第三百四十話 クリスマスパーティー 保護者会 桃子 ジュディ
累計PV数700万突破、イイネ数1,000件突破、ユニークPV数110万突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
投稿が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。最近気が緩んでいるようです……
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「うわっ?! あ、すみません話し込んでしまって……」
「いいんだよ、若い子が興味のある話に熱中するってのはとても良い事だ」
「ちょっとまだかなーって思っちゃったけどね」
急に話に割って入られてしまって驚いたが、まだ話しかけてない今日呼んだゲストはまだいたことを思い出し、秋彦は顔を赤くしてしまった。
しかも随分待たせてしまったらしい。秋彦は申し訳なさそうに話を振る。
「え、直接お会いするのは初めてでしたね。初めまして楠茂さん、楠百合根さん。南雲秋彦と申します。娘さんである桃子さんにはいつもお世話になっております」
「ははは、これはご丁寧にどうも。ファッションデザイナーの楠茂です」
「妻の百合根です。日本だと桃坂 八重の方が通りがいいかしら?」
「ええ、まあ……しかし本当にヤエちゃんなんですね……いや、桃子さんの母親となったらそうなるんですけど。お会いできて光栄です」
今更ながらに少し困惑する。
桃子、と言うより、今となっては超有名かつ人気のアイドルグループのリーダー桃坂桜の母親にして、かつて自らもアイドルとして時代を駆け抜け、今も尚女優としてその最先端にいる女優である桃坂八重。通称ヤエちゃんという芸能関係に疎い疎い秋彦でも知ってる芸能界の超大物が目の前にいるとあっては、芸能人として生きていくつもりがない秋彦であっても背筋が伸びると言うものだ。
もし秋彦が芸能界に身を置く者だったら卒倒してただろう。
「そうよー。でも光栄と言うならそれはこちらのセリフよ。娘の大躍進に一役買った、今の時代を生きる新たな新星さん。娘共々仲良くしてね。これ、私と旦那の個人用メールアドレス。渡しておくわね。気軽にお話しましょうね」
「え? あ、はい、どうも……」
笑顔で話をしてくれているが、立板に水の喋りっぷりに周りの空気が一気に彼女に塗りつぶされてしまったかの様だ。完全に主導権を握られている。
そしてまるで新しい友達ができたかの様な気軽さで、連絡先なんて言うとんでもない者を渡されてしまった。思わず受け取ってしまったが、正直気軽に話をしようと言われて出来るわけがない。どうしろと言うのか。
「いやすまないね。妻はお喋りが大好きでしょうが無いんだ」
「い、いえいえ……」
「改めて、桃ちゃんの父の茂です。宜しくお願いします」
改めて挨拶を交わし、握手を行う。細腕から手を握る力は思いのほか強かった。
「さて、言葉での挨拶は済んだけど、私としては此方での挨拶もしておかなければね。受け取ってくれ」
そう言うと茂は脇に置いていた小さな鞄から小さな箱を取り出した。
「あの、これは?」
「僕が手掛けるブランド【ZEKU】の新作だ。僕はフランスでファッションブランドの店を持っていてね。有難い事にフランスでも人気を博しているんだ。南雲君は物作りでも有名だからね。デザインとは少し違うけど、物作りという点では共通点と言う事で、作品を渡しておこうかなと思ってね」
「あ、有難うございます。えっと、じゃあこっちも……えっと何がいいかな……あ、じゃあこれ、挨拶返しという事で」
「お、おお……なんて骨加工による一品と言うに相応しいオリエンタルなフォルムの首飾りだ……」
思いがけずにお洒落な柄のハンカチを貰ってしまったので、最近骨加工で作った道具を渡した。
「それ、着けてると戦闘力が100上がりますので、使う使わないはともかく気をつけてください。今一般人は探索者の免許ない人だと戦闘力500以上になる様な装備で外で歩くの法で禁止されてますからね」
「あー、前にニュースになってたねそれ。探索者でも千超したらダメなんだっけ。わかった、気をつけるよ」
