第三百二十四話 灼熱層
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中級ダンジョンもいよいよ第三階層目である。
今の所は階層の傾向としては状態異常に傾注している。眠り、石化と来て次は何がくるのか、と言ったところである。
「軽く様子見とは言えこう、軽快にダンジョンの階層を降りていくのはちょっと緊張するもんがあるな」
「そう言えばなんだかんだ一階層攻略したら大体帰ってたしね」
次の階層に向かうために階段を降りるレインボーウィザーズ一行。降りながらの軽い雑談にもどことなく緊張感が見える。
「次はもうフロア効果は最初からあることを前提にした方がいいでしょうしね」
「……フロア効果次第では即撤退も視野に入る」
「それは確かにな。いやー、まさかあんな形で状態異常付与して来るとはな」
「むしろ状態異常にしても徐々に石化で一瞬で完全に石化まで行かなかった辺り、フロア効果についての説明だったまであるかもしれないしね」
「それはちょっとスパルタすぎねーか……?」
頭を掻きながらぼやく秋彦。正直中級に入ってから急に製作者側の殺意が明確に見えてきている気がする。
だがそれでもまだ中級ということを考慮すると、ライゾン達から言わせればこれでもまだ手加減しているのかも知れないが。
そうこうしている間に階段に終わりが見えてきた。次の階層の部屋から光が見えている。
「おっと、次の階層が見えてきたな」
「何度やってもこう、新しい階層に行く時はどきどきするね……!」
「その一方でワクワクもするんだけどね。やっぱり未知の世界に行くようで何があるのかが楽しみよ」
「……ワクワクドキドキは良いけど浮足立たない様に」
「念を押すけど、今日は確認して一当てするだからな。無茶せず様子を見に行こうな」
秋彦の号令に小さく返す。
そうして秋彦達は次の階層に足を踏み入れた。と同時に身体に降り注ぐ熱に思わず跳び上がる。
「うわっちちち!!?」
「熱い!! 何これ物凄い熱波じゃない!!」
「も、も、も、燃えそう!」
訳もわからずいきなり浴びせられた熱波熱風に思わず肌が露出している部分を隠してしまう。普通にこの熱をまともに受けては肌が焼けてしまいかねない。
「うわぁ、これ凄いよ皆」
「し,親友平気なのか?!」
「うん、僕は大丈夫。むしろ力がぐんぐん出てくる気がする」
「そ、そうか、すげぇな……」
だがそんな中でも唯一相変わらずの表情で階層に入って歩く優太。元から炎属性魔法の扱いが得意で従魔も炎属性という事もあり、火とは親和性が高いが、こんなところにあっても涼しい顔とは恐れ入る。ここが魔法による炎で構成されているからなのだろうか。
「それよりみて。ここ、二階層目とは打って変わって明るいなと思ったけど、ここ、壁も地面も溶岩みたいに熱を持ってるよ」
「うお! 本当だ……」
言われて壁を見てみると、どこもかしこも熱された鉄や溶岩の様に赤く所々白く発光しており、強力な熱を帯びていた。
探索者の服は空調機能がある上に魔力を帯びているので簡単には燃えないが空調機能でも遮断し切れないほどの熱が襲いかかってきていたらしい。
「階段から光射してたくらいだから明るい階層だとは思ってたが……もう部屋に熱源があるんじゃなくて部屋全体が熱源みてーなもんだなこりゃ」
「みたいなもんじゃ無くて実際そうなんだと思うよ。これもフロア効果なのかな?」
「おっと、そうだった見てみるか」
言われて秋彦も床にアナライズとペネトレイトをかける。
<【大宮公園白鳥池のダンジョン第三階層(灼熱層)】>
<フロア効果:溶岩地帯(耐性の無い者に状態異常の炎上を付与、状態異常の火傷無効状態を無効化。苦手属性が炎属性の場合に継続ダメージ。得意属性が炎属性の場合戦闘力1.5倍)>
まさに炎属性のための階層と言わんばかりのフロア効果が付与されていた。このフロアではただでさえ魔法使いとしては上位の実力を持つ優太がここでは1.5倍強くなるらしい。先程からこの場を心地よく感じていたのはそのためだったようだ。
「……私は苦手属性が炎だからここにいる事自体が辛い……」
苦悶の表情で辛そうに茜が声を上げる。得意属性も苦手属性もない秋彦や、後になって炎魔法を習得したジュディでさえ厳しい熱だというのに、茜は得意属性が水であり、苦手属性が炎だ。今の様子では階層を抜ける前に茜に物理的な意味で火がついてしまいかねない。
「はいはい、じゃあこれね」
様子に気付いた優太が杖を振り上げる。すると普段のろくに表情を変えない茜が珍しく浮かべていた苦悶の表情が消えた。
「……? 急に平気になった」
「ファイヤーエンチャントを掛けたよ。これでまだちょっと熱いかもしれないけど、普段通りには動けると思うよ」
どうやらファイヤーエンチャントには炎属性の苦手を打ち消す効果もあるらしい。別に涼しくなるわけではないので今の秋彦が感じているくらいの熱さは感じているだろうが、それでも先ほどまでと比べればだいぶマシと言えるだろう。
「そう言えばジュディ鎧大丈夫か? 火傷とか」
「これでも後天的にだけど炎属性習得しているし、この鎧にも空調能力はあるから大丈夫。ある意味そのおかげでこの熱の中鎧着こんでいられるとも言えるけど」
「分かった。無理はすんなよ。とりあえず先に進んでも大丈夫そうだと判断するが、行けそうか? 特に茜」
「……ファイヤーエンチャントのおかげで大丈夫。行ける」
「上等! じゃあ改めて、行くぞ皆!」
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