第三百六十二話 中級ダンジョン後半 スキルアンロッカー
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「よし、罠の調べは完了だ、罠はないぜ」
「おおお……やったね……!」
「じゃあ、スパッと開けちゃってよ……」
「……何が出るかな……?」
秋彦が直感で探し当てた宝箱、罠が仕掛けてあるかどうかの判断も終わり、いよいよ御開帳である。
息を大きく吐いて、意を決して宝箱を開ける。中身自体は当然のように大容量的の宝箱なのでごそごそ探る必要があるのだが、この一瞬の緊張感は何にも代えがたいものがある。
改めて中を探ってみて最初に手に当たった物は古ぼけた本、というよりも本よりかなり前時代的な物が入っていた。本の様に何かを書き記しているものなのはわかるのだが、素材がまず違う。
「な、なんだこりゃ、竹か?」
「なんだろう、卒塔婆みたいなのが繋げられてる様に見えるけど……」
「私にはさっぱりだわ、古い文章を書いてあるものだって言うのは分かるけど」
秋彦と優太、ジュディが頭を捻っていると茜が一人確信に近い声を上げる。
「……恐らく木簡」
「え? もっか……? なんだって?」
「……木簡。主に古代の東アジアで墨を使って文字を書くために使われた物で、短冊状の細長い木の板の事」
「えっと、古代アジアって事は昔の中国が使ってた物なの?」
「……古代では日本でも使われていた」
「え、マジで!?」
「……秋、歴史の授業は居眠り?」
「む、昔はともかく今はそんなことはねーはずなんだが……」
「……なら忘れただけね。貴方は結構肝心なことを忘れることが多いし」
「お、お前、言うじゃねーか……」
「……周知の事実」
少し辛辣な茜の言い分に顔を赤くする秋彦。優太とジュディが同時に顔を背けた理由は今は聞かないことにする。
「で、その木簡がなんだって?」
「分からない」
「あ?」
「……アナライズは貴方の役目でしょ?」
言われて秋彦もハッとする。そういえばこのメンバーの中で魔法石を使うことなくアナライズが出来るのは秋彦だけだった。
「あ、そういえばそうだった」
「……今日の貴方は忘れん坊が炸裂している。大丈夫?」
「ほ、ほっとけ! ちょっと疲れてただけだっつーの! この階層に来てからどうにも調子狂ってばっかりなんだからよ! 休憩だ休憩!」
「……はいはい」
「お、お前なんか今日随分な物言いだな?!」
「……私はいつも通り」
「嘘つけ今のお前なんか辛辣だぞ?!」
顔の熱が頭に回ったかのように言い合いをする秋彦と茜。そんな二人をジュディと優太はむしろ微笑ましそうに見守る。
「なんか仲いいわね二人とも」
「だろうねー、なんか秋が今までやれなかったツッコミポジションにいるみたいだし、ある意味茜ちゃんと秋はジュディとは違う意味で特別な間柄なのかもね」
「あら、ちょっと妬けちゃうわね」
「秋にとってのポジションは絶対別だから安心していいと思うなぁそこは」
「……で、結局それ何?」
「ったく、ええっとちょっと待ってろ……」
調べてみると次のように出た。
【<スキルアンロッカー フロア構造把握>】
【<読むことで木簡に書かれたスキルを習得することが出来る。読むと崩れ落ちるので一回のみで、失敗する事もある。この木簡には迷宮荒らしスキルのフロア構造把握を習得できる>】
「だってよ」
「つまりこれダンジョンウォッチで項目がはてなマークになってる所が無くなる感じかな?」
「そうでしょうね。このスキル、失敗する可能性もありとはいえ、有用なスキルよね」
「……今まさに役に立つ。フロア構造を把握出来ればどこに出口があるかも分かるかも」
「おあつらえ向きだなあ。じゃあどうする、誰が使う?」
「あ、決める必要なさそうだよ」
「あ? 何で?」
誰にアンロッカーを使おうかというタイミングになって宝箱を漁っていた優太が止めた。そしてその手には同じものが3つ。つまり全部で四つあるという事だ。
「全員分あるみたい」
「あるいは確実に覚えさせるための複数個って感じかしら?」
「まあ、なら1人一つ使って覚えられた人が使っていく感じで。覚えられなくても恨みっこ無しでいいか?」
「ええ、いいと思うわ」
「……ある意味平等」
「決まりだね」
とりあえず試しに全員で使うことになった。4つあるのだから誰か1人くらいなら当たるだろう。
木簡を見て内容を確認していく。魔法文字で書かれたそれはかつて魔法を覚えた時のように頭に叩き込まれる感覚はないがスルスルと内容が入ってくる。
フロア構造把握とは要するにマップ作成能力みたいな物であり、同じフロアに長く留まる事でフロア効果や階層に仕掛けられた罠、道や出口、宝箱の位置も把握出来るようになるらしい。レベルを上げる事で短時間で細かいことまでわかるようになる様だ。
最後まで読んだ所で木簡が砂になったかのようにボロボロになって崩れてしまった。
それを確認してから、改めてダンジョンウォッチからスキルを見て、迷宮荒らしの項目を開いて確認する。
「あった! フロア構造把握Lv1!」
「僕もあった!」
「私もあったわ」
「……私も」
どうやら全員取れるようになったらしい。とりあえず今の段階では失敗率は低いようだ。
「……私が試しにレベル上げて構造把握してみる。その間に宝箱調べきって」
「わかった、じゃあそっちは任せた」
茜がDPを使ってレベルを上げ出したのを確認して秋彦達は宝箱の残りを調べていく。
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