満足そうに装備を鞄の中にしまう茂。だがそれを百合根が止める。
「え、もう仕舞っちゃうの? もうちょっと見せてよー」
「ちょ、貰ったのは僕なんだから、これは後でアトリエでじっくり見るよ」
「えー! ちょっと、ちょっとだけ!」
思いがけず取り合いになってしまった。話が進まなさそうなので最後のゲストの方へ向かう。だいぶ待たせてしまった。
『こんばんはお義父さんにお義母さん、楽しまれていますか?』
『やあ、待っていたよ。普段はこういうクリスマスはしないんだが、それなりに楽しませてもらっているよ』
『私もよ。クリスマスの夜にこんなに騒ぐパーティーは私は初めてだから新鮮よ』
最後はジュディの両親の所である。クリストファーことクリスとアンジュリーナことアンジュの夫婦は秋彦を笑って出迎えてくれた。
『接待は大変だったかしら? お疲れ様』
『ああ、すみません。遅くなってしまって申し訳ございませんでした』
『いえいえ、責めているわけではないのよ、そう聞こえてしまったならごめんなさい』
『今日はメイドのセリーヌも休暇で通訳がいなかったから少し心配だったが、意外と英語をちゃんと話せる人は多くて驚いたよ、おかげで退屈しなかったとも』
『ああ、そうかそう言えば両親達の中で英語話せないのって親友の所だけでしたね』
クリスに言われて気付いたが、レインボーウィザーズの両親達は揃って語学が堪能だ。秋彦の両親は秋彦に英語を叩き込んだ張本人だし、ジュディは英語が母国語で日本語が堪能。茜の所は政治家ゆえの英才教育の賜物かあるいは外国の人とのやりとりがあるのか普通に読み書きができるし、桃子も本人はともかく親はフランスに拠点を置いている事で英語も出来るらしい。
唯一優太の所だけは出来ないが、責めるのは酷だろう。というよりそれをいうのは御門違いという物だ。ここは日本なのだから。
『今日は呼んでくれてありがとう。何も無かったら今年はあの子が生まれて初のあの子抜きのクリスマスになる所だったからね』
『そうね。でもこのパーティーに参加が叶ったのはこれのおかげよ。これが無ければこんなに気軽に日本に来れないもの』
『全くだ。これひとつあればファーストクラスでも退屈になるあの長い飛行機の時間とも無縁になるのだから、魔法と言うやつは便利だ』
そう言ってアンジュは秋彦が以前渡しておいたテレポテーションの魔法石を取り出す。
自分の知っている場所に瞬間移動できる無属性魔法、テレポテーション。それを魔法力を持たない一般人でも使える様に無属性の魔石を加工してテレポテーションのみを使える様にした物である。これがあるから遠く離れたイギリスからでも気軽に呼ぶことができるという物である。
ちなみにこれは桃子を通して茂にも渡してある物で、最近では頻繁に家族の居る日本に帰れる様になった事で感謝されている。
『折角ですし、魔法石にエネルギー補充しておきますね』
『いつもすまんね。宜しく頼むよ』
『承りました。そうだ、茂さんの分も後でやっておかなくては』
通常魔法石は回数制限があり、魔法石に込められた魔法力が無くなればそれで終わりの代物で、使い捨ての物だ。
だが、無属性魔法の最初に覚える魔法であるパワーは、その名の通り物に力を込めることが可能で、これを使えばエネルギーである魔法力が切れた魔法石もまた使える様になる。
最初はただ体に力が漲るという印象しか無かったが、実はとても有用な魔法だったのだ。
今では顔を合わせる度に魔法力の補充をしている様にしている。魔法石のおかげで頻繁にあちこち飛び回れる様になったことで色々な所に公私共に飛び回っているようで、クリスの魔法石はいつも魔法力が少なくなっている。
『まだ料理もお酒も一杯ありますので、是非楽しんでくださいね』
『そうさせて頂くとしよう』
『ええ、今年最後のイベント、目一杯楽しむわ』
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次回の更新は5/9(月)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




