第三百三十一話 ダンジョンアイテム検分 ペネトレイトフィルム
累計PV数680万突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「はい、これで、おしまい!」
「これで最後ね、OK。しかしたんまりあったなおい……」
「集計どうなってます?」
「はい、締めて7,012,134カネーとなりますね」
先にカネーの集計をしていたがこれが結構な大仕事となってしまった。
もう面倒だから先に全ての宝箱のカネーだけを集計するとしたのはいいが、まさか全ての宝箱合わせて七百万を超えるとは思っていなかった。
「お疲れ様でした。個人的にはこれほど大量のカネーを見たのは初めてですので、疲れましたがいい経験となりました」
「うむ、お疲れ様だな。これは二人には臨時のボーナスをつけてやらなきゃいかんな」
「でしたら頑張った甲斐があったと言う物ですね。ふぅ……」
流石に疲れたらしく、はしゃぐ様子がない。まあ中には一カネーや十カネーの物もあったが大体は百カネー単位で集計していたのだ。ざっと七万枚程度を集計していた事になる。
いくら探索者の卓越した処理能力があったと言っても、仕方のない事だろう。
「皆さんがカネーに集中している間にこちらも終わりましたよ」
一息ついたタイミングで道具検分役の人も声を掛けてくる。
机の上を見ると四分の一程度の鑑定済みの素材と、四分の三程の未鑑定素材が並んでいた。
「随分未鑑定の物があったんですね」
「ええ、まだまだ機械素材の量も質も未知であるとはいえ、これほどの量が一気に出てくるのはある意味僥倖とも言えますが。では鑑定をお願い致します
「分かりました。っと!」
とりあえず全ての未鑑定素材にアナライズとペネトレイトの魔法の鑑定セットを掛けて識別していく。数が数だけあって少しくたびれるが、地方都市奪還作戦の一幕を思えば笑い話である。
「お疲れ様でした。では次行ってみましょうか」
「はい、じゃ、ジュディ頼む」
「じゃあこれね。随分いい趣味してるわね」
そう言うジュディが取り出した物、よくわからない白いケースに入った黒い筒状の物体だ。ケースを開けて中を見てみると、どうやら何か細長い紙のようなペラペラの黒い物を巻物の様に巻いている物の様だ。ケースに収められているそれはかなり大量にある。
「え、何これ?」
「フィルムみたいだけど」
「フィルム……って何?」
「ぐっはぁ!」
フィルムと聞いてもよくわからない秋彦と優太の様子に胸を押さえて蹲るギルドマスター。
「ど、どうしました?!」
「い、今の子はこれが分かんないのか……」
「仕方ありませんよ。今時フィルムを使うカメラなんて趣味の領域です。まして今の主流はスマホなどのデジタルですから」
どうやら踏んではいけないところに足を踏み入れたらしい。淡々と宥める副ギルドマスターも少々寂しそうだ。
「ポラロイドカメラにもフィルムはあるけどこんな形状じゃないしねぇ」
「……完全に一眼レフとかの見た目」
「ところで二人は何で知ってるの?」
「お父様が若い時の趣味としてこう言うフィルムを使うカメラが今でもうちにあるわ」
「……うちも同じ感じ」
どうやら上流階級の道楽らしい。道理であまり馴染みがない訳だ。
「で、鑑定してよ」
「おっとそうだった、っと!」
気を取り直して鑑定してみると、次のように出た。
【<ペネトレイトフィルム>】
<<アナライズカメラに装着すると、アナライズカメラで撮影した写真にペネトレイトの効果が付与されるフィルム。一つにつき100枚まで適応可能>>
「ほー、話には聞いたことあったけど、実際こんな形してるんだペネトレイトフィルムって」
「よかったね秋彦。ペネトレイの魔法石作りに追われずに済むじゃない」
「だなぁ、俺らは俺がいるから要らないし、全部売り渡すって事でいいよな?」
「ええ、構わないわ」
「……生きたペネトレイトフィルム付きのアナライズカメラがいるからいいと思う」
「お前俺には鑑定以外の価値がないと申すか」
「……冗談冗談」
澄まし顔で嫌な事を言う茜、だんだん秋彦に遠慮がなくなって来ている気がする。ともあれレインボーウィザーズ満場一致で全て売却する事になった。
「助かる、本当に助かる! 今これを待ち望んでいる人がどれほど居るか!」
「良かったですね、これで各地からペネトレイトの魔法石の仕入れをせっつかれずに済みます」
どうやらやはり必要とする人は多く、今の所数少ない無属性魔法使いのなかでも高レベルの魔法使いである秋彦が所属するギルドに対して欲しがるものは後を絶たないらしい。
これで少しでも緩和するといいのだが。
「次行くわよ、次はこれらね」
次にジュディが取り出したのは武器や防具の類だ。やはりこう言う物は中級ダンジョンでも出てくるらしい。
「この辺りも後でチームでしっかり吟味したいから一旦こちらで預かりましょう」
「そうだな、それでいいと思う」
「僕や茜ちゃんは防具に対して制限ないし、色々見てみたい物はあるからね」
「……武器はほぼ固定になってるけど防具はそうじゃないから吟味出来る所。手は抜けない」
「そうか、わかった。だがパッと見ただけでも良さそうな物が揃ってるな……」
残念そうなギルドマスターが物欲しそうな顔で装備類を眺める。
確かに中級ダンジョンから出て来た装備だけあってどれもぱっと見で戦闘力五千程度はありそうな物ばかりだ。
秋彦達が常に最先端の物を使っていることがそもそもおかしいだけで、一つの武器や防具で戦闘力五千上げる装備はあるにはあるがやはり店で買うと高い。
一つの装備箇所で戦闘力を一万程度跳ね上げる様な装備は、御霊具でもなければ相当に金と貴重な素材を使用しているのだ。
尤も、その辺りはレインボーウィザーズは、普段から大分稼いでいる事もあって、ダンジョンに挑む装備に関しては大分金銭感覚が毒されており、高い装備や素材なんかも、割と躊躇なく購入してしまっているのだが。
「これで半分の迷宮収集物は終了ね。まだまだ迷宮収集物はあるわよ」
「一階層目だけでこれとはね、今回は長くなりそうだ……」
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次回の更新は4/7(木)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




