第三百三十五話 二学期終業式
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「や、やっと話終わったわね……」
「本当な、今日は頑張ったわ、マジで」
その後、聴衆達にせがまれた話を終え、やっとの思いで帰路に着く秋彦達。もうこれ以上ないと言うくらい疲れたはずなのにまさか更に疲れる事になるとは思わなかった。
ため息の一つも出ると言うものである。
「今日は流石に私も疲れたわ……」
「親友どころか、場慣れしてるはずの茜さえ、もう歩くのもヤダっつってテレポテーションで二人とも帰っちまったくらいだしな。マジお疲れ」
今日の疲労は流石に応えたらしく、優太と茜はさっさとテレポテーションの魔法石で帰っていった。秋彦とジュディはクタクタではあったがコンビニに来ていた。ヘトヘトではあったが間食が欲しくなったのである。
少々高いが、スーパーが閉まっていた時間だったので仕方がない。
「さて、まずは……あったあった。まずはこれがないとな」
秋彦がニヤリと笑って菓子を手に取る。手にしたのはグミだ。コーラのボトルの形をしたコーラ味の物である。
「秋は本当にグミ好きね」
「ポテチも好きだけどな。どっちか選べって言われたらこっちだな」
「そうなのね、私はやっぱりこれ!」
ジュディが手に取ったのはチョコレート菓子だ。最近のお気に入りであるコアラがプリントされている奴である。
「イギリスでもチョコ菓子はいっぱいあったけど、日本のお菓子って美味しいのよね。イギリスの友達にもよく買って送ったりしているのよ」
「あー、外国のチョコ菓子ってスッゲェ甘くて砂糖なしの飲み物がないと結構きついもんな」
「後今なら気にはしないけど、カロリーも高いのよね〜」
「あー、だろうなあのボリュームじゃ。父さんと母さんが買ってきたアメリカ土産のチョコ、誰も手をつけないままリビングに飾られてるし」
笑い合いながら嬉しそうに買い物籠の中に入れていく。
買い物を終え、帰路に着く。流石に家の近くのコンビニだけあって流石にテレポテーションを使う気にはなれなかった。
「そう言えばそろそろクリスマスとクリスマスパーティーね」
「ああ、買う物も買ってるし、終業式も終わって二日後にパーティーだからな。パーティー終わったらいよいよ解体から始めてもらう事になるし。あの家の最後のどんちゃん騒ぎだ」
「そうは言っても私達自体はあの家にはあまり思い出ないけどね」
「でも買い取ったじいちゃん達にとってはな。思い出深い家だろうし」
「それはまぁ、そうなんだけどね。でも、なら尚更成功させないとね!」
「そうだな、うん。そうだよな」
ふぅ、とため息が出る。
あの老夫婦から管理が困難になったと言う理由で買い取った家ではあったが、いつの間にか秋彦達にとっても大事な場所になっていた家をパワーアップのためとはいえ取り壊すことに少しセンチメンタルになってしまった。
「そう言えばジュディの所の終業式はどうなってんだ?」
「秋のところと変わらないわ。12月22日に終業式よ」
「そっか。パーティーにはお義父さん達来れるって?」
「身内のクリスマスパーティー以上に優先される様なものなんてこっちには無いわよ。第一、クリスマスにまでやっている様な会社無いわ。せいぜい街の雑貨屋さんとかレストランとかくらいなものよ」
「おー、いいねそれ。日本の会社の社長さんにも是非見習ってもらいたいもんだ」
休みの日にきっちり休ませてくれる外国の就労事情に対して秋彦は純粋に感想を述べたが、少し冗談の様な返しをしてしまった事で、ジュディはちょっとむくれてしまう。
「日本じゃ違うんでしょうけど……ほら、映画でもあったでしょ、クリスマス旅行の時に子供を家に置いてきちゃって全力で家に帰ろうとするお話。あれ、そもそも家に子供を忘れる事自体あり得ないけど、もし同じ事になったらこっちの人だったら全力で家に帰ろうとするはずよ」
「ああ、あの。あれガキの頃は泥棒を撃退するパートばっかり面白くてみてたけど、やっぱりそういうモンなんだ」
「クリスマスって他のどの行事よりも大事な物よ、それにね……」
「お、家着いた家着いた。ただいまー」
