第三百二十九話 ダンジョンアイテム検分 ギルドの職員たち
累計PV数673万突破、イイネ数500件突破、評価者数920件突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
本日タイマーのセットを忘れてしまい、普段の違う時間の投稿となってしまいました。皆様誠に申し訳ございませんでした。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
探索者ギルド、埼玉南部支部。午後18時を回っており、営業としてはそろそろ夜の部に移り変わる頃合いである。
夜の部は、客層としてはだいぶダンジョンに長居してしまった人達が疲労困憊で転がり込んでくる事が多く、ついでに飯と酒を流し込むように食ってさっさと帰路に着くのが大半で、要するに人の出入りは少なめだ。
だが、今ここにレインボーウィザーズがやってきている事で、この時間のギルドとしては、普段とは違う様子になっている。
普段だったら探索収集物の売却や魔物の解体、食事が終わったらさっさと帰っていく人達が皆わざわざ追加で飲み物を注文してその場に留まり続けている。
先程中級ダンジョンに挑戦中だったはずのレインボーウィザーズがやって来て、普段カウンターで探索者の応対をやっている程探索者達との距離が近いギルドマスターと普段あまり使わないギルドマスターの部屋に引っ込んで行った。
どう考えてもレインボーウィザーズが中級ダンジョンのお宝をギルドの職員、ギルドマスターと一緒に検分しているとしか思えなかった。
何があって何を売り、何を手元に残したのか。今ギルドにいる探索者達はそれを夢想し早くも色めき立っていた。
そしてギルドマスターの部屋に引っ込んで行ったレインボーウィザーズとギルドマスターの久多良木、サブマスターの【副田 俊樹】、そして買取担当の職員【川宮 静恵】と道具に詳しいギルドの職員【坂崎 悠一】の計四名が合わさった計八名が集まっていた。割と広く作られているギルドマスターの部屋も、八人という人数と、これからさらに大量の道具に占拠されるであろう事を考えると少々心許無く感じる。
「さてっと、始めますかねぇじゃあ」
「悪いね、ここでわざわざダンジョン内のアイテム広げて貰っちゃって」
「しょうがないですよ、違法探索収集物じゃないんだから、俺らはダンジョンの最先端をいく探索者として情報を開示する義務がある」
申し訳なさそうにする久多良木に、一応大人の対応をしておく。中級ダンジョンに挑む探索者はまだ少数で、情報が不足していることから、中級ダンジョンに挑戦する人々が手にした道具を報告するのは半ば義務と化している。
正直特殊なダンジョンでも無い限り中級ダンジョンならどれでも出てくるものだからあまり隠す意味も無い。つまらない隠し事をしてギルドとの関係に亀裂が走ることの方が問題だ。
「じゃあ早速出してみてくれ」
「宝箱ごと持って来たんですけど」
「なら宝箱ごと出してくれ。ここは一応ダンジョン産の強力な建材で作られているから宝箱の5個や10個では陥没したりしないぞ」
「そ、そうなんですか……」
自慢げに話す久多良木に一応相槌を打っておくが、信じられ無さそうに周りを見渡す秋彦。
「伊達に魔法による建材の連結強化が為されている訳じゃ無いようでして、適切な位置に適切な建材を配置し、魔法文字を刻んで更に補強、強化をすると通常の建造物よりもはるかに頑丈になるらしいですよ! これ、建築関係のレシピ本にもそのような記述があるらしいです! 理論上は日本が所有する戦車の戦車砲を並べて一斉に撃っても傷ひとつつかないらしいですよ!」
「そんなに?!」
興奮し気味に道具の効果に詳しい職員である坂崎が説明する。
どうやらこの建物も元あった建物をギルドができるタイミングで魔法力のある建材で再建したものらしく、見た目以上に堅牢な作りになっているようだ。
「坂崎君、自重してくれたまえ。申し訳無い。彼、探索収集物の魔導具の研究や効果の検証をしている職員なのですが、どうも熱が入りやすくてね」
「いいえ、仕事熱心なのはいい事だと思いますわ」
「では、その仕事を遂行致しますので、宝箱を出して頂けないでしょうか? 個人的にも何が出てくるのか、先程から気が急いてしまって仕方がないのです」
「川宮くん、言い方を考えなさい」
「おっとっと、そうでしたすぐ出しますね」
ザマス眼鏡が特徴のギルドの買取担当である川宮が急に話に割り込んできた。脱線し気味になっていて、少し苛立ったのかもしれない。とは言えギルドのサブマスターとしてはレインボーウィザーズに突っかかるような様子が中々気が気でないだろうが。
改めてアイテムを回収した宝箱ごと取り出していく。
宝箱自体は相当重いが、久夛良木や坂崎の言う通り床が陥没する事なく合計8個程度の宝箱を並び終えた。
「そういえば前回一階層の宝箱とかも中身見てなかったですし、ここでまとめてみちゃいますね」
「うおおお!! 楽しみです!」
「坂崎君!」
「まあまあいいじゃないか、こういう時にあまり目くじらを立てなくても。ほら、こういう気分を盛り上げてくれるリアクションをとってくれる人は大事だよ。このギルド支部はアットホームがウリだしね」
「ギルドマスターのあなたがそんな事だから……ああもういいです、これ以上は長くなってしまいます。早く終わらせますよ」
「な、なんか大変そうですね……」
「あそこら辺は放っておいて結構です。それよりどの宝箱を開けましょう? なんだか色が3種類に分かれていますが」
「あれ? 本当だ」
坂崎達のやりとりを他所に早く進めたい川宮からの指摘で気づいたが、ここで改めて取り出してみると、宝箱はそれぞれ紫、黄土色、赤の三色に分かれていた。
「……それぞれ紫は一階層、黄土色は二階層、赤は三階層で取得した物」
「え、そうなの?」
「……数的にはそう。後それぞれの階層の壁っぽい色をしている」
言われてみれば確かにそうだ。確かにそれぞれその階層にあって違和感のない色に見える。
「そういう所にも微妙に違いってあったんだな」
「で、では開けてみましょう!」
「はいはい、じゃ、開けますよ」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
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次回の更新は3/31(木)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




