第二百八十九話 中級ダンジョン 報告
累計PV数513万突破、総合評価が15,900pt突破しました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
いつもいつもお待たせしていると言うのに感謝しかありません。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「ほう……この情報は凄いぞ! こんな情報はまだ誰も持ち帰って来ていない値千金のお宝情報だ!」
「でしょうね。私達も、いえ、秋彦以外ペネトレイトなんて魔法の存在さえ知らなかったもの」
「い、いや、そうは言っても俺が知っているペネトレイトの効果も、かけたものの情報を開示する。だけだったんだぜ? アナライズで見破れない物やアナライズじゃ隠されちまう情報っていう物の存在をなんとなく感じ取ってようやくって所だったんだからさ、頼むからそんな非難するような眼で見ないでくれよ……」
現在、探索者ギルド埼玉南部支店。バーカウンターをはさんでギルドマスターの久夛良木の上がるテンションと裏腹に秋彦を見るジュディの視線の温度は下がる一方である。
「まあまあ、その辺にしておこうよ」
「……とりあえず黒寄りの白にしておく。後で自分がどんな魔法を覚えているか書き出して」
「へーい、わかりました……と、それはいいんだけど、土産はそれだけじゃねーんだ」
話題を変えるべく秋彦は今回のダンジョンアタックで手に入れた戦利品を取り出す。今回の戦利品とは、言うまでもなくデーモンベビーから手に入る素材や道具である。
「ここの施設借りて解体はしておいた。一体分は俺も使いたいから一体分だけだが、買取を頼む」
「ああ、了解だ。よしよし、ありがたい」
秋彦が取り出したのはデーモンベビーの来ていたベビー服におしめ、涎掛け、ガラガラ。さらにはおしゃぶりに帽子といった装備。そして角と耳としっぽだ。それぞれ幼魔の角、耳、尾と名がつく。
久夛良木は嬉しそうに状態を確認し、スタッフにお金を用意させる。
「売ってくれてありがとう。中級ダンジョンの素材はまだまだ貴重だから大抵自分でため込むか研究施設、或いは加工屋のところに持っていかれちまうから。売って欲しいと言う人は数多くいるが売ってくれる探索者が少ないんだよな」
「デーモンベビーの素材に関しては門外漢だからなぁ。こいつらの骨使えねーし」
「むしろたとえ魔物と分かっていても使えるからって人間の赤ちゃんに見える物を解体しようとし始めたら全力で止めるわよ私達……」
「角だの尻尾だのならともかく肉削いで骨だけにしようとしたらちょっとね」
「……ドン引き」
「なんだよ! してないしやろうとも言わなかったじゃんか!」
仲間達の生暖かい目線に謂れない非難を受けたような気がしてつい声が大きくなる。実際今回はデーモンベビーの剥ぎ取りに関しては全員納得の上で行ったはずなのだが。
というのも、普通魔物は肉や骨と言ったところも余すことなく素材になるが、悪魔などに代表される人と似たような形をした魔物、通称人型魔物はそういったところは素材としては使えず、耳や角や尻尾など魔物としての側面が強い所しか素材としては使用できないのだ。
ただし人型魔物は総じて人と同じように服や武器を持っていることが多く、それらは少し加工するだけでたちまち探索者の装備としてさえ役に立つ強靭な装備へ早変わりするのである。
勿論デーモンベビーの素材も例にもれない。デーモンベビーの装備は総じて眠りに対する無効化効果を得ることが出来るのでそれなりに利用価値が高い事で知られている。
故に角や尾といったところ以外には手を付けずに、装備品を取るにとどめると言う結論になっており、その上でこの言われようなのである。これも骨加工職人の風評被害のような物なのだろうか。骨加工とはいえ人骨のような物をすき好んで加工したがる訳では無いので全く心外なのだが。
「にしてもガラガラまで売ってくれるとは思わなかったよ。持っておこうとは思わなかったのかい?」
「いや、それが有用なのって前衛に闇属性魔法使いがいるチームに限るんで。俺は無属性だし、ジュディは土、光、炎なんで嚙み合わないんですよね」
「ふーん、まあそれが君らの結論なら何も言わんがね。売ってくれるならこちらとしてもありがたい限りだし」
そういいながら笑顔でガラガラを持ち上げ、音を鳴らす久夛良木。
デーモンベビーの持ち物の中でも最も有用と言われているのはガラガラである。意外に思うかもしれないが、このガラガラを加工して作られる武器の汎用性の高さが評判なのである。
その名もズバリ【静寂のガラガラ】だ。肉体力の上がりは中級ダンジョンの魔物から手に入る素材から作られる装備にしては低いが、魔法力の上がりがとてもいい武器だ。
だがこの武器の特筆すべきは魔法力の上昇能力ではない。武器が保有するパッシブスキル【眠れよ眠れ】にこそこの武器の真髄がある。
このガラガラ、持ち主が物理、魔法問わず攻撃を成功させると確率で相手を状態異常、睡眠状態にすることが出来るのである。しかもデーモンベビーのスキル、ガラガラ催眠音の様に効果が累積し、スキル発動時間に比例して睡眠付与確率が上昇する効果付きである。完全に耐性が無い限り相手は常に睡眠の危険が付き纏うようになる恐るべき武器だ。はっきり言って見た目が赤ん坊の持つガラガラであり、動くと一々カランコロンいう以外弱点のない優秀な装備と言えるだろう。
ビジュアルの情けなさ以外は状態異常睡眠を主軸に置く戦法の起点と言える武器になるので、見た目による恥を捨て、真剣に運用しているパーティーは少数ではない。
「ともかくありがとう。次も期待しているよ」
「いや、一階はとりあえず検証いいかなと思ってるんで、もうボスに挑んで次の階に行く予定です」
「そうか。二階以降の報告も期待しているからな」
「任せてください!」
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります
これからも評価、ブックマーク、感想など、皆様の応援を糧に頑張って書いていきます。
次の更新も未定となりますが何卒ご理解とご協力をお願い致します。