第三百十二話 襲撃報告 ライゾン
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「ほほう、事の顛末はそう収まったのかね」
「まあ一応な……大分甘めだけど、直接的な被害が出る前に抑えられたこともあってな。個人的には凄く納得いかないけど」
「まあそれは私もだね。でもこの国にも司法というものがある以上はそこに触れるほどの事はできないし、何よりあまり過度に騒いでいると報復行動が激しくなる可能性もあるからね」
飾り付けを無事に終えた翌日。テストの返却を終え、無事に赤点全回避による一足早い冬休みとなった秋彦達学生チーム。
今日からでも探索者活動を再開できたのだが、秋彦は一つ報告を行うべく午前中は別行動を取っていた。
向かった先はノアズ・アークカンパニーの社長室。秋彦とライゾンがそこでソファに座って話をしていた。
話題はもちろんついこの間の辻斬襲撃の件である。ただでさえ割と骨を折ってもらっていることが多いので、一応報告くらいすべきだろうと思ったのである。
「やれやれ、敵う訳も無いだろうに、どうして身の程を弁えずにいるのかな」
「いけそうだったから行ってみたくらいの軽いノリだったと思うけどね俺は。まあ、その程度の動機で狙われても迷惑なんだけどさ。いくら効率が良いからって非合法なものが出てきたりする様なところで修行するくらいなんだし」
「うむむ……言われてみるとあり得そうな気がしてくるなぁ」
「だけどあの襲撃のせいで俺の家族にも被害が及ぶ可能性が出てきた以上、少しは見てあげる必要も出てきちゃったし、このままじゃ安心して探索者活動を続けてられなくなっちまう訳なんだけど、なんとかできない?」
そう、この質問が秋彦がここにきた理由である。
家族に危害が及ぶ可能性の対策として、魔法の素材をふんだんに使用した家で要塞の様な家を建てるという話になったのに、その前に家族に被害が行っては本末転倒だ。とりあえずの急場を凌ぐ何かいい対策はないかという相談をしにきたのである。
「うむ、良い心がけだ。この辺りの話題は実はこちら側としてももしもを想定としても十分あり得る話で対策が必要だという話は上がってきていてね、いくつか試作の対策を用意してみたんだ、来たまえ。良いものを見せてあげよう」
ライゾンはそういうと社長室の扉を開けて手招きする。
疑問を抱きつつもとりあえずついていく。社員が作業している場を横切りエレベーターへ乗り、エレベーターを3階まで降りて行く。
カードキーでドアを開けて、そのまま扉の中へ。するとそこには多くの魔法力がこもった道具がたくさんおいてある場所にでた。
「うおすげ! なんだここ?」
「ここは妖精商店に置くための妖精系の魔法グッズさ。見たことある物も多いだろう?」
そう言われて秋彦が周りを見渡してみると、成る程妖精布の様な素材から【妖精の剣】の様な装備品など妖精商店に置いてあるカタログで見た覚えのあるものがずらりと並んでいる。
「へぇ〜、妖精商店もお前らの所の直轄だったのか」
「当然さ。あそこの商品のレパートリーは我々と一部の社員に寄って企画されているからね。もちろんそのことを知るものも、この会社ではごく一部だがね。知った時点でこの計画の共犯とも言える訳だし」
「よ、容赦ねぇ……」
「で、そんな妖精商店の新商品。今まではダンジョンでしか手に入らないダンジョン通貨【カネー】でのやりとりのみだが、一般人向けのコーナーを設立することになってね。それに伴い通常の各地の通貨で購入できる道具を作ったんだ。これがその第一弾にして代表作【スケープドール】だ」
そう言いながらライゾンは頭が野球ボール位の球体関節人形の様なものをむんずと掴み取って見せてきた。
「これ? それが何だって?」
「これはね、何と人形の持ち主に危害を加えられる、もしくはその危険があると判断できる場合に発動する主人の受けた被害を肩代わりしてくれる上に、主人を指定の安全域に瞬間移動させることができるんだ!」
「お! 良いなそれ。確かにそれがあれば少しは安心できるか」
「うんうん、そう言ってくれると作った甲斐があるよ。でね、危害を加えられたという所がミソなんだ」
ライゾンは楽しそうに説明を続ける。
この人形の重要かつ有用な所は「危害を加えられる、もしくはその危険があると判断できる場合に発動する」という点である。何故なら危害を加えられるという言葉には実に多くの意味が込められるからだ。
例えばこの人形の効果が「傷付けられたら」だったならば傷さえつけられなければ人形の肩代わり効果も安全域脱出効果も発動しないと言うことになる。つまり誘拐、拉致、監禁と言った事態には役に立たないということになる。
また、睡眠薬等の効果や魔法の状態異常による物にも、効果を発揮できないだろう。
しかし、ならば状態異常に対しても効果を、誘拐にも効果をと効果を次から次に足して行ってははキリが無い。何より一つ効果後から足すということは確実に一つ被害が出た後なのだ。それでは防止策としては弱い。
ならば例え複数人から囲まれただけ、ただ掴まれただけ、ただ不意に眠たくなっただけであったとしても反応しその場から離脱を図る。
その位の気軽さであろうと危害は危害だ。危険を自分が感じたのでは遅い場合も危害という形でそれぞれの所持者が設けた境界線の中で判定するこの条件ならダンジョンの外にいる探索者達に対しての生存率も上がるだろう。
不意をつかれた騙し討ちをされたなどで実力ある探索者が死ぬ可能性も下がるだろう。
「おおー、結構考えてんだな。でもこれあったらダンジョンの踏破率めっちゃ上がらない?」
「一応それは一般人がダンジョンの外にいる探索者に襲われない様にするのが目的だから、ダンジョン内では効果が出ない様にはなってるんだ。ダンジョン内ならそもそも誰も彼も様々な事態に警戒しているはずだろう?」
「おお、そこはスパルタなんだな」
「こちらの目的にそぐわない事をしていることに対しての対抗だからね、あまり甘やかしたりはしないよ。電池要らずで持っていれば無期限で守ってくれるよ」
「でもお高いんでしょう?」
「そんな声にお応えして、価格はなんと、妖精商店にて一つ100万円だよ!」
「100万か、うーん……高いんだか安いんだか」
途中からテレビショッピンング的なノリが入ったが値段としては少々難しい所だ。ダンジョン外での予備の命とも言える物なら欲しい物ではある。
だが、一つ100万。
これが探索者なら必要経費でとりあえず持っておける値段ではある。だが本当に欲しいであろう一般人に100万はなかなか辛いものがあるだろう。
「とは言えあまり安くしすぎてもねぇ……ここらへんの値段設定は毎回頭を悩ませているんだよこれでも」
「うーん、もうちょいどうにかならんものかな」
「ともあれこれがまず第一の対抗策ってところかな。次に第二の対抗策の提示と行こうか」
「お、まだあるの?」
「うむ。そろそろ悩みの種となりつつある事の解消も含めてね」
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次回の更新は1/31(月)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




