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りあダン! 現実世界にダンジョンが?!  作者: 大道寺 禅
ダンジョンに適応する日本
379/385

三百七十一話 中級ダンジョン後半 暗黒階層 灯りの価値

累計PV数876万突破いたしました!

これも皆さまからのご愛顧の賜物です。

これからもりあダンをよろしくお願いいたします!

 探索を開始して30分が経過している。取り合えず暗視装置と感知能力を駆使することで動きに支障は無く進めてはいる。

……が、流石にそろそろ違和感を覚えずにはいられなかった。


「変だな……魔物の気配が全く感じられない」

「暗視装置にもそれらしいものは映ってないわよ」

「30分近く歩いてエンカウント一度も無しかぁ」

「……流石に妙」


 そう、いまだにこの階層での戦闘が起こっていないのである。今回の階層はダンジョンらしい入り組んだ道を通らせる迷路型の階層だ。

 そういったタイプの階層では、魔物も入り組んだ道を通ってくるからなのか、魔物となかなか出会えないと言うことも割とあり得る事ではある。

 だがそれでも30分も階層をうろついて魔物一匹で会えないと言うのは中々無い話だ。秋彦達は既に宝箱一つ手に入れている位には階層を回っている。

にも関わらずのノーエンカウントとなれば、何か起こってると判断してもおかしな事では無い。


「いなきゃいないで戦いを省けるのは楽で良いんだが、それにしたって不気味だな」

「……ちょっとやってみたいことがある」

「お? どうした?」


 考え込んでいた茜が声を上げる。


「……優、魔法で遠くに火の玉を出せる? 爆発するやつじゃない、松明みたいな奴」

「え、出来るけど。でも凶暴化した魔物が出てきちゃうんじゃないの?」

「……恐らくあんなに強かったり光で狂化するタイプの魔物は出て来ない」

「え? 何で?」

「……そもそも普通の人はあんなバグダンジョンの事なんか知らない。こんな真っ暗闇だったら取り合えず灯りをつけようと思う方が普通。灯りつけただけで殺しにかかると言う発想になるのは暗いダンジョンイコールあのバグダンジョンが頭にある私達くらいなもの」

「あ、あー。言われてみれば確かに……」


 茜に指摘されて自分達から通常の探索者目線が漏れていた事を理解する。

 普通だったら暗ければ灯りはつけて当然だ。暗視装置持って来たり感知能力を最大限に高めて暗い場所を暗いまま進もうとする方が異質な筈だ。たとえ灯りに誘われて魔物がやって来たとしても適正なレベルの魔物が来る筈だ。

 秋彦達がそう思わなかったのは、秋彦の家にあるバグのような狂った強さのダンジョンが頭にあり、あそこで暗い場所で灯りをつける危険性を植え付けられたからこそと言える。


「……魔物は出て来るとは思う。でも取り合えず魔物のレベルなどは把握しておかなくてはいけないから」

「そ、そうだね、わかった」

「万一に備えて私達の近くでは無く遠くで灯りをつけて。まずはそれで魔物が出て来て光源を消そうとするかを試してみたい」

「わかった。じゃあ……えい!」


 優太が掛け声と共に指を鳴らすと、前方10m位の場所に焚き火程度の火が燃え上がる。オレンジ色の光が暖かく周りを照らし出す。


「さあ、どうなるかな?」

「お、来たぞ!」


 火が辺りを照らすと茜の予想通りに魔物が現れた。

ぱっと見人間と似た様に五体があるが、その体は黒いモヤの様な何かで形成されている。あの形状には秋彦は見覚えがある。


「あれ……ガスト、と言うかガスト系の魔物っぽいな」

「知ってるの?」

「家のバグダンジョンにも似た様なのがいるんだ。当然こっちは、遥かに弱そうだけど」

「……バグダンジョンで出て来る様な魔物が出て来てたまるか」

「ごもっとも」


 そんな事を喋っている間に、推定ガスト系の魔物達は光源である火を攻撃し始める。ただの灯りとして産んだ火の玉は数回の攻撃を受けるとあっさり消えて無くなり、それを確認すると魔物達もまた闇に溶ける様にその場から消えていった。


「うん、予想通りの動きだったね。光源の元に現れ、光源を攻撃し、光源が消えれば消える」

「つまり戦いを回避する事自体は容易みたいね。灯りを使わず周りを認識出来ればこの階層は無傷で移動ができるわ」

「……アナライズはした?」

「もちろん。見ていくぞ」

名前:ガスト・ストーカー

戦闘力:5,000

有利属性:闇

不利属性:光

使用魔法属性:闇

スキル

アタック:(通常攻撃。人間のような四肢で殴り蹴りを行う)

光を疎む者:(光源を見つけると真っ先に破壊を目指す)

<闇に溶ける体:(暗闇に紛れて姿を消す。闇の中では気配感知などを無効化するが、一切の攻撃が出来なくなる)>

<分裂:(倒された時に自分自身を二つに分け、増えていく)>


「何というか正直ここで出て来るレベルの敵じゃないぞ」

「うん。これじゃ初級にいたっておかしく無い」


 データを見終わったあと各々感想を述べる。単純な戦闘力だけ見てしまえば、秋彦と優太の言う通り大したことはないどころか、こんなダンジョンの奥で見かけるレベルではない。


「……単純な戦闘力やスキルを見ればそうなる」

「ただ……なんかすごい不穏なスキルがあるんだけど……」


 だが、茜とジュディが言うように最後にしれっと書かれたスキル、分裂。それが異彩を放っている。

 実際のところを見てみないと何とも言えないが、上の階での事もあり嫌な予感しかしない。


「どうする? 確認しておくか?」

「うーん、正直あんまり気乗りはしないかなー……」

「……私も。というか上の階の事もあって何となく後半のコンセプトが見えて来たような気がする」

「そうねぇ……取り合えず全部回ってからにしましょうよ、どこかで嫌でも戦わないといけないタイミングがあるかもしれないし」

「そっか。じゃあそうするか」


皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります

これからも評価、ブックマーク、感想、いいねなど、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。

次回の更新は8/13(火)の予定とさせていただきます。宜しくお願い致します。

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