第三十五話 初級ボス討伐報酬と第二階層
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「もう! またあんな無茶して! この前矢場さんに怒られたばっかりじゃない!」
「うう……面目ねぇ……」
ヒーリングポーションを飲み干して、優太から怒られる。
無茶な行動で戦うのは入門ダンジョンの大蜘蛛、フィールドキメラゴブリン、そして今の三回目だ。そろそろ何とかしないと、このままでは敵に突っ込んで死にかねない。
秋彦も冷静になればわかるのだが、途中からつい衝動的に走ってしまう。
最後に、敵をアナライズする。
名前:バルカン
レベル18
肉体力:300
魔法力:100
戦闘力:1200
有利属性:風、水、光
不利属性:炎、地、闇
使用魔法属性:炎Lv5
スキル
突進:(【モンスタースキル】【アクティブ】突進し、爪や角で攻撃する。走っても飛んでも攻撃できる)
ひっかき:(【モンスタースキル】【アクティブ】狼の爪でひっかく)
飛翔:(【アクティブ】空中を飛ぶことができる。この個体は羽を使う)
初級ダンジョンのボス個体の一体
巨体の割に羽をもっており、飛ぶことができるので動きは速い。更に魔法を使う事ができるので空を飛び、相手の攻撃が届かない範囲から魔法を放ち、なぶり殺しにすることが得意。
だが、接近戦の方が強い。手の甲に宝石が埋め込まれており、高値になる。
データとしてこのように出た。戦闘力を1000超えていたらしい。流石にてこずっただけのことはある。東京での氾濫の際、最後に立ちはだかった強敵、フィールドキメラゴブリンが戦闘力2000だったのだ。強敵具合がうかがえると言う物だ。
とりあえずマジックバッグの中に押し込み、一息つく。
「しかしこのダンジョンもこれで終わりか。なんてーか早かったな」
「うーん、こんなあっさり行っていいのかなぁ?」
「そうはいっても終わったしな。さ、宝箱開けてみようぜ」
「全くもう……」
怒りながらも、バルカンを倒した後に出てきた宝箱に近づく。
ちなみにこの宝箱は秋彦でも持ち上げることができなかった。重いとかそういうレベルじゃない。ダンジョンと一体化しているかのような重量だった。
「ダメだ、持てねぇ」
「流石にダメか……じゃあ開けるよ」
そういって中を開けると、中に入っていたのは魔法陣のような装飾が施されたラウンドシールドと刃の部分以外の場所全てにびっしりと見たことのない文字が刻まれた槍、そして騎士か何かが付けていそうなガントレット。水色の不思議な雰囲気を放つ石、マネキンを小さくしたかのような人形。そして最後に大量の百カネー硬貨だった。
「うお! カネー硬貨がいっぱいあるぞ?! ……お、槍があるな。これは俺が貰うよ?」
「いいけど、その前に調べてからにしようよ。槍みたいに見えるだけとか、あるかもよ? シルフの手帚みたいなこともあったしさ」
「……ああ、成程。言われてみりゃそれもそうだ。じゃ、鑑定イクゾー」
まずは槍からアナライズをかけていく。
【マジカルスピア】
≪魔力の込められた槍。長さをある程度自由に変えられる他、槍の使い手が最も得意とする属性に応じて、能力を獲得する≫
「これは確定だな。俺がもらい受ける」
「異議なーし。じゃあ次行ってみよう。盾ね」
「はいはい」
次は盾にアナライズをかけていく。
【マジックシールド】
≪防御魔法が刻まれた盾。魔力を込めて構えると、防護壁が現れて所持者を中心に広範囲を守る。防護壁は破られても、しばらくすると再生する他、魔法に対する防御が高い≫
「うん、親友が持っていたほうがいいな。俺槍装備だから盾とか使わねーし」
「まあね。けど、どっちかっていうと前線で攻撃を引き受ける盾役に持たせたいけどね……」
その次に手甲にアナライズをかける。
【武人の手甲】
≪武を貴ぶものが好んでつける手甲。いかつい見た目に反して武器の挙動を妨げず、とても軽いが、いかつい見た目通りの高い防御力を誇る≫
「なるほどね。やっぱりただの防具ってこたぁ無いらしいな。これは俺が着けておこうかね」
「なんかようやく秋彦の防御が強化できるものが出た気がするよ」
装備品が終わったので、次からは道具だ。まずは石をアナライズする。
【帰還石】
≪持って帰還を念じるとダンジョンを脱出することができる。いざという時の為に持っておきたい。帰還石から光が失われた時、帰還の効果も失われる≫
