第三百十話 襲撃報告 久夛良木
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辻斬りから襲撃を受けた次の日改めて取り調べを受けた後、探索者ギルドに状況報告をすべく秋彦とジュディの二人は探索者ギルドにいた。
「そう……か」
「いやホントすみません、また厄介事を……」
「いや、お前さんが謝ることじゃないさ。お前さん自身は別に悪くもなんともないんだから。悪いのは闇ギルドとそれに連なる連中なんだよなぁ……」
例によって探索者ギルド埼玉南部支店のギルドマスターである久夛良木に話をしに行ったのだが、やはりというか苦虫を噛み潰したかのような渋面だった。
「あの辺りは、君達がいることもあって探索者と一般人の融和がかなり早く進んでいる地域だ。はっきり言って今経済的にも勢いがある地域といえる。それが変にストップするのはちょっと避けたいんだがなぁ……いくらの損失になると思ってるんだ闇ギルドめ!」
悔しそうにカウンターを叩く拳にも力が入っているらしく、出てきた音はかなり大きかった。
探索者と一般人の融和が進んでいる地域ということで秋彦達のいる商店街は探索者という存在にとってかなり理想的な街であるのは間違いない。探索者にとっては多くの自分が使う商売道具を取り扱い、一般人も探索者の生み出す物やそれを求めて払われる金に対して大きなメリットがあり、経済的にも新しい社会的にも良好な関係となっている。
そんなところに闇ギルドによる探索者の信用の失墜や利益の独占、あるいは犯罪めいた暴力による支配が発生してしまうのは非常によろしくない。せっかくの勢いが止まるどころか後退してしまうのは特に避けたい事態である。
「お気持ちは理解できますがあまり思い詰め過ぎませんよう」
「だが、秋彦くんが言っていたように今も、もしかしたら監視されていて絶好の隙を窺っていると思ったらあまり良い気はしないだろう?」
「それはまぁそうなのですが」
解決を焦る久夛良木。正直責任なる立場として胃に穴が開きそうな事態なのは間違いないだろう。だが下手に焦れば向こうの思う壺だ。下手を打てば闇ギルドの勢力が拡大してしまう。
「……正直今の俺の手には余るな……これは本部に連絡して対応の指示を仰ぐ事にする」
「ええ、それがよろしいかと」
「あ、あの、俺が言えたことじゃないと思うんですが、あんまり無理せんでくださいね?」
………………………………
支部を出るとジュディも盛大にため息をつく。
「せっかくの気分を台無しにされたような感じね。全く面白くないわ」
「ホントそれな、俺の地元でなんつーことしてくれてんだ全く」
久夛良木の手前大人しくはしていたが、その実二人は今回の一件に対してかなり腹を立てていた。
ジュディはせっかく近くに迫った年に一度のお祭りの雰囲気を暗くされたことに。秋彦は人の地元に犯罪組織のコミュニティーを造られ、地元の安全を踏み躙られた事にである。
「ただ変にでしゃばってもそれはそれでどーなんだって気もしないでもないからな。俺らは探索者であって警察じゃねーからな」
「うーん、探索者は警察の権限を持っているわけじゃないから捜査に協力してもらったりとかはできないものね」
「俺らは力で相手を抑えて逮捕の手伝いするくらいだもんなぁ。ダンジョンポリスみたいに」
「結局捜査令状も作れない私達じゃせいぜい怪しそうなところを警察に教えるくらいしかないものね」
「タレコミな。結局それっきゃないか」
この状況を打開すべく話をしていてもあまり益にならない状況確認ばかりになってしまう。そして結局最後は捜査は警察に任せようになってしまうのだが。
「ま、探索者は探索者らしくダンジョンにでも潜ってるのが正しい在り方なんだろうさ。今は考えるのはやめにしよう」
「そうね、次のダンジョンアタックどうする?」
嫌な話の流れを振り払うべく別の話題に切り替える。と言っても話の内容は関連づいているようなものなのだが。
「今日は茜ダメって聞いてるし、明日だな。飾り付け昨日できなかった分済ませたいし。モタモタしていると施設の完成で今度はジュディが身動き取れなくなっちまううからな」
「ダンジョンアタックは業務の内よ?」
「でもそればっかりしてるわけにも行かんだろうよ次期社長」
「それはそうなんだけどね。あーああ、自分が後一人欲しいわ、やることが多すぎる」
「あー、それ俺もよく思うわ。日常を生きる俺とダンジョンで探索者する自分が欲しいもん」
二人は笑い合いながら帰路に着く。とりあえずトラブル続きでまだ終わっていないクリスマスの飾り付けをなんとか今日中に済ませたいものだ。
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