第二百八十七話 中級ダンジョン ペネトレイト
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これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「さて、もう一度だ。付き合ってもらってわりーな。だが今回はちょっとばかし俺にも考えがある」
「考えって、あの空白の事?」
「あ、あの秋彦? 確かにあの空白ってちょっと不自然だけどさー」
「……そんなに気にすること?」
鬼気迫る表情でデーモンベビーをむしろ探すかのようにダンジョンを探索する秋彦に、茜もジュディも、優太でさえ気圧されるかのようにおっかなびっくり声を掛ける。
それらの声に対しても秋彦は尚ギラギラ光る眼と低い声で応対する。明らかに異様である。
「勿論だ。確かに状態異常を受けさえしなきゃ大した脅威にならないのは身をもって体感したが、それだけであんなに大量の死者が生まれるのは明かにおかしい。その秘密があの空白にある様な気がしてならないんだ。ちょい付き合ってくれや」
「う、うん。まあそれは構わないんだけどさ……」
「どうしてそんなにこだわるのかがわからない。アナライズで調べたと言うならその結果がすべてじゃないの?」
秋彦以外の三人は正直あまりピンときていない様だ。
確かに心当たりがない者にただ空白があると言うだけの状況にそこまで真剣に向き合う必要があるのかと問われれば、アナライズで出た結果である以上そこまで気にするようなところではない、と思うかもしれない。
「ところがどっこい、アナライズも最近は過信できない可能性があるんだなこれが」
「え!?」
「嘘?!」
「……どういう事? 聞いてない」
「そうだろうな。これに関しちゃ敢えて言ってなかったし。ていうか今はっきり確証のある話じゃないしな」
そう、今の秋彦は無属性魔法をLv20まで使えるようになっている。そしてその中で今まで大して気にしたことが無かったような魔法がある。それ次第ではひょっとしたらひょっとするかもしれない。
この事を教えていなかったのは覚えた当初この魔法の効果が秋彦自身いまいちピンと来ていなかった事。そしてこの魔法を覚えた頃にはレインボーウィザーズは事実上活動休止していたから、言うタイミングも言うきっかけもなかったからだ。
秋彦だって、こんなに露骨な結果が出てこなければ、覚えた魔法が関連していることに気付けたかどうか怪しい。が、今になって点と点がつながるかのようにはっきりわかった。この魔法はこういう時の為にあると。
「言うのを忘れていたのじゃなくていう必要性を感じなかったのね。まあいいわ、セーフにしておいてあげる」
「……秋彦の無属性魔法は汎用性が高い物が多い。今後は私達の方から覚えた魔法を積極的に覚える必要があるかも」
「そ、そうだね。で、どういう魔法なの?」
「それはだな……あ」
優太の質問に答える前に、秋彦の耳がガラガラの音を聞いた。つまりお目当てのデーモンベビーである。
これは好都合だ。実際に見た方が早いだろう。
「掛ける魔法は【ペネトレイト】だ。早速やるぜ。ダンジョンウォッチを見ててくれ。んじゃ行くぞ!」
秋彦はデーモンベビーを指さし、魔法をかける。
デーモンベビーはそれを受けても特に反応しないが、ダンジョンウォッチのデーモンベビーの空白になっていた部分にすうっと文字が現れた。
「え、ナニコレ?! 説明文が追加されたよ!?」
「ペネトレイト。こいつはステータスを表示させる魔法で、基本はアナライズと効果は同じなんだ。正直俺もなんで今更こんなものを覚えたのか不思議でならなかったんだが……」
「……まさか相手はステータスを隠蔽していた?」
「これ見る限りだとそうなんだろうな。面倒なことしてくれるもんだぜ」
「成程、そしてそれを今ので看破したのね?」
「そういう事なんだと思う。読みは当たり、要するにこれはアナライズではわからない、もしくはアナライズでは隠されてしまう様な情報を暴く魔法なんだ」
おおー、と、全員が感心したかのように秋彦に拍手する。これは驚くべき大発見だ。アナライズではわからない情報もそうだが、アナライズでは偽装されてしまう情報の存在。そして中級では今後基本となることが予想される事。何より目の前の敵が隠そうとして看破されたスキルは、今後のダンジョン探索に影響してくるかもしれない。
「ちなみにペネトレイトは敵が生きている時にしか掛けられない魔法だから掛けるときは戦闘中になるからな。ほんじゃ、開示された情報を確認するためにもまずは目の前のを処理すっか!」
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