三百七十五話 中級ダンジョン後半 暗黒階層 初心に帰って
累計PV数879万突破、総合評価198,000突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「もしかしなくても今状況的にまずい感じだよな」
「ええ、悠長に構えてられなくなったわ、優、茜。今の見てた?」
「見てたよー。と言ってもどうしようかこれ」
「……ただ相手を後ろに押しのけ続けて終わる話じゃなくなった以上方向性を変える必要がある」
先程までの光景を把握しているかを後衛の優太と茜にも確認をとるジュディ。
相手がただのろのろと篝火に近付くだけでは無く、自分の攻撃範囲内にいる味方にも攻撃を行い、勝手に数を増やしていくことが分かった以上ただ闇雲に敵を攻撃によって移動させ続けている訳にも行かないことが分かった。
必ず狙った方向に移動させられるならいいかもしれないが、先程の様に秋彦が移動させようとした場所にジュディも移動させてしまうという移動先のブッキングによって相手が勝手に増殖して行く可能性が出てきた。
そしてそれは数が増えれば増えるほどに状況が悪くなっていくと言う事でもある。
「うっざいなぁ……どうするか」
「じゃあ、今度は僕がやって見るね」
「どうするんだ?」
「ハイ・ブロウを使ってみる。強い向かい風でなんとか足止めできないかな?」
「……相手の動きも元々鈍い。足を止める可能性はあるかも」
「じゃあ……えい!」
優太が杖を振り上げ、横に薙ぐ様に振るうと一気に強風が吹き荒れる。
ハイ・ブロウは秋彦がダンジョン産のアイテムから使用する風魔法【ブロウ】の上位魔法だ。効果は強風を一瞬吹かせる魔法で、秋彦は弱い炎魔法や風魔法の相殺や空中での回避行動のためにも使ったことがあり、一時期はだいぶ世話になったものだ。
ハイ・ブロウはその強化版、強風を大きな範囲で起こす魔法だ。風の力自体は同じ位だが、風の影響範囲や持続性が段違いだ。ブロウが突風ならハイ・ブロウは強い向かい風と言えるだろう。
ハイ・ブロウを受けたガスト・コマンドー達は何人かの動きが止まる。
「う、上手くいってる」
「あ、ダメだ親友止めて!」
「え?」
「風の発生場所に近い奴は止まってるが発生場所から距離がある奴がジリジリ近づいて行ってる! 距離が詰まっちまってる!」
「うわまずい?!」
慌ててハイ・ブロウを止める優太。
どうやら風の発生源から近いと足止めにはなるがそこから距離があると効果も薄くなるらしい。
「失敗かぁ……いい線いってると思ったんだけど」
「ど、どのみちやり続けるのはきつかったかな……魔力の消費的に……」
「……大丈夫?」
「つ、疲れました……」
「そ、そうかやっぱ続けるのも楽じゃ無いわな。しかしとなるといよいよどうしたもんか……」
頭を捻る秋彦。
思えばこうやって戦いで頭を捻るのは久しぶりかも知れない。順当にダンジョンに潜り込み、魔物と戦い実力を付けている事で、秋彦達は基礎的な戦闘力が高い事から普段は小細工無しで戦ったり、対策するにしても装備で耐性をつけたりする場合が大半だ。
増して秋彦達の戦闘は火力で押し切る事が大半だ。時間稼ぎはした事はあるがそれでも無限湧きする敵相手に陣地防衛した位で、倒さずに時間を稼ぐと言うのは未知の領域だった。
「落ち着け落ち着け、こう言う時は初心に帰って見るもんだ……」
敵が迫るが考える事に集中する。
今までだって力押しで上手くいかなかった事はあったし、これからも力押しで上手くいかない時もあるだろう、その度にオタオタしてたらこの先生き残れる訳も無い。
幸い向こうはそれほど数を増やしているわけでは無いし、向こうとの距離にもまだ多少余裕がある。
それに、いよいよ解法を思いつかなかったら封印解放して戦闘力を上げて全方向にばらける様に投げる手も取れるのだから完全にどん詰まりと言うわけでは無い。尤も、ギミック色の強いダンジョンで解法を見つけられずに戦闘力でゴリ押しするのは、事実上の敗北の様な気がして気は進まないが。
「うーん……まだ試してない手まだ試してない手……あ」
「なんかいい手を思いついた?」
「思いついたってか単純なもん見落としてた。て言うかこれに関しても検証しなきゃだったわ」
「えーっと……なんかあったっけ?」
「俺らは日常的にこれに頼らねーからな、すっかり忘れてたぜ」
「……今度は何忘れてたの?」
「言っとくけど今回ばっかは全員で忘れてたんだから全員同罪だからな?! てかこれは俺が存在思い出す前にお前が言い出したってよかった話なんだからな?」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
これからも評価、ブックマーク、感想、いいねなど、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次回の更新は未定とさせていただきます。宜しくお願い致します。




