第三百三十八話 クリスマスパーティー 友人チーム編
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「よう、楽しんでる?」
「お、秋、お疲れー、楽しんでるよー!」
「お、お疲れ様! ターキー美味しいよー!」
「そりゃジュディのご要望だから礼ならジュディに言ってくれや」
陽気に秋彦の声に応える笑屋と奏。
ジュディに言われて席を立った秋彦が最初に声をかけたのは、すでにわちゃわちゃと楽しんでいたモンスターキラーズの面々のところだ。
知り合い、顔見知りという意味では地方都市奪還作戦より前の入学式の頃からの付き合いだ。レインボーウィザーズにとっては一番親しくしているチームであり、チームは別でも身内と言っても過言ではない。
「今日はこんな素敵なパーティーに呼んでいただき有難うございます、お料理も美味しいです!」
「この家じゃ立食パーティーとは行かないけど、和室の座布団の上で祝うクリスマスってのも良いもんだろ?」
「そう聞くと正直いかにも日本らしいよね。僕、初めてクリスマスなんて祝ったかも知れない。うちはその分正月を派手に祝ってるし」
「そうなんだー、僕ん家は両方ともしっかりやるけど、友達と過ごすクリスマスって小学校以来かもー」
「おう、言葉も真崎も石崎も、揃いも揃って相変わらずっぽいな」
陽気でお調子者の笑屋、元気娘の奏、料理の前以外ではお淑やかな言葉、時々荒ぶるが基本物静かな真崎、のんびり屋の石崎の五人で構成されているこのチーム。メンバーは変わらずマイペースにやってるようだ。
「今年は色々あったけど、最近落ち着いてきた感あるよね」
「ホントホント、血眼になって魔物と戦ってたのが嘘みたいだよ」
「色々で済ませられる事でもありませんが……そうですね、今は峠を越えた感あります」
しみじみと料理を前に今年の新学期を思い返す。
彼らは元はと言えば家族や仲間、身内を魔物に食い殺された人達が、魔物を打倒し魔物に復讐するとして出来たチームだ。ただ何となくでダンジョンに入って、半ば面白半分に強くなっていった秋彦と優太とは探索者としての気迫が違かった。
「とりあえず大宮公園のダンジョン、一階層目のボスは僕ら倒せたんだ。取り敢えず事前情報を元に対策さえ立てればうまいこと行けたよ」
「お、これで中級ダンジョン挑戦者としてまた一つ箔が付くな」
「まだまだ立ち止まれないよー。不甲斐ない戦いしてちゃ、いざって時に大事な人を守れないものー」
「そっか、そうだよな」
今は地方都市奪還作戦が終わり、日本の領土が人間の手に帰ってきた事で、魔物はダンジョンに潜らないと遭遇しないが、今は今としていつまた魔物が世に現れ溢れても、仲間や友人を守れる様にと日々研鑽と探索者としての初心たるダンジョン探索を行い続けているらしい。
「失ったものは帰って来ないけど、それで後ろばっかり見てたら、失ったものに説教食らっちまうかんね」
「ああ、ジジイが夢枕に立って竹刀でボコボコにしてくるって思ったら、いくら平和になったとはいえしっかりしなきゃと思うさ」
苦笑いしながら真崎が持っていたコップの中身を一気に飲み干す。コップの中身がウイスキーでも違和感の無いセリフと仕草だったが、残念ながらコップの中身はオレンジジュースである。少々締まらない。
その後もう少し話をした後で、秋彦は席を立ち、次の席へ向かう。
「どうもお疲れ様です、皆さん楽しんでいますか?」
「あ、お疲れ様です南雲さん、本日はこの場にお呼び頂きありがとうございます!」
一言声をかけたらビューティフルドリーマーのサブリーダーである金雀枝麗奈がすかさず挨拶。そして残りの四人も続くようにお疲れ様です! と、ハキハキと返してきた。
この辺り流石は芸能界の業界人である。とは言えまるでお仕事で挨拶されている様でちょっとよろしくない。
「あ、あの、そんな肩肘張らなくて結構ですんで」
「でも南雲さんだって肩肘張ってますよ?」
「あ、確かに」
そう指摘を受けてはっと気付く。確かに先に敬語で話しかけたのは秋彦だ。合わせられただけか。
「あ、あーはい。そらごもっとも。よし、ここからは敬語やめにしよっか」
「そうそう、折角私達は身内としてこの場にいるんだから!」
口調を崩すとにこやかに応えるメンバーの一人。思えばビューティフルドリーマーの面々とは桃子とばかり話をしていて他のメンバーとはあまり話をしていなかった。
「えっと、とりあえず来てくれてホントありがとな。正直忙しい時期だろ?」
「いいえいいえ、むしろ南雲っちにクリスマスのホームパーティーに呼ばれて行かないなんてナイナイ、むしろ呼んでくれてありがとねって感じだよ」
「お、おお、そっか」
人懐っこそうな笑みを浮かべながらフライドポテトを摘むビューティフルドリーマーのムードメーカーである白銀 マコ。その勢いのままに盛大にため息をつくと、ワインボトルをつかんで注ぎ始める。彼女は公式設定でも実年齢でも二十を超えているらしく、飲酒は問題ないとの事。
「今年は仕事が忙しすぎるからいい休憩だってば! 寝る時間もあの枕込みじゃないと成り立たないっておかしいよ!」
「マネージャーさん半泣きだったけどね。どうやって今日の休み捻り出したんだろ」
「うわヤベェ後で謝っとこう……」
白銀の愚痴に被せる様にポツリと呟く仙道 百合根。テレビで見る彼女は、アイドルらしく明るい面が多いが、どうやらオンオフ使い分ける性分らしい。
まあアイドルにもプライベートくらいあるだろう。触れないでおこう。
「まあでもここでこのパーティーに参加できたって話は、今後どこに行ってもすべらない話になるからね」
「ああ、なるほど。そりゃ泣こうが喚こうが止めはしないわな」
くりっとした目が特徴的な、平塚まりんが明彦に芽生えた罪悪感をフォローする。確かにこんな体験、突発的に始めなければやらなかっただろうし、自分にとってさえ貴重な体験だ。話の種にはなるだろう。
「まあでもまりんはそれを抜きにしても来たかったでしょう?」
「ちょっと麗奈やめてよ」
意地の悪そうな笑みを浮かべてサブリーダーの金雀枝が平塚の肩に手を置く。
「え、どういう事?」
「どうもこの集まりに会いたかった人がいるみたいなのよね」
「本当にやめてお願いだから……」
「んん? 話があるなら呼ぶけど?」
「だ、大丈夫だから……ちょ、ちょっとトイレに……」
やっとの様子でそれだけいうと、フラフラと立ち上がってトイレの方向へ向かう。顔が大分赤くなってたし、声もやっと出したと言った感じだったこともあわせると酒を飲み過ぎて呂律が回らなくなりかけていたのだろうか?
「あら、意地悪し過ぎちゃったかしら?」
「あんまり飲ませ過ぎない様にしてくださいよ……」
「そうね、意地悪だったかもね、でも弄り甲斐があるわぁ」
すごくいい顔をしている金雀枝。意地悪っていう見た目では無いのだが、意外な一面を見た気がする。
「さて、そろそろ行きますね」
「あら、もう行っちゃうの? もう少しお話ししない?」
「ある意味本日のメインゲストを待たせてるんで……」
「あら……そう、わかったわ、頑張ってね」
「うい……」
げんなりした顔で立ち上がる秋彦に何か思ったらしくそれ以上は引き止められなかった。重い足取りで向かうのは……両親達が集まる席である。
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次回の更新は5/2(月)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