「おー、便利アイテムじゃねーか」
「敵に囲まれたときとか、すぐにその場から離脱しなきゃいけない時用かな」
アナライズする物としては最後だ。小さい人形にアナライズをする。
【サーヴァントゴーレムコア】
≪魔力を帯びた石や土に埋め込むことで、主人に忠実な【サーヴァントゴーレム】を作り出すことができる。魔力を帯びた石や土は地属性魔法にて生み出すことができる≫
「……今回これが一番の値打ちモノなんじゃね?」
「うん……なんかこれ凄そうだよ」
サーヴァントゴーレムコア、どうやら土属性の魔法使いが持つことで真価を発揮する道具の様だ。地属性の自分に忠実な魔物の使役。正直すごく心に響くものではある。が、残念なことに2人は地属性魔法が使えない。つまり二人が持っていてもゴーレムが作れない。
「これ……どうしよう? 俺らが持ってても無駄だし……」
「そうだね……地属性魔法使い相手の交渉とかにも使えるかもしれない。とりあえず持っておこう」
道具をすべて解析したところで、カネー硬貨を回収する。
大量にあるが、すべて百カネー硬貨だ。手間がかかるがあって困るものではないので一生懸命かき集める。
余りに大量にあるので、いっそ一部換金したほうがいいのかもしれない。ちょうどカネー硬貨不足といわれているのだ。少しは貢献しよう。
もうしばらくして全部集め終わったが、とりあえず集計は後回しでいい。
「よし、これで初級ダンジョン制覇という訳で、出口も出たことだし、DP貰いに行こう」
「うん、そうだね」
ようやくこの部屋に用が無くなったので、二人は改めて、バルカンを倒したことで開いた部屋の出口に向かう。
通路を進み、もらえるDPに思いをはせていると、奥から光が見えてきた。
「出口か?」
「あれ? でも入門ダンジョンの時ってあんなふうになってたっけ?」
妙な違和感を覚えつつ、二人は光の差す方向へ向かう。
そしてその光の差す場へ行くと……
「……あれ?」
「あ、成程ね」
また林が広がっていた。しかも先ほどよりも鬱蒼としており、林というより森というべき木々の密集具合だ。
「親友……これってまさか……」
「第二ステージ、第二階層的な奴かな」
どうやらまだまだ終わりそうにないらしい。一階層だけで終わった入門編と違い、初級からは階層があり、終わりにはボスを倒して進んでいくことになるようだ。
しかしそうなると一つ問題がある。
「じゃあ、これってどこまで魔物倒したら氾濫しなくなるようになるんだ? 結構重要だよな?」
「そうだね……ええっと……あ、でもほら見て、ボス倒す前にみた時はリセットされていなかったけどリセットされてるよ!」
言われてマップを見てみると、表示がこのようになっていた。
中谷町林のダンジョン
難易度:初級
目標攻略レベル:25
目標攻略時間:10日
氾濫発生日数:45日
氾濫発生日数が45日になっている。氾濫発生は見事にリセットされたようだ。
「おお!! やったぜ! これで一つ目的達成だ!」
「いやーよかった! これで生活圏内はもう安心だね!」
ハイタッチを行って、喜び合う二人。背丈が違いすぎて多少不格好なのはしょうがないが、今ばかりは手放しで喜べる。
「おし、じゃあ、今日は一旦この辺にして、雨宮さん達に報告と、魔物を売りに行ってみようぜ!」
「オッケー! じゃあ、早速帰還石使ってみよう!」
「お、そうだな。試運転大事」
さっそく帰還石を取り出し、秋彦と優太の帰還を念じる。すると体が青い光に包まれ始め、周りの風景が歪み始めた。
足元が定まらず、ぐらぐらする、何度かふらつき、倒れそうになったがなんとか耐える。
それを何度か繰り返すと、二人はダンジョンの入り口に戻ってきていた。
「おー! 本当に戻れたな」
「本当だね。あ、今更だけど、ライゾンさんが転移したのってテレポーテーションじゃなくて帰還石を使ってたからだったんだね」
「おー、そういえばそうだな。ってかまた懐かしいことを……」
「あはは、じゃあ行こうよ。送って?」
「はーいはいっと……『力よ!』テレポーテーション!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
ぜひ評価感想の方を頂戴したく思います。そうしたら私はもっと頑張って作品を展開できますので。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!




