第二百九十二話 中級ダンジョン 一階層目ボス 中編
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中級ダンジョンに入って初のボス部屋、目に飛び込んできたのは多くのベビーベッド。
多くのデーモンベビーが眠っていたであろうその部屋。その奥に奇妙な姿をした者がいた。
見かけだけなら一応人間に見える。が、近づいてよく見るとどういえばいいかよくわからない生き物だった。
端的に言えば、ズバリ紳士服を纏った羊である。見た目こそ毛を刈られた後の羊の様にほっそりとしていて、それが二足歩行で紳士服を着ているからか、パッと見こそ人間の様に見える。
だがやはりよく見て見ると裾や袖から出ているのは人の手足ではなく、蹄鉄のついた蹄だ。そして蝶ネクタイを付けた襟の上に生えているのは首ではなく羊毛だった。見据える目の横長な瞳孔も、頭から生えた丸みのある角も、どれも羊のそれだ。腕を組み、挑戦者を待つような姿。それは余裕から来るものなのだろうか。
「ほっほぅ、余裕かましてくれてんじゃん?」
「あら、仕立ての良いスーツじゃない。何とかうまくはぎ取ってやりたい所ね」
「……ジュディ、そっちなの?」
「ま、まあやってやれない相手じゃないはずだから確実に仕留めよう!」
雑談もそこそこに秋彦達は武器を構える。そしてその余裕の姿のままである羊がこちらを見つけた。羊は大きく一鳴きする。
すると鳴き声によって召喚された羊のメイドたちが現れた。計五体。それぞれ黒を基調としたメイド服を着た2体が大剣を蹄で器用に構え、白を基調としたメイド服を着た三体が銃を構えてきた。
「オイ見ろよあれ! 銃だ!」
「あ、本当だ。魔物が銃を持つの? 珍しいね……」
「パッと見あの小銃かなり旧式に見えるけど。まあ魔物が持っている銃なんて、只の銃な訳が無いわね、ちょっと見せてもらうわよ!」
「……ジュディは銃を見たことがあるの?」
「実家は大きいとそういうノーブルな趣味とかに付き合いをしていかないといけなくなるのよ。猟銃の一つや二つは……ね!」
秋彦達はどこかのどかに話をしている中、相手の羊メイドが容赦なく銃弾を叩きこんできた。危険感知と魔力感知からして発射されたのは銃弾ではなく魔法力を持つ何かだろう。
だがいまさらそんなもので怯みはしない。確かに速く、殺傷力も人間からしたら致命的な物があるだろう。
しかしだからといってそれで怯んだり慌てるかと言えばそんな事は無い。この程度のパワーやスピード、今までだって何度も経験してきた。この程度、地方都市奪還作戦の中に出て来る敵の魔物からしてみれば鼻で笑えるレベルだ。四人は難なく最低限の動きで交わすと、改めて相手と向き合う。
戦闘開始である。
「相手も待ってくれねーな、よし! ほんじゃまずはっと。雑魚魔物が隠せてるんだ、ボスだって隠してるに決まってるもんな、最初からペネトレイトも込みだ! とう!」
名前:コマ・シープ・ディーコン
レベル〈38〉
肉体力:〈8,000〉
魔法力:〈5,000〉
戦闘力:〈16,250〉
有利属性:闇
不利属性:光
使用魔法属性:闇Lv25
スキル
〈格闘術Lv10
蹄鉄拳:(【モンスタースキル】【アクティブ】両手両足の蹄に埋め込まれた蹄鉄によって攻撃を行う)
羊数え歌:(【モンスタースキル】【アクティブ】眠る際におなじみの歌を羊が歌う。聞いている相手を眠たくさせ、状態異常、睡眠を付与する。このスキルは、戦闘の場にいるスリープ・シープの数だけ効果が強化され、耐性がある者に対してもスリープ・シープの数に応じて効果が表れるようになる)
配下召喚Lv5:(【モンスタースキル】【アクティブ】同種の自分以下の戦闘力の魔物を召喚し、戦いに加勢させる。仲間呼びと違い、狭い場所でも、その場にいる数が一定数を超えない限り何匹でも呼ぶことができる)
仲間呼び(羊)Lv8:(【モンスタースキル】【アクティブ】同種の自分以下の戦闘力の魔物を呼び、戦いに加勢させる。この魔物は己と共にデーモンベビーを寝付かせるメイド羊を呼び出す)
攻撃指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に攻撃の指示を出すことで、仲間の連携を円滑化させ、仲間全体の攻撃力を上げる。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
防御指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に防御の指示を出すことで、仲間を守りに集中させることで、仲間全体の防御を上げる。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
回復指令:(【アクティブ】自分の配下、または仲間に回復の指示を出すことで、ポーションの使用を行わせることで、仲間全体のケガを治す。自分は指示に集中しないといけない為、攻撃が出来なくなる)
尽きぬ悪夢:(【モンスタースキル】【アクティブ】【状態異常特攻】このスキルは相手が状態異常、睡眠状態の時のみ使用することが出来る。相手に大ダメージを与え、与えたダメージ分自らのダメージを回復させる)〉
〈デーモンベビーを育てる為、デーモンベビーをあやす為に悪魔の王から世話係を命じられた羊の魔物。
悪魔の王からも注目される眠りの歌は自らの僕であるスリープ・シープの数によって威力、効果を強化していく。最大まで強化された歌の前にはデーモンベビーだけでなく、探索者であっても眠りについてしまうだろう。
そしてデーモンベビーにとっては至福の夢である悪夢を見せることで、侵入者の精神力を削り取り、ダメージとして与えていく。
大半の探索者はそのまま永眠してしまう事だろう〉
「また凶悪なコンボを仕掛けて来るもんだ……」
「ナニコレ、ほとんど相手の情報隠れてるじゃん」
「これは、スリープ・シープとやらに気を遣わなきゃいけないようね」
「……たぶん親玉羊の頭から出てきているあれの事」
茜が親玉羊と呼んだコマ・シープ・ディーコンは、前線はメイドに任せ、指揮を執る一方で頭の羊毛の中からポンポンと、小さな手のひらサイズの羊を手品か何かの様に出していた。
「成程、あれがスリープ・シープか」
「……あれが一定数になったらアウト。優、適宜焼き払って」
「了解!」
「……秋彦とジュディはいつも通り前線へ。秋彦は敵を倒し、ジュディは攻撃に耐え抜いて」
「「了解!」」
「……私はいつも通り前線に矢でちょっかい出しつつ隙を見て後衛の親玉羊に攻撃を仕掛ける」
「はいよ、じゃあ、行きますか!」
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