第三百六十八話 中級ダンジョン後半 デザート・スフィンクス攻略
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「自信満々なのは良いんだが具体的にはどうするんだ?」
「……秋が注意を引いて、通常の攻撃にも削りダメージあるだろうし攻撃に当たらないように回避に専念して」
「はいよ、任せとけ!」
「……ジュディは防御力がウリで被弾しやすいからむしろ出ちゃダメ」
「うう、今回ばかりは仕方ないわね……装備がボロボロになったら次どころじゃないもの」
「優、手伝って」
「うん、何をすれば良い?」
「……風魔法の力も使いたい、つまり……と言う事。出来るでしょう?」
「おー成程! はいはい分かった。それならお互い大した溜めも必要なくいけるね、しっかり息を合わせなきゃ!」
「……皆、お願いね」
秋彦は軽くうなずくと一気にデザート・スフィンクスの近くに跳んだ。秋彦が見上げる巨体だが、魔物が相手となるとこのアングルは見慣れた大きさだ。
近寄られたデザート・スフィンクスは持ち前の大きな手と爪でバラバラに引き裂こうと手を振り上げ、振り下ろす!
だが、この程度の速度であれば軽く後ろに跳ぶ事で難なくかわせる。攻撃が当たらなかったことに気付いたデザート・スフィンクスは獰猛に吠え立てながら連続で爪を振り下ろしにかかる。テンポよく繰り出される攻撃をこちらもテンポ良くステップを踏むかのようにヒラリヒラリと避けていく。
この調子なら足止めは問題ないだろう。精々遊んでもらうとしよう。相手の動きを見た上で余裕を感じ取る。茜のやりたい事が何なのかは分からないが、この調子なら問題ないだろう。
しかしそうは行かないらしい。デザート・スフィンクスも単調な攻撃は通用しないと悟ったのか動きを止める。秋彦も何だ何だと体勢を整えて状況を注視する。
デザート・スフィンクスは小さく体を震わせた。するとドサリと音を立てて砂の山になり、その砂の山もあっという間に平たくなってしまった。予想外の行動に一瞬驚くがすぐに理解した。
「ああ、そう言えばなんかあったね砂の中に潜るスキル」
恐らくこれが砂隠れと言うスキルなのだろう。砂に潜って隠れることで回避と防御能力を上げ、潜っている間自身を回復させると言うスキル。
成程、砂に潜って隠れた途端秋彦の感知能力にも引っ掛からなくなった。最初にこの部屋へ入ったときもこのスキルで出待ちしていたのか。
しかし秋彦の感知でも引っ掛からないとなるとちょっと面倒かもしれない。長々と砂に潜って長期戦がしたいと言うなら足止めという意味では望むところではあるが、どこにいるか分からないと、分からないまま後衛組の方に向かわれてしまうと何のために秋彦が足止めしているのかと言う話になる。それだけは避けたい。
何とか相手の目印の一つでも無いものかと、感知はそのままに目視で見えるところに違和感が無いかを探し始める。
「いや……待てよ……」
秋彦は思い直す。
そもそもデザート・スフィンクスが砂隠れし出したのはこっちへの攻撃の連打を全てかわされたからだろう。という事はデザート・スフィンクスがしたいのは秋彦を放っておいて後衛を倒すことではなく秋彦に不意打ちを仕掛けて倒すことだろう。
その上で砂に潜った者が自分を襲うとした時に出てくる場所といったら。
「下か……?」
ポツリと口に出したのが合図になったのか、今踏みしめている砂が急に崩れる様な感覚に襲われる。
咄嗟にスライディングのように体の全てを前に投げ出す。
倒れ転げて起き上がると、やっぱりさっきまで自分がいた場所にデザート・スフィンクスがいた。感知能力に頼ってぼーっと待ってたら間違いなくやられていただろう。危ないところだった。
「やっぱりまだまだ経験って大事だわなこりゃ……ん?」
息を整えているとふと体が冷え始めた。焦りで冷や汗でもかいたかと思ったが後方から水が広範囲に撒かれていた。
先程まで俊敏な動きをしていたデザート・スフィンクスの動きが一気に鈍り、固まって動かなくなった。
「おっと、こりゃあ……」
後ろを見ると茜と優太が両手をあげている。どうやら茜が聖なる水差しから水を取り出し、優太が風でそれを広範囲に撒いている様だ。
「お疲れ様! これでもうあいつは身動き一つ取れないはずよ!」
「え、あ、あー成程。スフィンクスにだけピンポイントで当ててないのって床の砂に逃げられない様にするためか? でもこんなばら撒いたってすぐ乾いちまうし水勿体なくねぇか?」
「それも大丈夫よ、ここ石造りだから外と違って水分が外に逃げにくいし、何より直射日光もないから外と違って蒸発しないもの」
言われてみればウォーターエンチャントで攻撃が通る様にしてもらってもあの大きさだと一度砂隠れされれば恐らく元通りだろう。外と違って水分が逃げにくいこともあって逃げ場を塞ぐことも兼ねて部屋全体に水を撒いたらしい。
「そうか成程、本当によく考えるなぁ」
「あ、見て、崩れていく」
話をしている間も尚水を撒かれ、砂でできた体はとうとう完全に動くことができなくなり、下手に形になったことで自重に耐えられなくなり、ボロボロと崩れ落ちていった。
今回もまた、一つ勝ちを拾えた様だ。
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次回の更新は未定とさせていただきます。宜しくお願い致します。