「あ、ちょっと! ……んもう、ただいま戻りましたわ」
まだまだヒートアップしそうだったが、ちょうどいいタイミングで家に到着したのでお開きとなった。
…………………………………
二日後、秋彦達は久しぶりに学校へ来ていた。と言ってもしばらくはまた学校に来なくなるのだが。
今日は二学期の終業式。これが終われば冬休みである。
クリスマス直前に始まり、年末年始を終えるまでの間の大型の休暇。短く、行事が多いこともあって忙しくはあるものの、日本人で、しかも学生とあっては浮き足立たない人の方が少数派だろう。
校長先生からは、今年は探索者と言う存在の台頭と、この学校から秋彦と優太という探索者の頂点級の存在が輩出された事に対するお褒めの言葉。その上で冬休みの過ごし方、特に探索者としての活動に対する注意事項などの話が行われた。
校長先生からの話が終わって戻ってきた後の教室も、教室でしか会わないクラスメイトと今年最後に話しておこうと言わんばかりにいつも以上に騒がしくなっている。
特に秋彦と裕太の周りはいつも以上に人が集まっていた。有名人にして、現代における英雄扱いを受ける秋彦と優太にとっては気を使わずに人と喋ることのできるありがたい時間でもある。
「ほら席つけ席、HR始めるぞー」
いつも通りの掛け声と共に、担任の岩田先生がHRを始める。
「まずは冬休みの宿題からだ。例年以上に量は多くしてあるが、何、探索者であるお前らなら容易い量だろう」
明らかに冬休み期間の宿題の量には見えない紙束の量に教室からブーイングが巻き起こる。いつも通りエミーが真っ先に先生に文句をつける。
「ちょっとなんすか先生! 夏休みの宿題並みの量じゃ無いっすか! 横暴だー!」
「あー、もう喧しいぞ笑屋! ごちゃごちゃ言わんでちゃんとこなせ!」
「だっていくら探索者っつったってこんだけ書いてたらそれだけで日が暮れちまいますよ!」
「だー! 煩い! 言っておくが、忘れただの知らんだの無くしただのはやめておけよ。この学校の偏差値アップや、探索者達に対して課す勉強量の上昇等がないと、学校だけじゃなく世間様が納得しないからな」
「う……それはずるいっすよ先生」
「以前と比べて余裕が出た分、子供に命懸けの戦闘を行わせる様なバイトじみたことはもうやめさせろと言う声も大きいんだ。この学校は南雲と石動がいるからまだ大人しめではあるが、学力アップなどにも寄与している一面などのアピールは必須なんだ。こう見えて俺たち教師陣はお前らのために随分骨を折ってるんだぞ」
つまらなさそうにため息をつく岩田先生。流石に迷惑をかけている自覚はあるらしく、エミーも大人しく引き下がる。
「とまあ、そんな訳だ。色々言いたいこともあるが、結局はこの一言に集約できる」
黒板にチョークで大きく文字を書き出す。書かれた文字は……
「学生探索者の模範たれ! だ。さっきも言ったが、この学校はあのグレイトアンデッドドラゴン討伐に対し多大な貢献をした南雲と石動の二名がいる事で多少はマシだが、学生の探索者と言うのはまだ早すぎるのではないかという声も上がっており、なかなかに厳しい状態だ。その中で更に自分達の立場を危ぶめる行為はくれぐれも慎み、他の探索者達の模範として誰が見ても恥ずかしく無い探索者活動を行うように」
教室の生徒全員から大きな返事が返ってくる。面白くなさそうにしているのは試験をすっぽかした1チームだけだ。クルーエルミソロジーの三人は結局あの後コッテリと絞られて、当然補習期間は全出席を強要されて、結局他のチームよりも後手に回ってしまったらしい。流石に補習をすっぽかす様な真似をしたら探索者としての免許の在り方についてギルドに問題提起すると言われたら大人しく従う他なかったらしい。
「では俺からは以上だ。では、清く正しい探索者活動をする様にな、号令」
「起立、気を付け、礼!」
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次回の更新は4/21(木)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




