第三百六十五話 中級ダンジョン後半 砂状体
累計PV数845万突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
長らく更新が出来ていない日々が続いておりましたが、今回久しぶりの投稿となりました。更新が滞っていた事、誠に申し訳ございません。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「しかし、頻繁に風吹くから砂で視界が……うお!」
「あらすごい、ピラミッドね!」
ループ地帯に突入し、そろそろ抜ける塩梅になった時、視界を覆う様に風が砂を巻き上げた、と思った次の瞬間4人の目に飛び込んできたのはピラミッドだ。
「……実物よりかは小さい?」
「でも十分大きいよ! と言うか何でこんなもんが堂々とありながらさっきまでまるで何にも見えなかったの?!
「……魔法製の蜃気楼や砂嵐で隠されていただけ。フロア効果で出来た物じゃないから構造把握無しだと立って歩いているだけでは看破は難しい」
「あー、それでその手の説明が無かったのか……」
「あのフロア効果を付与する石像とはまた別の効果って事?」
「……多分そう。三階層のボス部屋に、他の戦闘力のある花を普通の花畑に誤認させる様な力を持つ弱い花がいたでしょ? あれと似た様な感じだと思う」
茜の言葉に他の三人も納得してしまう。
接触に反応して状態異常をばら撒く花が秋彦の感知に引っかからなかった事で迂闊に動けなかったのはついさっきの事だ。やはり一つ一つ経験を念頭に動かないと変に足止めを喰らう事になるらしい。何と言うか、らしいといえばらしい話である。
「じゃあ後はあのピラミッドにまっすぐ進めば良い訳だね!」
「……それで良いはず」
「おっと、その前にお出でなすったぞ」
秋彦の言葉に反応したかの様に砂の中から何かが這い上がって来た。
「うわ! 囲まれてる?!」
「そうみたいね!」
「うし、気を取り直して、やるか!」
改めて構える。初手はいつも通りアナライズだ。ここは怠れない。
名前;デザート・ゴーレム
戦闘力:<50,000>
有利属性:炎、土
不利属性:水、風
使用魔法属性:土
スキル
<砂状体:(核以外の全てが砂で出来ており、あらゆる物理攻撃を無効化し、魔法攻撃にも高い耐性を誇る)>
<デザート・カッター:(砂を含んだ風の斬撃。切れ味は鈍いが高い削りダメージになる)>
<デザート・トルネード:(複数体のデザートゴーレムによる大竜巻。強力な斬撃の嵐はあらゆる敵を削り、切り刻む)>
<砂隠れ:(砂に潜り込む事で砂と同化する事で防御力と回避力を高め、隠れている間回復していく)
戦闘力は五万、戦闘力自体も確実に上がってきているが、何というかそれ以上に嫌な構成だ。パッと見ただけでフィールドを存分に利用する構成である事が見て取れる。
「気になる点としては、この削りダメージってのは何なのかしら?」
「その辺はよくわからないけど……まあいつも通りだな。念頭においた上で喰らってみるとする」
「無茶しないでね」
「まあ無駄と知りつつ一応打ち合うのはいつものことだろ。油断はしないって。んじゃあ……行くぞ!!」
話が終わったところで秋彦は槍を構え、飛び出していく。
「せい!」
お得意の突っこんでからの槍の一差し! だがデザート・ゴーレムはそれを避けようともしない。否、避ける必要がないと言うべきか。秋彦が放った槍の一撃にデザート・ゴーレムは体に大穴を開けた。それこそ普通の敵だったら勝負ありと言えるくらいには大きな穴だった。
だが穴を開けた秋彦は手応えに違和感を覚えると同時に納得した。成程、これが砂状体って奴か。と。
攻撃は当たったのにまるでダメージを与えた感覚、手応えがない。公園の砂場に作った砂の山を崩したかのようだ。形としては崩れてもすぐに建て直せる様な、そんな不毛さを感じ取った。
「どう!?」
「ダメだ! 多分この状態のこいつら攻撃してもまともなダメージにならねー! こいつらの砂状体ってのをまず何とかしねーと砂場の砂山に攻撃してる様なもんだ! ほら!」
ジュディの問いかけに秋彦が指を指す。秋彦が攻撃を行ったデザート・ゴーレムは既に自らに開いた大穴を修復し、刺される前と何も変わらない姿に戻っていた。そして目の前のデザート・ゴーレムが腕を振り下ろす。振り下ろされた腕から、砂を纏った風の斬撃が放たれる。遠くからも近くからもデザート・ゴーレムからの攻撃で風と砂が舞い上がる。
が、別に避けられない様な速度ではない。油断なく確実に一つ一つ交わしていき、最後の一撃だけ敢えて槍で受けてみる。削りダメージとやらを体感してみる事にする。
「よっと! ……お、おおおおおおお!!!?」
刃で受け止めず、刃と持ち手の間にあたる部分で受け止めてみる。が、受けて秒も経たない間で理解出来た。受け止めてはいけないと。
「くそ!」
すぐに斬撃を上にかち上げていなした。が、それでも槍へのダメージはかなり大きい物となってしまった。
「やっべー、参ったなこれ……」
槍の損傷具合を見て試しに受け止めてみると言う行為をしたことを後悔する事になった。受け止めた部分が思い切り斬撃の形に凹んでしまっている。凹むと言うよりは本当に削られてしまっている感じだ。
電機工具にもグラインダーという砥石を回転させて石を切断する物があるが、まさにそのグラインダーを受け止めてしまったかの様だ。もちろん通常のグラインダーでは先に砥石の方がダメになり、この槍はびくともしないはずだ。だがデザート・ゴーレムの放つ攻撃はそうではなかったらしい。
「よし、とりあえずこれ攻撃喰らったら身体へのダメージより装備に対するダメージの方がキツくなる感じだってのが分かった。もうやらねー」
「それは分かったけど、どうやって倒す? 物理攻撃はほぼ無意味だよねこれ?」
「ああ。魔法も……効果は薄いかもな」
今までは物理がダメなら魔法を使って対処してきたが、この砂の身体を持つゴーレムでは正直効果を期待できそうにない。何せ土属性に対して強いはずの風属性攻撃を行っても、決定打になる気がしない。むしろ風に乗ってこちらを攻撃しに掛かるかもしれない。
空を舞う水要らずのウォーターカッターと言ったところか。考えて上手く倒さないと武器破壊だけでは済まなさそうだ。
「さてどうすっか。だれかなんか案ある?」
「……大丈夫、思いついた」
「お、早いな茜」
手を挙げたのは茜だった。こう言う時に作戦の立案をしてくれるのはだいたい茜だ、頼りになる。
「で、どうすんだ」
「……簡単、飛び散るから攻撃が当たらないのなら、飛び散らせない様にする」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
これからも評価、ブックマーク、感想、いいねなど、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次回の更新は未定とさせていただきます。宜しくお願い致します。




