、おおう……最後になってこうきたか……」
中級ダンジョン後半第三階層、つまり中級ダンジョンの第六階層であるこの階層は中級ダンジョンの最終階層だ。ここが終われば晴れて中級ダンジョンを制覇した事になる。
珍しくやる気のある優太の意気込みに感化され、最後の階層がどうなっているかを見に来た秋彦達。その階層は小さな小部屋と扉一つ。それ以外には何も無かった。
フロアに仕掛けもなく、道具も無く、魔物さえいないシンプルな部屋だ。おそらくこの扉の先はボス部屋だろう。つまり最後の最後になってボスオンリーのフロアが出てきたと言う事になる。
「もう小細工は無しって訳かい」
「確かに、前の階と更にその前の階から、この階で出てくる敵なんておおよそ予想できるからね」
「……単純に凄まじく強くて再生力のある事で倒せない敵」
「確かにボス向けではあるわね。そうなるとやっぱり逃げることが主眼になるのよね?」
「多分な。アナライズしたらバカじゃねーのってくらい戦闘力盛ってると思う」
現時点での予想ではあるが、秋彦としては概ね当たっている自信がある。
2つ上の階と1つ上の階でおおよそ傾向は掴めた、後まともに戦わない戦いとなると、もう分かりやすく圧倒的に強く勝ち目がない敵を仕向ける方向で来るだろう。
そう言う傾向なら確かに雑魚的でやるよりボスで出した方が方向性としては正しいだろう。勝てない雑魚をやり過ごし、勝てないボスをかい潜りではやる事はほぼ同じだ。だったら一度にまとめた方が都合がいいだろう。
ただそうなると一つ思う事がある。
「ここ潜ったら事実上俺らの活動は一区切りになるな」
「そっか、そもそも僕らが中級ダンジョン制覇目指してたのって、制覇したらなんでダンジョンを世界に作ったかとかの理由教えてくれるって事で目指してたんだよね」
「ああ、だからみんなにも付き合わせたよな」
「懐かしいわね、あの時からは想像できないくらいに先に進んだけど」
「……これからも勘を鈍らせない様に鍛える必要はあるけど、とりあえずダンジョンに潜り続けなくてはならないと言う事はなくなる」
「だな。このチームも解散になるか続けていくかはさておき今までみたいに必死こいて潜らなくはなるだろうな」
そう。秋彦達のダンジョンを潜り続ける理由だ。
今秋彦はもはやダンジョンから出た物や自分で作った物の売買や、それによって生まれた収入で行う投資活動で既に働かなくても生きて行ける程に稼いでいる。金の為にダンジョンに入っている訳ではない。
秋彦達は今となっては受け入れているが、そもそも何故この世界にダンジョンが生まれたのか、何故ダンジョンを作ったのかを、ダンジョンを制作した側の者に聞きたかったのだ。
そして、その製作者陣が教える条件として提示したのが中級ダンジョン制覇だった。
彼女達は理由なしに、世界を混乱の渦に貶めたのでは無いが、意味も無く制作の理由も明かさないとした。力づくで聞こうとしても彼女たちの個々の戦闘力は圧倒的だろう。とりあえずは彼女達の指示に従い、腕を磨きながら一歩づつ歩いて積み重ねてきた。
それがようやく報われる時が来る。
「この事は改めてライゾンに確認しなきゃならん。そう言う意味でも日を改めなきゃならないよな」
「知った内容によってはギルドマスターの雨宮さんにも相談しなきゃならないかもだし、そっちは私が連絡するわ」
「……父と話をする必要もあるかも」
「ああ、政治的な話は任せるわ。ライゾンとの話は親友も付き合ってくれな。俺達二人から始めたんだし、ライゾンの奴とも付き合い長いしな」
「わかった、僕も行くね」
「次のダンジョンアタックは早めにしたいな……ジュディも茜もなんとか都合つけられねーか?」
「そうね……事業関係だからそううまく行くかわからないけど、やってみるわ」
「……なんなら私がジュディに合わせる。これを知るのは私からしたら仕事の内だから」
「よし、じゃあそろそろ帰るか。ここまで来たら必要な道具なんかない、必要なのはやる気と気力、それと油断しない心持ちだ。英気養って、早めに次をスケジュールして、万全で挑むぜ!」
…………………………
気合いを入れ直し改めて今回の探索を終わらせる。
外に出ると辺りはすっかり暗くなっており、ダンジョンに長く入っていた事を感じさせる。と言うよりむしろダンジョンにいる間の時間感覚がおかしくなっているのかも知れない。
「こんな暗いとは……通りでくたびれる訳だ」
「ダンジョンの中にいる時はそんな風に感じないんだけどねー」
「……でもダンジョン内だと昼も夜もない感じはある」
「あー、それはそうかも」
ダンジョンの外に出ると流石に気が緩む。夜も遅いながら年相応の他愛の無い会話が弾む。秋彦も思わず生欠伸が出てしまう。
「ふぁ〜……あー眠い」
「じゃあ帰りましょうか」
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