第三百二十八話 第三階層からの帰還
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「ぶはぁ! 熱かった! 皆、お疲れ様!」
「お疲れ様、自販機行くわね! もう喉からっから!」
「……お疲れ様……」
「うわぁ! 茜ちゃんが枝みたいになってる!」
三階層目の魔物を見事倒した秋彦達は、剥ぎ取りもそこそこに帰還石を使って大急ぎで脱出した。
消耗したと言うのもあるが体がいい加減干からび掛かっていたのだ。あの熱量の場であんなに激しく動いていればある意味当然ではある。特に炎属性と相性の悪い茜はこの短時間でダウン寸前である。いくらその前にボス戦をこなして体力をそれなりに消耗していたとはいえ、この体力の削れ様は異常だ、
ジュディが自販機で購入した500ミリペットボトル入りの何でも無いスポーツドリンクが乾いた身体に染み渡ると言う物である。
「いや、しかし思い知ったな。フロア効果って結構ダイレクトに影響してくるんだな」
「耐性があれば別になんてことのない徐々に石化なんてぜんっぜん甘い部類だったわね……」
頷く秋彦達の身体からは、まだ熱が引かず全身から汗が湯気の様に出ては乾燥した外の空気に消えていっている。
今回は手持ちの水分がやや乏しく、一応飲めるとはいえ本来飲む事を想定していない聖なる水差しの聖水にまで手をつける事になってしまっていた。
次に三階層目に行くときは飲料水を大量に用意しなければいけない、あの灼熱層は、炎に強い適性を持っていないといるだけでこちらの体力を奪う、仮にあの三階層目が今までとは比較にならないほどに広かった時には。最悪一戦もしていなくとも撤退し、少しづつ奥への正解の道を探る地道かつ長期的な探索を余儀なくされるだろう。
それと身体や頭を冷やす物もあった方がいいだろう。あそこまで温度が高いと、敵の攻撃によって打った箇所が熱を持っても気付きにくいし、何より熱が頭に回って熱中症になる事もあるかもしれない。
とにかく今後第三階層に入るときは大量の水分とミネラル分、患部を冷やす熱冷ましなどの普段の探索ではあまり使わないような道具が役に立ちそうだ。
「じゃあ、最後に今日はギルド行ったら終わりだな。宝箱の中身の検分とかもしなきゃならんし」
「そうだね、売るのかダンジョンで使うのかとかもそうだし、取り分とかについても考えないといけないもんね」
思わず秋彦がため息をつく。
身体をこれでもかというほどに使っておいて、最後の最後に頭脳労働というのは割と億劫だ。こればかりは探索者として身体能力がいくら上がろうと頭の回転や思考能力が向上しようと変わらないらしい。
「……初級や入門の時と比べて多く物が手に入る分面倒だけど、ギルド職員にやらせる訳には行かない。居ないとは思うけど、万一重要そうな物をくすねられても困る」
「そらごもっともな話だわな、中級で需要が大きいけど俺らはいらん【ペネトレイトフィルム】みたいなのはむしろ優先して売るけど」
昨今の探索者にとって「探索で使う重要なものは必ずそのダンジョンにある」はもはや常識だ。中でもアナライズカメラに元からあった謎の空き部分にピタッと嵌められるペネトレイトフィルムは、アナライズカメラで写した物にペネトレイトの隠蔽された情報を看破する能力がつくらしく、中級ダンジョンに潜る人々には必須の道具となっているようだ。
当然自分達が使う物なだけあって市場にはなかなか出回らないし、出回ると高額で売りに出されているのにあっという間に完売するのである。
その必需性は凄まじく、秋彦達もまだ実物は見たことが無い。
そんな三人の反応に不服そうなのが、唯一待ってましたと言わんばかりに綻んだ顔のジュディだ。
「個人的にはこの瞬間こそ探索者の悦びとも言えるのに〜」
「それはそうなんだけどさ、やっぱり疲れている時にやる作業じゃねーと思うんだよな……」
「そう言って放置して埃被しちゃうじゃない。折角今一番熱い品々があるのに勿体無いわ、熱が冷める前と後では売値は天と地ほどに差が出るんだからね!」
「おう、わかった。わかったって」
ビジネス目的でダンジョンに潜るジュディは商機においては非常にタフだ。一刻も早く戦利品を確認し、チームのお金、あるいはそれぞれの個人のお金として分配したいらしい。
「じゃあちょっと行くか……流石に電車って気分でもないし飛ぶぞ」
「わかったわ、お願いね」
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