第三百四十四話 団欒と新年
累計PV数710万突破、ユニークPV数111万突破いたしました!
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うわぁ、これは凄いねぇ……」
「そらこう言うアスレチックタイプの競技探索者にやらせちゃダメでしょ。探索者同士で競い合う競技するならまだしも、あ、終わった」
「あらあら……残り時間30秒も残して第一ステージ終わったわね」
「この番組アメリカでも名前はちょっと違うけど放送されてたのよね、懐かしいわ」
「イギリスでも放送されていましたよ。でもやっぱりこう言うのを本場の国で見るって言うのもちょっと特別感があって良いですね」
夕方、大晦日の番組の一つであるNINJAを見ていた。
おせち料理の仕込みが終わった母と、秋彦と同じく宿題に精を出していたジュディとエリザベスも合流しての家族団欒の時間である。
「にしても圧巻だなぁ〜、CGを疑うレベルな動きしてたんだけど」
「あれ位父さん達だって出来るよ」
「あらホント?」
「伊達に俺らと一緒の食材食ってた訳じゃないんだから、行ける行ける」
「そ、そうなのかなぁ……」
秋彦の両親はいまだに実感が薄そうだ。まあ戦闘経験もダンジョンに潜った事も無いと自分の能力を把握しきれないのかも知れない。やはり一度どこかでダンジョンに連れて行く必要があるかも知れない。
「不測の事態に備えるなら、護衛雇うより自分の体鍛えたほうが確実なんだからね」
「こ、怖い事言わないでよ……」
「最近この界隈不埒な輩も増えておりますわ、お義父様とお義母様にも十分気をつけていただきたいだけですよ」
「それはわかってはいるんだけどねー、何と言うかいまいち勇気が出てこないよ」
「まあでもなんだかんだ逃げ足程度でも貢献しているってんなら俺らが取ってきた食材にも意味があったってもんだな」
「違いないわ」
とは言えやはり最終的には本人達の意思が問われる。やる気のない人にやらせても無駄だし無意味だろう。とりあえず今は逃げ足程度でも両親の生存に貢献したことに意味を見出すべきだろう。
「反面私の所の両親は割とやる気になってくれているのよねー」
「あ、ホント」
「あー、クリスさんご夫妻ね。あっちは寝物語の世界がやって来たとかで割と流行りと言うか注目度高いんですって」
「母さん知ってたの?」
「クリスマスパーティーの時にお話ししたのよ。あっちは騎士が重要な意味を持つからね。騎士の復権を目指して王立の迷宮の脅威に立ち向かう新たな騎士団の拡大と、それを世に知らしめるためにいよいよ国が魔物の手に落ちた地方の奪還、人魔大戦を挑む日は近いらしいわよ」
そんな意気込みを持っていたのか、と秋彦は感心した。
確かに日本に続いて魔物から国土を奪還した名のある国はまだ少ない。少なくとも日本より国土が少ない国に関しては積極的に行ってはいるが、日本からしたらあまり名前を聞かない国の方が多いのは事実だ。
ネームバリューとして一番大きいのはヴァチカン市国だろう。あそこは聖堂騎士団を保有しており、その大半が探索者としてダンジョンに挑む事を試練として積極的に挑み続けている。
昨今では神に仕える身であれば、若い神官から枢機卿クラスまでが信心を試すかの様にダンジョンに挑み、力を得ておりその実力は本物の猛者揃いだ。
そしてそういった人々が多いからなのか光属性魔法を持つ割合が非常に多く、騎士団としては今では最強に近い探索者としての能力を得ている事でも有名だ。
どうやらそれをイギリスでも行って力を誇示したいらしい。
「そうは言ってもお父様自身はあくまでカジュアルシーカーとしてだけよ。今やイギリス最大手の探索者を相手にした商業を行っている企業のトップとして、格好をつけたいらしいわ」
「え、それ大丈夫なん?」
「今のお父様は止められないわよ、私達ってそう言う儀礼とか名誉は凄く大事だし。新設される探索者の騎士団のメンバー入りもあり得なく無くなってるとかで、張り切っちゃってるから」
「なんかいよいよ各国の体制が剣と魔法を前提に変わって来てるせいか時代に逆行してる気がするなぁ」
なんだかイギリスもにわかに騒がしくなって来ているらしい。まさか秋彦がそれに付き合わされる訳ではないだろうが、ジュディが付き合わされる可能性が十分にあるのが懸念事項である。
「まだ先の話よ。少なくとも冬が終わってからね」
「いうてクリスさんに言われたら俺も出ない訳にゃいかねーし、気にもなるさ」
「あら、来てくれるの?」
「そらそうだろ……みんなだって来るだろうしな」
「そうなら嬉しいわね、私、良い仲間に恵まれたわ」
「それは本当にそう思うよ俺も……あ、第一ステージ終わった」
「あ、孤高のグルメそろそろだから変えるよ?」
「はいよー」
やはりどこもかしこもこの今の世界の現状に対応するべく動いているらしい。いち早く対応した日本には解りづらいところで着々と準備を進めているらしい。
ジュディの新しい事業もきっとそういった人々の助けになるだろう。来年はきっとダンジョンでの活動よりも世界がうねりを上げて変化するだろう。
騒がしくなりそうな気配を感じつつも、今はとりあえずこの暖かい空気で一息付く事にした。
もはや騒がしいのはいつも通りだ。所詮学生とはもはや言うまいが、それでもやれることしかやれないのだから、自分のできることで、今のこの世界をこの際堪能しようと思う秋彦であった。
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