三百七十話 中級ダンジョン後半 暗黒階層
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
次の階層に向かう階段。それを降りる間もチーム間の会話一つない。正直砂漠階のあまりのやる気を削ぎ落とすやり口に、主に精神が疲労したからだ。
秋彦達としては次の階に望みを託したい所だ。流石にこれで終わりにしては、あまりに味気ないというか後味が悪いというか。
そうしてただ静かに階段を降り、ようやく次の階層の入り口が見えた。そしてそれを見てそれぞれ道具や武器を構え直す。
「頼むから次はまともであってくれよ……?」
期待というより不安げに次の階層の扉をくぐる。
「ほうほう……今度はこう来たか」
「うわ、真っ暗じゃん。何も見えない」
「……薄暗いのレベルじゃない。完全に何も見えない」
「本当……足元に気をつけましょ」
入り口から入った先には暗闇が続くばかり、明かり一つない空間である。茜の言う通り薄暗いどころでは無く夜に部屋の明かりを消したかの様に伸ばした手を視認することも出来ない。フロア自体が明確にダメージを与えるわけではないが十分厄介と言えるだろう。
「んーっと……取り合えず火で灯りつけてみようか」
「あー、それは良いけど、いざって時は即消せる様にしとけよ?」
「え? 何で?」
「この暗闇、ウチにあるあのとんでもダンジョンを思い出しちまってな。前に潜った時のこと覚えてるか?」
「あ、あー……うん、覚えてるよ、もちろん。そ、そうかそう言う可能性もあるんだね……」
秋彦に言われて嫌なことを思い出してしまい、優太は少し青ざめる。
秋彦の家の敷地には現在ダンジョンが一つある。尤もこの家自体が秋彦が生まれ育った家では無く、突然自分の敷地内にダンジョンが現れてしまい、そのダンジョンの管理に難儀していた人から家ごと買い取った家なのだが。
そしてそのダンジョン、なんやかんやあった末に、周辺まで巻き込んで、本来の初級どころか中級よりも遥かに棲みつく魔物のレベルが強いというおかしなレベルのダンジョンが生まれてしまったのだ。
どれくらいおかしいかというと、そのダンジョンの第1階層で出てきた雑魚敵が、未だにこのダンジョンの階層ボスの戦闘力よりも上なのである。そんな相手が殺意全開で向かってくると言う恐ろしいダンジョンになってしまっている。
そしてそのダンジョンの第1階層が丁度ここの様に一切の明かりがない階層となっているが、そのダンジョンでは決して明かりを使ってはいけない。
なぜならその階層の魔物は灯や光に反応して苦しみ悶え、明かりを消さんと凶暴化して光源に襲いかかるのである。
その性質を利用できないこともないのだが、中級ダンジョンのボス敵よりも戦闘力が高い敵が基本のダンジョンでやるにはあまりにも危険が大き過ぎるのだ。
この階層もそうであると決まったわけではないが、似た様な特殊性があったとしても全くおかしくない。
「それで思い出したけど、皆確か家のダンジョンにちょっと潜った時に暗視装置用意してたよな? 今回もそれ使った方がいいと思うぜ。そっちの方が下手に刺激しないでおけるしな」
「あ、そうかそういえばあったね暗視装置」
長らく使用していないものではあったが、過去の経験が生きた瞬間だ。超高速の戦闘では使えないだろうがそれでもこの暗闇の世界では頼もしい装備だ。
「……まさかまたこれを使う日が来るとは思わなかった」
「本当よ、懐かしいわ。でもまあ、持っておき続けた甲斐があるってものね」
「まあそれでも先頭は俺が行くからな。俺は家のダンジョンの時みたいに、感知スキルのおかげで普通に感じ取ろうと思ったら感じ取れるしな。へへっ!」
自慢げに言う秋彦。普段の生活では意図的に感知しない様にはしているものの、基本的に半径5km以内ならどこに何があるかを正確に感じ取れる程に感知能力のレベルをあげているので暗闇程度は秋彦の障害にならないのだ。
「皆暗視装置は着けたか?」
「ん、大丈夫だよ」
「ちゃんと物見えてるか?」
「……問題無し」
「私もオッケーよ」
秋彦以外の視界が確保できたことを確認し満足げに頷く。とは言えやはり今回も何も情報がないところからのスタートだ。まず一つ有用な装備を持っていた事でこちらに少し有利にはなったはずだが、油断は禁物だ。だが、未知の場所へ踏み込むのはやはり気分が高揚するものだ。
「よしよし、じゃあ今度こそ拍子抜けしないでいい様な展開に期待しつつ、慎重に探索始めますか」
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