第二百九十七話 中級ダンジョン 一階層目ボス 戦後処理 剥ぎ取り
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
いつもいつもお待たせしていると言うのに感謝しかありません。
特に今回は、まさか自分でも一月もお待たせすることになろうとは……申し訳ございません。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「さて、次は剥ぎ取りだな。今回の奴らの装備はいろいろ気になる物も多いからとりあえずサクッと解体しちまうかね~」
「そうね、尤も、裏を返せばそれだけっていう気もするけど」
「う……盛り下がる様なこと言うなよ……」
気合を入れ直したところでジュディから残念なお言葉を頂いてしまう。
だがジュディの言う事も尤もだ。今回の剥ぎ取りを行う魔物は姿かたちが人の形をしていた。と言う事は今回相手にした敵は悪魔の系統に属するのだろう。
そうなると装備は剝ぎ取れても肉や骨と言った所は素材には出来ない。せいぜいデーモンベビーの様に血や角や尻尾位だろう。
折角頭は羊だと言うのに正直かなり勿体ない。
「悪魔みたいに体が人の魔物って動物みたいなのと違ってなかなか解体って訳にはいかないからね。あーああ、体も羊だったら出張中華料理店【青龍】出しちゃうのに」
「……あの屋台みたいなの持って来たの?」
「うん、その為に最近大きい物の収納に便利なものも買ったりしたんだ、今度見せてあげるね」
「親友さては新しい食材との出会いにめちゃ期待してたな?!」
………………………………
そうして始まった解体作業。
まずはボス羊のコマ・シープ・ディーコンからだ。血に汚れた服を破かないように脱がせる。倒した時に付いた血や汚れは手に取った秋彦から魔法力を得て綺麗にスゥッと無くなった。
「やっぱり自動修復能力ってすげぇな……」
「便利よね本当に」
「とりあえず見てみるかね……」
【ヘル・ジェントルマンスーツ】
≪地獄の仕立て屋が悪魔の為に作った紳士服。文句なしの高級な魔物素材で作られた糸から織られた高級な布を贅沢に使用した代物。上級の大悪魔に仕える者なら当然の身だしなみを貴方に。
肉体力+7,000
魔法力+5,000
特殊効果:
配下召喚Lv1:(アクティブスキル、自らの契約している従魔にスキル【配下召喚】または【レギオン】、【群体】を持っているものがいれば、従魔からそれらを自らの配下として借り受け、呼び出すことが出来る。呼び出した配下は全て自らの手足のように言う事を聞く)
特殊能力:魅了(この能力はヘル・ジェントルマンスーツ、ヘル・ジェントルマンシャツ、ヘル・ジェントルマンパンツ、ヘル・ジェントルマンネクタイを同時に装備した時のみ発動する。装備した者と同種族にとても魅力的にみられ、装備者が視界に入るだけで常に状態異常、【魅了】になる可能性が生まれる)≫
思わず絶句した。その場にいる全員が。しばらくして秋彦が声をだす。
「え、配下召喚って俺らも使えるの?」
「というより、使えるようになるって所かしら……?」
「えっと……配下召喚持ちの魔物とは何度も戦ったことはあるけど……そもそもレギオンとか群体ってなんだっけ?」
秋彦、ジュディ、優太が首をひねっていると茜が口を開いた。
「……豊蘆原はレギオンを持っている」
「え、本当に!?」
三人が一斉に茜の方を振り返る。
茜はそれを見てうんうんと言わんばかりに頷いた。鼻の穴が膨らんでいる。その勢いのままに説明しだす。
「……レギオンは自らが生み出したトークンモンスターを自らの支配下に置き指令を降す強化スキル」
「あ、だからトークン持ちの豊ちゃんは持ってるのか、そうかそういうスキルだったのか」
「……それと群体持ちの魔物とは皆一度会ったことがある。豊蘆原の初航海の日を覚えてる?」
「あ、ああー、なんかいたなイワシの群体的な魔物が。そうか、要は数頼みの魔物を仲間にしてるとその手下を借りられるようになるってスキルなのか」
「……その認識でいいと思う。いずれにせよこれはモンスターテイマー持ちには必須のスキルになる」
茜は興奮気味にスーツをつかむ。茜からしてみれば自慢の従魔の強さの所以を今の自分にも適応できるかもしれないスキルなのだから当然かもしれない。
「……この紳士服一式は全員しばらく着込んで配下召喚を覚えるまでは持っておくべき。最初は私が預かる。異存はある?」
この勢いである、もはや苦笑いしか出ない。三人とも首を横に振らざるを得なかった。
「……ありがとう。じゃあさっさと残りも引っぺがして」
「はいよー、前の物が見えそうだからうつぶせにするかね……」
………………………………
茜の熱い要望で、すべて剥ぎ取られたボス羊、いくら死体とはいえ下着の一つさえお目こぼしなく奪われ、角も尻尾も切り落とされた後、裸のままうつぶせにされたその姿はいっそ憐れだった。
「えっと、じゃあ次メイド羊だな」
「そっちは勿論私たちがやるわ。二人とも見ちゃ駄目よ?」
「へいへい」
「はーい」
秋彦と優太が後ろを向いたことを確認して女子二名がメイド羊の剥ぎ取りに掛かる。しばらくしてから声がかかる。
「秋彦、優、終わったわよ。見て見て、これすごいわ!」
「あ? なんだどうした? ってうお!?」
声を掛けられて振り向いた秋彦の目に飛び込んできたのは、メイド服と下着一式を持ったジュディ達と、羊だ。体長は大きい物の、羊毛もあるし骨格も人間の物ではなく完全に羊である。頭だけ羊な女の死体はない。
「え、これまさかあのメイド羊?」
「そうみたい」
「え、銃や大剣持って普通に使ってたよな?」
「……私達もよくわからない。一枚一枚上から順に剥ぎ取っていたはずなのに、気付いたら羊になってた」
「え、ええ……どういうことなの……?」
どうやら剥ぎ取りを行った本人達にもよくわからなかったらしい。初めは女性の体つきをしていたが、剥ぎ取りを進めていくうちに羊になった、らしい。
「大剣も銃もあるわ、ガンポーチに銃弾もね」
「おおー、いいじゃん! さっそく検証を……」
検証などと言いつつ本人が触りたいだけなのが透けて見えるが秋彦が銃に手を伸ばそうとしたとき、優太が大声を出した。
「待った! このメイド羊達……ここまで羊の姿ってことは、いけるんじゃない?」
「え? いけるって何に?」
「食べられそうじゃない!? 羊肉だよ!!」
「あ、ああそういえばそうだな……」
確かに大きさ以外はどこからどう見ても羊だ。これなら解体にも食するにも問題ないだろう。
だが、嬉しそうな声を上げ、目を輝かせる優太の姿に茜やジュディどころか、秋彦でさえ引き気味になっていた。
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