第三百十九話 第二階層目ボス 中編 1
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第二階層ボスの部屋の扉を開けると、中に広がっていたのは……何も無い空間だ。岩を掘って開けた大きな横穴。そういう印象しか抱けない空間だ。この階層同様えらく殺風景ではある。
そうは言っても今までボスの部屋は割と装飾がしてある事が多かったが、別に装飾がないボスの部屋だってあったので別にそこまで気にするほどのことではないのかもしれないし、そもそも第一階層がゴテゴテと装飾過多すぎただけかもしれないが。
「ふむふむ……まあ階層の雰囲気とはあってるかな……?!」
秋彦が部屋の中に最初に入る。
すると秋彦の背筋をゾワりとなぞるかの様な奇妙で気持ち悪い雰囲気を感じた。それは何か粘液の様なものがべっとりと張り付くかの様な気分の悪さを秋彦に与え続ける。
だが、危険感知的には今の所特に害がある様には感じられなかった。ただ気持ち悪い。それだけの様にも思える。
「ど、どうしたの?」
「い、いや……なんかえらく気分が悪くなるような感じがして……」
「え? ど、どういう……きゃ?!」
「うわわ!?」
「ひぃ!!」
後から入室してきたジュディも優太も茜も全員似た様な声を上げたことから全員何か変な物を感じたらしい。
「な? 変っていうか気分悪くなる様な感じだろ?」
「うん……なんか背筋がゾクゾクする……」
「……気分が悪い」
「い、一体これは……」
などと話をしていたらいつの間にか扉が閉じられてしまい、階層のボス部屋に閉じ込められてしまった。
そして、地震の様に部屋が揺れる。
「おおっと、ボスのお出ましだ。戦闘準備だな」
全員が頷きそれぞれ武器を構える。自分達にまとわりつく妙な感じも気になるが、まずは目の前の敵に専念しなければならない。
そうして待ち構えていると、部屋の奥。岩壁の一角が爆発し、土煙が舞い起きた。そしてその土煙に浮かぶ巨大な人形の影。あれがこの階層のボスという事だろう。
土煙を巨大な手の影が払う。そうして見えた手は、岩だった。岩の様なという比喩でもなんでもなく、手の形をした岩が土煙を払ったのだ。
そうして見えた全身像。岩だったのは何も腕だけではなかった様だ。
シルエットこそ人の形だったが、実際は全然違った。
巨大な図体の上に乗っている頭は目だけが煌々と光っているが、鼻はなく、口があるべき場所には小さな穴が空いているだけだ。人間と言うよりは人間をデフォルメしたかの様に見える。
次に目につくのは人間の腕にしては肥大化しすぎな程に、それこそ小山の様に大きい腕と胸だ。人間だった時に想像できる筋肉量を考えるとあの腕からの攻撃はかなり強力である事が窺える。
反面、それらを支え動くには随分と細く頼りなさそうに見える脚部。明らかにアンバランスである。これでちゃんと動けるのだろうか。
総評するとこの魔物は見た目から察するにゴーレムだ。腕による攻撃を重視したなかなか思い切ったデザインではあるが。
「うわ、出たよゴーレムだ」
「ゴーレムの核は土魔法の専門家には高値で売れるから、できる事ならうまく回収したいわね」
「……ゴーレムは従魔ではなく魔法で作った武器の様な感じだからあまり興味はない」
「なんだっていいさ、いつものようにっと……どれどれ?」
秋彦がアナライズとペネトレイトを使用すると、次の様に出た。
名前:<ハイ・トパーズ・ゴーレム>
戦闘力:<50,000>
有利属性<:土>
不利属性:<風>
使用可能魔法属性:<土Lv25>
スキル
<装備品破壊:御霊具以外の装備品の耐久力を下げ、破壊する。>
<道具破壊: マジックバッグ又は手持ちの道具を攻撃し、破壊する。>
<大暴れ:装備破壊の範囲攻撃>
<超大暴れ:装備破壊、道具破壊の範囲攻撃>
<岩砕き:状態異常【石化】状態の相手を耐性を無視して即死させる。>
出てきた相手の能力を見て秋彦達は首を傾げる。
「うん……うん?」
「なんか……普通ね」
「……戦闘力は高いけど、装備の破壊とかに特化している感じ」
「そうだね、なんというかボスっぽい感じしないね」
優太の言葉に同意する様に頷く。
確かに岩砕きという石化状態の相手を問答無用で即死させる技は恐ろしいものがあるが、逆に言えばそれだけだ。
そもそも今の秋彦達は、秋彦が作成したアクセサリーによって状態異常から守られているので、岩砕きは事実上意味がない。
これがもしこのゴーレム自体が相手を石化させる技がある、あるいは手下に状態異常、石化を付与できるコカトリスなどがいればもっと脅威だったのかもしれない。だがボス部屋を見回してみてもこの部屋にいるのはボス一体だけだ。
この部屋に入ると言う時にまさか石化した仲間がいる状態で来る訳も無かろうというのに、これでは折角の岩砕きもほぼ意味の無い技と化してしまっている。
「……変なの」
「でもさ、今後は状態異常付与してきた上でこういう即死を放ってくる魔物が出るってことだよね?」
「なるほど、それはそうね。やはり今更状態異常の耐性くらいきちんと付けてこいと言う話なのかしら?」
「どうなんだろうな? だがまあ、これならサクッといけそうかな。じゃあサクッと行ってみようか!」
「「「おー!」」」
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