第三百四十二話 来年の歩みのペース
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「じゃあすんません。今年もいつも通り頼んます」
「あいよ、今年はないとか聞いてたから残念だと思ってたんだけど、今年もお買い上げありがとうございますだ」
「いやぁー、家族のいない正月を一人で祝うのも味気ないからと思ってたんだけど、父さんも母さんもこっち戻って来たんで」
「ははっ、確かにな!」
クリスマス会を終えて、12月27日。
仲町商店街は、早くも正月の雰囲気を漂わせている。行事が連なり、慌ただしくも一年の終わりを前に何処となく穏やかな空気が流れる今の時期のこの感じは秋彦は好きだ。
そして秋彦は両親が日本に帰って来たことにより、今年も正月を祝う事になった事で、母から例年通り仲町商店街の日本料理店【黒船割烹】が年の瀬に予約をおこなっている刺身の盛り合わせとおせち料理のたっぷり詰まった重箱を予約しに来ていたのだ。
「そういえば秋ちゃん、今年は随分ダンジョン関係で有名になってたけど来年もバリバリ稼いでくれるのか?」
「んー? どーだろね。俺は兎も角他が割と副業の方が取り沙汰されてるじゃん?」
「あー、そう言えば今年の振り返りで世界にダンジョンが現れてから、日本の探索者達が氾濫を抑えるダイジェストとかやってたからね」
予約をし終わり、昼時を終えて暇になった店で雑談。黒船割烹店主の稗田 歳三は満足げに頷く。
この店も仲町商店街八百屋の北沢倉庫のダンジョンで出てくる野菜やダンジョンができた影響で取れる様になった主に魚系種族の魔物食材で作られた料理を出す店としてがっつり利益を得ているだけあって探索者がいい意味で取り沙汰されるのはいい事と捉えているのだ。
「そうそう、茜の奴も出馬条件の年齢に達するまでに可能な限りコネクションを獲得するって言ってるし、ジュディも機械素材バリバリ集めて、工場とかも作れるかもって話も上がったらしいし。親友も実家の飯屋の副店主みたいなもんだしね」
ため息混じりに少しぼやく。
秋彦達はこの一年多くのダンジョンを攻略し、新たな難易度のダンジョンにも率先して挑戦している。素性は最早知らぬ人がいないレベルだ。
当然各々の野望も知れ渡っており、本人の野望叶って半離脱状態の桃子の様に、本業に据えようとしている方面についても随分紹介された。
特に茜は父も現職の議員であり、本人の知名度もカリスマ性も高い事も相まって、今やダンジョン関連の法に対するご意見版である父の巌議員の懐刀だ。
探索者や探索者に関連している有権者からの支持も多く得られるだろう事も考慮すると、本人の出馬も十分あり得る。
時期が上手く重なれば歴代衆議院議員最年少記録の25歳6ヶ月を更新する可能性は非常に高いという意見もあり、期待が高まっているのだ。
また、ジュディも多くの機械素材がついこの間手に入った事により急ピッチで準備が進んでいるらしい。結局機械素材は壊れた時の予備パーツとして確保したいとメカニックの緒方に確保されてしまったらしいが、本業の準備も順調に進みそうな事を喜んでいた。
優太は店が大きくなって従業員も雇っていることで、出勤のシフト調整はある程度出来そうだが、中級ダンジョンを今更二人で行く度胸はないし、かと言って今更初級ダンジョンに優太を連れて行く必要もないだろう。
そういう訳で来年はレインボーウィザーズの集まりが悪くなりそうで、基本的に一人で行けるダンジョンを一人で行くことが増えると思っている。
秋彦自身も、中級ダンジョンに行けないなら、初級ダンジョンに潜るよりも骨加工に更に力を入れて多くの探索者を中級に挑戦できるように装備の質を引っ張って行こうとも思っている。
取得当時は龍之介から出る素材の有効活用としか思っていなかったが、今では割と秋彦の作る武器や道具には愛好家が多く、はっきり言ってこれだけでもう食うには困らない収入は得られるのだ。
行くところまで行ったものだ。
「……って感じかな。来年からはちょっと失速するよ」
「おお……そうかそうか。まあその分そういう方面で貢献してくなら、人々から忘れられる事もないだろうし、これからもこの街の象徴として頑張ってくれよ。そろそろ仕事しねえとカミさんに怒られるからこの辺で」
「へいへいっと。じゃ、予約したかんねー」
「おう、これ札な。大晦日にこれ持ってきなよ」
予約札を受け取り店を出る。肌寒さを感じる
体温調節出来る服はあるが、**以下のテキストが迷子です**
………………………………
「ただいまー。おせちと刺身とかの予約してきたよ〜」
「はいお帰り。おやつにきな粉餅あるわよ、手を洗ってきてね」
「やった! 龍ちゃんは?」
「父さんと先に食べてるわ。美味しそうに食べてくれてついニコニコしちゃうわ。大きいとちょっと怖いけど、小さいと可愛いわねぇ」
「龍ちゃんは大きかろうと小さかろうと可愛いって」
家に帰ると母がおやつを用意してくれてた。父も有給を使って今日から早めの年末に突入したらしく、構ってあげているらしい。
龍之介も年末年始までダンジョンに行くことはない。本人は行こうとしていたが、従魔の主人が全員で止めた。本人達は遊びに行っている感覚なのだろうが従魔の主人としては休みなく働かせてしまっているようであまり気分が良くない。
秋彦も今日は遊びに行くような感じでもなく職人として、すっかり秋彦の工房と化してしまった家の地下室で作業をする気にもなれない。
来年も探索者としてはペースは落ちるが忙しくなる筈だ。今のうちに休んでおこう。
そう思いつつ、おやつに手を付けるべく手を洗う事にした。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
これからも評価、ブックマーク、感想、いいねなど、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次回の更新は5/16(月)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




