三百七十三話 中級ダンジョン後半 暗黒階層 篝火防衛戦
久しぶりにりあダンが日間ローファンタジーランキングに88位でランキング入りをいたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
話が終わった後、探索を続ける事数時間。秋彦達はようやくいつもの大きな扉を見つけた。
「ほい到着、ボス部屋だな」
「今回は道中での消費がなかったから、体力にも余裕があるし、魔力もバッチリだよ!」
「よっしゃじゃあ行くか。今度はどんな事になってるかなっと……」
大きな扉を開けて入ると扉はいつもの様に自動で閉まり、鍵が掛かる。
部屋の中は今までと同じで暗視装備やスキルが無ければ隣にいる人一人把握できないほどに暗いが、秋彦達には問題なく、部屋の中心にポツンと一つ置かれた物を見つけた。
「こりゃあ……まさか」
「燭台……かな?」
「……と言うより篝火」
部屋の中心にポツンと置いてあるのは篝火だ。三脚の足に支えられて立っている鉄の箱の中には燃料となる木と炭が入っている。火をつけてくれと言っている様な配置だ。
「これ、明らかに罠なんだけど……」
「……あからさますぎる」
おそらく火を使って灯りをつければここに居るはずのボスがこの篝火めがけて、ついでにこっちにも攻撃を仕掛けてくるのだろう。少し考えれば誰にでも想像がつくと言う物だ。
「つっても何もしなきゃ何も始まらなさそうでもあるよなぁ」
「そうね、準備しようにも現状だと何が出てくるかも分からないし、警戒しながら火を着けてみましょう」
「まあそれはそうなんだけどさ」
「……じゃあ優、お願い」
「はーい……えい!」
促されて優太が魔法で篝火に火をつけると予想通り魔物が現れた。見た目はさっきまでの通路でもいたガスト・ストーカーと同じに見える人の形をしたガス状のモノだ。
緩慢な動きだが確実に篝火に近づいて来ている。やはり狙いは灯りの様だ。
「お、来た来た。ここまでは予想通り……?!」
「何?! 部屋が揺れてる!?」
敵が出てくるのは予想通りではあったが、部屋に起こった異変は予想外だった。篝火に火を着けて数秒後、部屋が揺れ始めたのだ。
「うわわわ! なになに?!」
「……あそこ! 部屋の奥!」
狼狽える優太と対照的に茜は冷静に部屋の奥を指差した。
見ると部屋の奥の一部がガタガタ揺れていて、この部屋の震源地がそこであることがわかった。
そしてよく見ると、揺れている壁が、ゆっくりと上に動いている。そして出来た隙間からも光が漏れている。
「……まさか今回のボスって……」
「倒せない敵を適度に相手しながら逃げ道が出来上がるまで篝火守れって話?」
今回の趣向を見る限りおそらく篝火を消されたらあの開きかかっている扉がまたゆっくり閉じていくのだろう。どこまで上げるべきかはこちらの判断次第ではあるが上げられるところまで上げ切るのが1番だろう。
「おー、マジか。ボスまで倒しきれないとなってどうすんのかと思ったらこう来たか」
「うへぇ、面倒くさい、なんかギミック色強いし」
「ギミック色強いって言ったら敵の持つスキルもギミック色強いぞ、ほら見てみろよ」
そう言って秋彦はボス部屋にいる敵のステータスを見せる。
名前;ガスト・コマンドー
戦闘力:10,000
有利属性:闇
不利属性:光
使用魔法属性:闇
スキル
ウェポン・アタック:(通常攻撃。手に持つ武器で攻撃を行う)
光を疎む者:(光源を見つけると真っ先に破壊を目指す)
<闇に溶ける体:(暗闇に紛れて姿を消す。闇の中では気配感知などを無効化するが、一切の攻撃が出来なくなる)>
<分裂:(倒された時に自分自身を二つに分け、増えていく)>
<オール・デッド:(ガスト・コマンドーが100体同じ部屋にいる時にのみ使用できる。ガスト・コマンドー100体を闇に帰す事でガスト・コマンドーの敵対者全てを闇に葬る事が出来る)>
「……うわぁ」
「闇に葬るって要するに即死って事だよな。耐性無視の」
「でしょうね……」
ボスがこの場に100体になったら確定で全員死亡。要するに上限指定である。大して強くはない事さえオール・デッドの存在で利点にすらなり得てしまう事となった。
今この場にいるガスト・コマンドーは10体。ここから扉が開き切るまでの間、こいつらをなるべく倒さず、かつ篝火から遠ざけなくてはならない。
「なんかタワーディフェンスゲームっぽい感じして来たな」
「うーん、倒すと増えるなら倒したくないけどうまく手加減できないとそれも難しいし……どうしよう?」
「まあ、いつも通り色々試してみるまでさ。よく分からんならあの手この手で攻めるだけだって」
槍を構えて気楽に話す秋彦。ジュディも続く様に盾を構える。
「そうね、結局やれることをやるしかないわ」
「……ん、優も覚悟決めて」
「はぁい……」
「よーし、じゃあいくぞ!」
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